6/14は認知症予防の日- 製薬企業の脳神経領域の疾患啓発サイトを調査

6/14は認知症予防の日- 製薬企業の脳神経領域の疾患啓発サイトを調査

2025年には、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると推計されています1)(平成29年版高齢社会白書より)。アルツハイマー病の発見者であるアルツハイマー博士の誕生日の6/14は、認知症予防の日です。今回は、製薬企業が運営する認知症を含めた脳神経領域の疾患啓発サイトを調査しました。症状チェックシートを活用して受診や症状変化の把握を促したり、リハビリ動画を配信して予防をサポートしたりする各サイトの取り組みを紹介します。

脳神経領域の疾患啓発サイトを運営している製薬企業一覧

脳神経領域は脳卒中や認知症、パーキンソン病、てんかん、筋萎縮性側索硬化症などの疾患があり、広い知識を必要とする領域です。頭痛やけいれん、物忘れなど脳神経領域の疾患を原因とする症状は多岐に渡り、他の疾患と共通する症状もあるため、患者自身が疾患を推測することは難しいものです。また、患者本人が症状に気づいていないことも多く、周囲が受診を促すケースも少なくありません。そのため、今ある症状の原因は脳神経領域疾患かもしれない、と気づいてもらうサイト作りが必要です。

本記事では、製薬企業オウンドメディア定期レポートで対象としている19社の中から、脳神経領域の疾患啓発サイトを調査しました。脳神経領域は対象が広いため、今回はパーキンソン病・てんかん・認知症の3疾患を調査対象としています。脳神経領域の3疾患の啓発サイトを運営している製薬企業は、19社中9社。パーキンソン病が6サイト、てんかんが2サイト、認知症が2サイト、パーキンソン病と認知症に関するものが1サイト、てんかんと認知症に関するものが2サイトの計13サイトでした。

調査対象啓発サイト一覧

疾患の病態や治療に関する情報を発信するほかに、症状から疾患を簡単に推測したり受診が必要か判断したりする症状チェックシートを、多くのサイトが提供していました。早期発見・早期治療へつなげるためのサイト作りが、製薬企業各社でなされていました。リハビリテーションの内容が豊富であることも、脳神経領域疾患啓発サイトの特徴と言えるかもしれません。これまで調査した疾患啓発サイトに比べ、患者本人だけでなく、家族や周りの方へ向けた情報発信が多く見られました。

脳神経領域のほとんどが生涯付き合う病気であるため、医療費が心配になるケースが多い領域です。そのため、各サイトでは、利用できる公的支援制度の紹介ページも充実していました。

記事内では特徴的な構成のサイトやオリジナルのアプリ配信をしているサイトなど、4サイトを取り上げてご紹介します。その他のサイトを含めた調査一覧については、ダウンロード資料を用意しています。ページ下部よりダウンロードください。

エーザイ PDネット

パーキンソン病治療薬の効果時間が短くなる「ウェアリング・オフ現象」に関する情報をトップページに掲載しており、パーキンソン病治療において企業が伝えたい内容が分かりやすい、工夫が見られるサイトです。

診察や状況把握に役立つ「私の症状ノート」「ウェアリングオフ チェックシート」「痛みの相談シート」と印刷可能な症状記録シートを3つ用意しています。症状の種類を多く提示してあるため、当てはまる症状を選びやすく記録が簡単です。

リハビリテーションに関するコンテンツでは、気になる身体症状に対する体操を動画で配信。動画内では、なぜその動作がしにくいのか理由も解説し、リハビリテーションの大切さを訴求しています。患者コラムをたくさん掲載しており、疾患に悩む人が共感したり参考にしたりしやすいサイトです。

