製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2026年3・4月版

製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2026年3・4月版

昨今、医療・製薬業界でも、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルマーケティングに注力する動きが多くなってきました。本記事では、2カ月に1回、各製薬企業のプレスリリースより、最新製薬マーケティングやDXの取り組みをピックアップ。マーケティング、プロモーション、DXについて、業界全体の最新トレンドや、他社がどのような動きをしているのかを把握できます。今回は、2026年3・4月を対象に最新動向をまとめました。

※調査対象の企業は2025年5月にIQVIAより公開された23年度販売会社ベース企業売上ランキング(期間:2024年4月~2025年3月)の上位20社。50音順にリストアップ 

サマリー

  • 複数チャネルを束ねた統合的な疾患啓発

認知から行動までを一貫して支援するマルチチャネル戦略が広がっている。日本イーライリリーはアルツハイマー病の啓発で、風吹ジュン氏起用のテレビCM、全国50箇所のリアル啓発イベント、啓発サイトのリニューアルを連動展開。田辺ファーマと日本イーライリリーも肥満症啓発で線画ショートフィルムをYouTubeで公開し、紹介Webページや川柳キャンペーンと一体運用している。マスとデジタル、オンラインとリアルを横断する設計が標準化しつつある。

  • エンタメ・参加型コンテンツによるエンゲージメント強化

一方向の情報発信から、生活者が楽しみながら関わる体験型施策へと重心が移っている。日本ベーリンガーインゲルハイムは慢性腎臓病(CKD)啓発でお笑いコンビ「ぺこぱ」を起用し、トレインジャックに加えSpotify・Podcastで漫才音声を配信。田辺ファーマと日本イーライリリーは「肥満症のただしいミカタ川柳」の受賞作を人気SNSキャラクター「ネギうさぎ」とコラボさせ広告展開する。語りづらい病気のことをユーモアやUGCを活用して啓発していく流れが見られる。

※UGC(User Generated Content):SNS投稿や口コミなど、一般ユーザーが自発的に生成するコンテンツのこと

  • 医薬品の枠を超える「HaaS(Healthcare as a Service)」の具体化

製薬企業が医薬品の提供にとどまらず、予防・診断・予後管理までペイシェントジャーニー全体を支えるヘルスケアサービスを展開する「HaaS」の動きが具体化している。エーザイは親子対話促進アプリ「ヒビノエ」をリリースし、AI絵日記や家族AIを通じて将来の健康・介護リスクへの“気づき”と“備え”を支援。「認知症エコシステム」構築の一環として位置付ける。大正製薬も同社初のヘルスケアアプリ「AudioCardio」で“ながら聞き”による耳のトレーニングを提供開始。創薬型ビジネスからヘルスケアプロバイダーへの進化が、各社の具体施策として現れ始めている。

■アストラゼネカ株式会社

アストラゼネカ、医療×芸術の協働で“治験をもっとわかりやすく” 患者さんの心理的負担を軽減する、説明アニメーション・マンガの提供を開始

2026年3月17日

アストラゼネカは、医薬品開発にかかる臨床試験(以下、治験)に関する患者や患者の家族の理解を支援する取り組みとして、京都芸術大学と協働し、アニメーションおよびマンガコンテンツを制作し、アストラゼネカのウェブサイトで提供を開始。

コンテンツ制作においては、「治験がどのように進められるのか」「治験に参加した場合の費用や補償について」「治験中に起こり得る体調変化や副作用への対応」など、説明時に患者や家族から多く寄せられる質問を整理し、文章による説明を補足する目的で、視覚的にわかりやすい情報提供を目指した。すでに公益財団法人がん研究会有明病院において導入が進められており、その他の医療機関においても補助資料として広く活用されることを想定。さらには、一般の方向けの情報提供プラットフォームや患者会広報誌でも掲載が予定されている。

https://www.astrazeneca.co.jp/news/press-releases1/2026/202603051.html

アストラゼネカ、郡山市における健康寿命延伸を目指した、新たなCOPD対策を推進

2026年3月30日

アストラゼネカは、福島県郡山市と協働し、健康寿命延伸を目的とした新たなCOPD(慢性閉塞性肺疾患)対策の推進に向け、地域医療に関わる方を対象に「COPD対策連携キックオフセミナー」を2026年3月27日に開催。本セミナーは、2025年7月に締結した「郡山市民の健康づくりの推進等に関する連携協定」に基づく取り組みの一環として、産官学の多様な関係者が一堂に会し、COPDの早期発見・早期治療の促進による健康寿命延伸に向けた地域医療体制の整備を目的として実施したもの。

