11/14は世界糖尿病デー - 製薬企業の糖尿病の疾患啓発サイトを調査

11/14は世界糖尿病デー - 製薬企業の糖尿病の疾患啓発サイトを調査

インスリンの発見者であるバンティング博士の誕生日である11/14は、IDB(国際糖尿病連合)とWHO(世界保健機構)が1991年に定めた世界糖尿病デーです。疾患啓発の日としては、世界160カ国で開催されている大規模なキャンペーン。今回は糖尿病の疾患啓発サイトを調査しました。世界で5秒に1人が亡くなっているとされる糖尿病の啓発を、製薬企業がサイトでどのように行っているかご紹介します。

糖尿病の疾患啓発サイトを運営している製薬企業一覧

厚生労働省が2016年に実施した「国民健康・栄養調査」によると、国内で糖尿病が強く疑われるとされる糖尿病有病者は、およそ1,000万人1)と推計されています。また糖尿病の可能性が否定できない糖尿病予備軍もおよそ1,000万人1)、糖尿病の治療が必要である人が約2,000万人とも推計されています。糖尿病の情報を求めている人は患者家族も含まれ、さらに多くの人々に糖尿病の情報を届けなければならないでしょう。

全世界で見ても、成人の10人に1人が糖尿病を抱えているとされており、5秒に1人が糖尿病関連の病で亡くなっているそうです2)。これはAIDSの死者数と並ぶほどであり、糖尿病が全世界を上げて疾患啓発を行わなくてはならない疾患であると言えます。

しかし先述の調査によると、国内では2007年以降糖尿病予備軍の推計人数は減少しており、糖尿病有病者数も今後減少していくことが期待されます。さらに糖尿病患者数を減らすためには、糖尿病にならないための啓発活動も重要であると言えるのではないでしょうか。

今回は、製薬企業オウンドメディア定期レポートの対象19社の中から、糖尿病や糖尿病合併症の疾患啓発サイトを調査しました。対象となる疾患啓発サイトを運営している製薬企業は、19社中9社、13サイトでした。内訳は糖尿病の疾患啓発サイトが5サイト、糖尿病黄斑浮腫や糖尿病性腎症など糖尿病合併症の疾患啓発を行っているサイトが8サイトです。2社共同で運営している疾患啓発サイトもありました。

糖尿病の疾患啓発サイトを運営している製薬企業一覧

コンテンツ作りは各サイトさまざまな印象を受けました。MSDの「患者のための糖尿病ガイド」は運動療法に関する情報が豊富でした。楽しい歌詞の運動動画や運動タイプ診断などがあり、自宅でできる取り組みを啓発しています。一方日本イーライリリーが運営するサイト「知りたい!糖尿病」では、疾患知識や治療について詳しく解説されています。またアドボカシー活動にも注目しており、疾患啓発に力を入れている様子がうかがえました。

網膜症や腎臓病の疾患啓発サイト内で、糖尿病黄斑浮腫や糖尿病性腎症のコンテンツを用意しているサイトでは、疾患解説の他に、失明や透析のリスク、血糖値コントロールの重要性を啓発していました。日本イーライリリーと日本ベーリンガーインゲルハイムが運営する「どうなる?どうする?糖尿病」は、糖尿病合併症をメインとしたサイトです。さらに日本ベーリンガーインゲルハイムは、糖尿病への社会的偏見に焦点を当てた特設サイト「糖尿病への色眼鏡~その認識、色眼鏡(偏見)かも?~」を別途開設。開設時の2023年4月には、オンラインシンポジウムも開催しています。

ここではコンテンツが充実していた1サイトについて詳しくご紹介します。その他のサイトも含めた調査結果については、ダウンロード資料を用意していますので、ページ下部よりダウンロードください。

日本イーライリリー 知りたい!糖尿病

糖尿病について、1型や2型、重症低血糖に分け、詳しく解説されています。コンテンツ内は主に文章で紹介しておりシンプルな作りです。しかしイラストや図、赤枠などを適宜用いることで、読みやすい工夫がなされています。文章内の言葉に関連コンテンツがある場合は、リンク設定し誘導する仕組みも構築しています。

また大コンテンツ間ではコンテンツ内容が重複しない疾患啓発サイトがほとんどですが、こちらのサイトでは大コンテンツ間で解説が被るものは、同じコンテンツを使用しています。例えば1型糖尿病と2型糖尿病の大コンテンツ内では、コンテンツ「低血糖の症状とは?原因・対処法」が共通しています。気になるコンテンツから読みはじめた場合でも、情報を見逃さずにすみそうです。

LINEアカウント「糖尿病@LINEヘルスケア」の提供は、広く利用されているサービスを活用した有用な啓発活動です。トーク開始時に最大4つの質問に回答することで、パーソナライズ化したコンテンツを提供します。有用な情報をおすすめするサービスは、情報過多である現代には良いサービスでしょう。またLINEサイトのオリジナル記事も用意しており、Webサイトより身近な疾患啓発サイトとして期待が高まります。