PDネット

https://pdnet.eisai.jp/

サイトディスクリプション

なし

キーワード

なし

コンテンツ一覧

・病気を知る
疾患の原因や症状についてイラストやグラフを用いて解説
・公的支援制度
公的支援の対象や窓口、必要書類など概要を紹介
・治療・お薬について
薬物治療・リハビリ・手術について解説。リハビリ動画あり
・くらしの工夫
住まいや食事、お出かけなどくらしのアドバイスを掲載
・患者さんの声
全国パーキンソン病友の会と共同で制作した体験談コラムを掲載
・若年性パーキンソン病 当事者の想い
若年性パーキンソン病患者のコラムを掲載
・私の症状ノート
症状記録ノートのダウンロードが可能
・ウェアリングオフ チェックシート
ウェアリングオフに早期に気づくためのチェックシートを配信
・痛みの相談シート
8項目の痛みと1項目の痛みの程度を回答するシート。診察時用に印刷可能

武田薬品工業 パーキンソン病オンライン

トップページのデザインが特徴的なパーキンソン病啓発サイトです。主要コンテンツをボタン表示で配置し、イラストや短い文で内容を分かりやすく表現しており、興味がそそられます。

治療情報のコンテンツ「日常を支える」では、スマホアプリを使用したコンテンツを複数配信しています。LINEアカウント「パーキンソン病暮らしのヒント」では、週1回暮らしに役立つ情報を発信。ほかにも、スムーズな歩行を助けるアプリ「Parkinsounds」、Spotifyで視聴可能な音楽に合わせて運動を促す「パキトレ体操ナビ」があります。

また、患者に当てはまるものを選択すると個々の状況に合った公的支援制度が分かるコンテンツ「公的支援ナビゲーター」は、複雑な支援制度理解への入口に適したサービスです。

パーキンソン病オンライン

https://pd-online.jp/index.html

サイトディスクリプション

パーキンソン病(Parkinson

キーワード

パーキンソン病,Parkinson

コンテンツ一覧

・1. あれ? おかしいな・・・
早期受診を促す情報。セルフチェックあり
・2. パーキンソン病について
疾患の病態・重症度・症状に関して図を用いて解説
・3. パーキンソン病の治療
治療薬や治療法を紹介。お助けアプリの配信やレシピの掲載あり
・4. 症状を記録しましょう
症状を記録する日誌やチェックシートを提供
・5. 公的支援ナビゲーター
公的支援制度の紹介。当てはまる公的支援を判定するシステムあり。Q&Aでの解説も

エーザイ 相談e-65

各コンテンツが一つの読み物のように記事になっている認知症啓発サイトです。記事ごとに目次と更新日が記載されており、記事の内容や情報の新しさがすぐに分かります。記事最後に「この記事を見た人におすすめの記事」を提示しており、他の記事への誘導となる工夫が見られます。

トップページのバナーでは、特徴的なコンテンツを紹介。そのうちの一つ「戦国ヘルパー」は、介護士の女性が戦国時代へタイムスリップするストーリーの漫画です。バナーコンテンツ以外にも「落語動画」や「小中高生向け教材動画」など、認知症に興味を持ったり理解を深めたりしてもらう工夫が豊富です。

サイト内では、オリジナルの運動プログラム「ブレパサイズ®」を紹介しています。こちらは音に合わせ体を動かしながらじゃんけんやクイズを行う、ブレインパフォーマンスです。全体的に独自性の高いコンテンツを用意しているサイトです。

相談e-65

https://e-65.eisai.jp/

サイトディスクリプション

なし

キーワード

なし

コンテンツ一覧

・原因・症状
原因と症状について詳しく紹介。加点方式の症状チェックリストや軽度認知障害の解説もあり
・診断・治療
治療や検査について詳しく解説。アニメーション落語で備えの重要性を訴求
・相談・支援
利用できる制度やサポートを紹介。自動車運転に関する記事もあり
・予防・維持
リスクについてデータや図を用いて解説。脳を活性化する運動を紹介
・介護・ケア
介護やサポートのお役立ち情報や症状別対応法を掲載
・みんなの体験談
疾患や介護に関する疑問をQ&A形式で解説。介護家族の体験談もあり
・もの忘れ相談ナビ
エリアや各種検査から施設検索可能
・戦国ヘルパー
介護士が戦国時代へタイムスリップするストーリーの漫画を配信
・インタビュー記事
中高年世代へ生き方アドバイスのインタビュー記事
・WEB CM 日々つづいていく
認知症の母とその家族、ヘルパーの物語をWeb CMで配信。キャストへのインタビュー動画あり