かかりつけ医、協力医療機関、地域の呼吸器専門施設との間で紹介・逆紹介の流れを明確化し、診断後はガイドラインに沿った適切な治療介入を行うことで、循環器領域との連携を含めた地域全体での継続的な管理につなげ、増悪の抑制と健康寿命の延伸を目指す。さらに、医療DXの活用も視野に、受診率、診断率、治療導入率、増悪・入院、医療費等の指標を活用した効果検証を行い、PDCAサイクルに基づく改善を継続する。

https://www.astrazeneca.co.jp/news/press-releases1/2026/202603301.html


■田辺ファーマ株式会社

「肥満症のただしいミカタ川柳」 結果発表 最優秀賞と優秀賞の3作品はSNSで人気の「ネギうさぎ」とコラボ!

2026年3月3日

日本イーライリリーと田辺ファーマは、“肥満と肥満症の見方を変え、味方になろう!“を合言葉に株式会社マイナビとのコラボレーションで昨年募集を開始した「肥満症のただしいミカタ川柳」について、入選した8作品を発表。

最優秀賞と優秀賞の計3作品については、SNS総フォロワー数148万人のクリエイター「うめぼしちゃん」が描く人気キャラクター「ネギうさぎ」とのコラボレーションが実現。受賞した川柳の世界観をやさしく彩る描き下ろしイラストを公開し、今後広く広告展開していく予定。

「肥満症のただしいミカタ川柳」はその一環として、肥満についてあらためて考え、肥満症という病気の存在に気付き、正しく理解してもらうきっかけとなるよう企画された。両社は今後も引き続き、肥満症のある人が生き生きと活躍できる社会の創造に貢献できることをめざし、啓発活動を続けていくとしている。

https://www.tanabe-pharma.com/ja/news/rel_260303.html

肥満症のある男性とその家族の心温まるストーリーを線画で描いたショートフィルム公開

2026年4月7日

日本イーライリリーと田辺ファーマは、世界中の人が健康について考える日として定められた世界健康デー(World Health Day)にあわせて、線画アニメーションによるショートフィルムの第二弾として「肥満症 - ある家族のダイアリー」篇を公開。また、フィルムを紹介するWEBページも同日公開した。

肥満症は、遺伝やストレス、環境などが複雑に関与して発症する、治療が必要な病気であるにもかかわらず、当事者を含む社会の肥満症に対する認知は低く、「自己管理だけの問題」として軽視されがちな傾向にある。それが必要な医療へのアクセスを妨げたり遅らせたりしている可能性があり、社会課題となっている。両社は、肥満症のある人やその周囲の人々が肥満症という病気について知り、理解を深めるきっかけとなることを期待し本作を制作。本作を通して、肥満症に対する正しい理解の輪が広がり、肥満症がかかえる社会課題の解決の一助となることを目指している。

https://www.tanabe-pharma.com/ja/news/rel_260407.html

■日本イーライリリー株式会社

その“もの忘れ”、アルツハイマー病かも 日本イーライリリー、アルツハイマー病に関する啓発活動を全国展開

2026年4月13日

日本イーライリリーは、4 月 24 日から放映するテレビ CM や啓発イベントなど、今後全国展開をするアルツハイマー病に関する啓発活動について発表。

第 1 弾として、風吹ジュンさんをアンバサダーに起用したテレビ CM「花と 髪」篇、「花」篇、「髪」篇を、4 月 24 日より全国にて放映開始。さらに 4 月 25 日より、全国 50 箇所(計 59 日間)にて、啓発イベント「年のせいじゃない“もの忘れ”展」を開催する。