小児糖尿病患者と家族に向けては、疾患解説動画を用意しており、文章をまだ理解しにくい年齢の患者への配慮が見られました。Facebook公式アカウントで11/14「世界糖尿病デー」に合わせた情報や市民公開講座の案内、アドボカシー活動報告を発信するなど、情報発信も積極的に行っています。

知りたい!糖尿病
https://www.diabetes.co.jp/dac

サイトディスクリプション

糖尿病はブドウ糖の量が多い(=血糖値が高い)状態が続く病気です。食べ物に含まれる炭水化物は、消化されてブドウ糖になります。ブドウ糖の取り込みに必要な物質がインスリンですが、インスリンがうまく働かないと、血糖値が慢性的に高くなり、糖尿病になってしまいます。

キーワード

糖尿病,血糖値,ブドウ糖,インスリン

コンテンツ一覧

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   LINEサービス内容と登録の案内

  • 糖尿病について

   糖尿病の基礎知識や血糖値、検査、合併症など総合的に紹介

  • 1型糖尿病の方

   1型糖尿病について解説。小児患者に対する解説動画もあり

  • 2型糖尿病の方

   2型糖尿病について解説。薬物治療について詳しく紹介

  • 重症低血糖

   重症低血糖の原因やリスク、注意点を紹介。チェックシートあり

  • 日常のケア

   食事・運動・血糖管理などについて治療や生活のアドバイス、合併症の注意喚起を掲載

  • あなたにあった情報を探しましょう

   疾患知識・日常・治療・血糖値改善に分け、おすすめコンテンツを紹介

  • 先生に相談しよう

   診察時に医師に見せられる相談シートを提供

  • インスリン治療のあゆみ

   インスリンの歴史を文や写真、動画で紹介

調査対象19社以外にも、各社工夫を凝らした糖尿病サイトを運営

今回の調査対象19社以外にも、協和キリン、アボット、サノフィ、帝人ファーマ、大正製薬なども糖尿病の疾患啓発サイトを運営しています。

協和キリンの「糖尿病サポートネット」では、疾患の基礎知識や運動・薬物療法について簡潔に紹介しています。各コンテンツは1ページにまとめられており、適宜イラストや図を挿入し、すっきりと見やすい印象です。こちらのサイト以外に、糖尿病患者の食事と運動療法を紹介するサイト「DREAMGUIDE」と「D:Light Plus」も運営しています。

DREAMGUIDE」は、糖尿病患者向けのレシピと運動の情報を豊富に紹介しています。コンテンツ「レシピ」では、季節ごとのご当地グルメを掲載しています。主食・主菜・副菜と1食分のメニューが紹介されているため、トータルバランスを考慮した食事が作りやすそうです。コンテンツ「エクササイズ」では、運動量の目安となるメッツとともに、さまざまなエクササイズを紹介。

D:Light Plus」では、糖尿病患者向けのレシピを掲載しています。作り方が写真付きで紹介されているため、挑戦しやすそうです。一部のレシピは動画での紹介もあります。食事に関するQ&Aでは、チャット形式を採用。親しみがある会話形式は読みやすく、スッと心に入りやすいのではないでしょうか。また、運動に関するQ&Aでは回答を簡潔に述べ、イラストで具体的なアドバイスを分かりやすく紹介しています。

他にもアボットの血糖値タイプが分かる「血糖値キャラを知ろう」や、サノフィのライフスタイルへのアドバイスが充実したQ&Aなど、参考となるコンテンツがたくさんありました。ぜひ他社の疾患啓発サイトもチェックしてみてください。

未治療の糖尿病予備軍への啓発活動が求められる

薬物治療だけでなく、食事や運動療法も重要となる糖尿病では、疾患知識以外のコンテンツも充実しているサイトが多くありました。また、合併症の情報も充実しているように見受けられました。

早期発見・早期治療は、糖尿病を重症化させないために大切です。そのためには、製薬企業による疾患啓発活動は欠かせません。しかし糖尿病予備軍の40~49歳男性では、48.5%が治療を受けていない1)という報告があり、この年齢層への啓発活動が必要であることが示唆されています。働き盛りの世代は忙しさから通院を後回しにしやすいため、治療の重要性や疾患リスクに関する情報にアクセスしやすい環境での提供が求められそうです。

<出典>※URL最終閲覧日2023.11.7
厚生労働省, 平成28年「国民健康・栄養調査」の結果概要
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou_7.pdf
2)World Diabetes Day -世界糖尿病デーについて-(https://www.wddj.jp/01_howto.htm?fbclid=IwAR1tl6mBg6A56u285mCew8gmMdqMfVtUO6sJU5X-piic7jiMgeqnrxP6jI4

本記事では調査対象の一部について紹介しましたが、さらに詳しいコンテンツ一覧など、今回調査した詳細な情報はダウンロード資料よりご確認いただけます。下記フォームに必要事項をご記入の上、お申し込みください。資料ダウンロード用URLをお送りいたします。

ダウンロード資料「製薬企業の糖尿病啓発サイトを調査【2023年11月版】
• 糖尿病 5サイト
• 合併症 8サイト
(各サイトのサイトディスクリプション/キーワード/コンテンツ一覧/特徴)