田辺三菱製薬 未知Annai

製薬企業が運営する疾患啓発サイトでは治療に焦点を当てたものが多い中、こちらは脳神経領域疾患の早期発見を目的とした疾患啓発サイトです。脳神経領域で考えられる症状のチェックリストを提示し、身近な人の脳や神経の病気を早期発見し受診を促せるよう情報提供しています。脳神経内科がどのような診療科で、他の科とどう違うのかといった解説を漫画で配信し、脳神経内科の知識がない人でも読みやすくなっています。

コンテンツ「脳や神経の病気はどんな症状があらわれる?発症から受診、診断まで」では、年代・性別・疾患名を表記し、多発性硬化症やパーキンソン病、認知症患者など12人の診断までの出来事を紹介。特徴的な症状を記載しており、原因が分からず不安を抱えている人へ向け受診へのきっかけとなる内容です。

未知Annai

https://michi-annai.jp/index.html

サイトディスクリプション

脳や神経の病気について紹介しています。どんな症状があらわれるのか、どこに相談したらよいか、さまざまな情報を分かりやすく紹介しています。(田辺三菱製薬)

キーワード

未知Annai,脳や神経の病気,戸田達史,日本神経学会,神経内科フォーラム,難病情報センター,神経内科,脳神経内科

コンテンツ一覧

・家族や友人に、気になる症状があったら ~脳神経内科※の受診を勧めたいときとは~
脳神経内科への受診を勧める症状や受診時のポイントを紹介
・「脳神経内科」とは?
症状から脳神経内科受診を勧めるストーリー漫画を3つ掲載
・脳神経内科の役割
脳神経外科との違い、受診方法、検査費用などを漫画で紹介
・”脳や神経の病気”かも
パーキンソン病や認知症など脳や神経の病気について、発症から診断までの症例を掲載
・どこに相談する?
脳神経内科についての解説と日本神経学会内の神経内科施設ページ紹介

内容の深さは各サイトさまざま トップページに興味をそそる工夫を

今回調査したパーキンソン病、てんかん、認知症の脳神経領域疾患啓発サイトでは、サイト内の情報量は各サイトさまざまでした。疾患を知ってもらう入り口としてのサイトなのか、より深く理解してもらうためのサイトなのか、サイト作りを行う上で情報のボリュームを考えることが重要です。

サイトの顔であるトップページは、サイトの印象を大きく左右する存在です。一番伝えたいコンテンツを大きく取り上げたり、バナーでオリジナルコンテンツを見せたりと興味をそそる工夫が必要です。

本記事では調査対象の一部について紹介しましたが、さらに詳しいコンテンツ一覧など、今回調査した詳細な情報はダウンロード資料よりご確認いただけます。下記フォームに必要事項をご記入の上、お申し込みください。資料ダウンロード用URLをお送りいたします。

<出典>※URL最終閲覧日2023.5.25
1)平成29年版高齢社会白書 第1章第2節3高齢者の健康・福祉(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/zenbun/pdf/1s2s_03.pdf

ダウンロード資料「製薬企業の脳神経領域疾患(パーキンソン病・てんかん・認知症)啓発サイトを調査【2023年5月版】」

  • パーキンソン病 6サイト
  • てんかん 2サイト
  • 認知症 2サイト
  • パーキンソン病・認知症 1サイト
  • てんかん・認知症 2サイト

(各サイトのサイトディスクリプション/キーワード/コンテンツ一覧/特徴)