さらに、今回の啓発活動に合わせ、同社の啓発サイト「もの忘れ・アルツハイマー病ナビ」もリニューアルを行なっている。

https://mediaroom.lilly.com/jp/previewPDF/2026/26-09_com.jp.pdf

■日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

ベーリンガーインゲルハイム、「世界腎臓デー」に合わせ、新たな国民病「慢性腎臓病(CKD)」啓発キャンペーンを開始

2026年3月23日

日本ベーリンガーインゲルハイムは、2026年3月12日(木)の「世界腎臓デー(World Kidney Day)」に合わせ、「慢性腎臓病(CKD)」の疾患啓発キャンペーンを開始。お笑いコンビ「ぺこぱ」を起用した交通広告によるトレインジャックを3月23日(月)から29日(日)の間、東京メトロおよび東急線にて「電車内ジャック(中づり貸し切り)」形式で実施した。

また、腎臓に扮したぺこぱによる5本の漫才音声をSpotify・Podcastで配信。「自己紹介」「CKDとは」「eGFRのチェック」など、複数のエピソードを通じて、楽しみながら腎臓についての知識を深めることができる。

https://www.boehringer-ingelheim.com/jp/press-26-0323

編集部ピックアップ

今回、調査対象20社以外で気になったプレスリリースもピックアップしました。

■エーザイ株式会社

家族の会話から将来の親の健康リスクへの備えをサポートする親子対話促進アプリ「ヒビノエ」をリリース

2026年3月25日

エーザイは、離れて暮らす成人親子のコミュニケーションを促進し、将来の親の健康リスクへの備えをサポートする親子対話促進アプリ「ヒビノエ」をリリースしたことを発表。

離れて暮らす親子が忙しい中でも気軽に継続して繋がり合える仕組みを通じて、親の変化に対する見守りや気づきを提供するとともに、家族の関係性をさらに深化させ、親子で踏み込んで話しにくい将来の健康、介護リスクやそれに対する備え、金銭問題や相続といった問題に関するコミュニケーションをサポートする。

同社は、創薬の枠を超え、他産業や自治体とともに「認知症エコシステム」の構築を推進。「ヒビノエ」を通じて、生活者が親子の絆の中で将来の健康および介護リスクに気づき、主体的に備えることができる社会の実現に貢献することを目指すとしている。

【ヒビノエの4つの特徴】

  1. AI絵日記・画像生成機能(家族の“今”を無理なく伝え合える)
  2. 家族AI「フクマル」トーク(聞きにくいことも自然に話せる)
  3. 家族のイマ(将来リスクへの“気づき”を得る)
  4. そなえ(将来への“備え方”を知る)


https://www.eisai.co.jp/news/2026/news202617.html


■大正製薬株式会社

耳のトレーニングができる大正製薬初のヘルスケアアプリ 「AudioCardio」が3月3日「耳の日」に合わせて正式リリース

2026年3月3日

大正製薬は、耳のトレーニングアプリ「AudioCardio(オーディオカーディオ)」を2026年3月3日(火)「耳の日」に合わせてリリースした。同社では、これまで人々の健康に貢献するためあらゆる領域で新たな可能性を模索してきたが、その挑戦の一環として同社初となるヘルスケアアプリを展開する。

「AudioCardio」は、簡単な操作で「聞こえのチェック」と「耳トレ」ができるヘルスケアアプリ。イヤホンやヘッドホンを使用して音を聴く際、バックグラウンド再生される“ぎりぎり聞こえない音”を聞くだけで耳を鍛えることができる。好きな音楽やラジオ、動画などを楽しみながらトレーニングをすることが可能なため、無理なく日常に取り入れることが可能。

【AudioCardioの使い方】

  1. 自分の聞こえをかんたんチェック耳の簡易チェック
  2. 聞こえのチェックから耳トレメニューを選択
  3. 1日60分間の「ながら聞き」でOK
  4. スコアの推移をデータで確認


https://www.taisho.co.jp/company/news/2026/20260303003311/