根拠に基づく医療(EBM)、という言葉は日本においてもよく聞かれるようになって久しいですが、
それを実行するのはなかなか難しい問題が伴います。
ユタ大学のKyle Jones博士は、アメリカにおいてエビデンスベースの医療が提供できないその理由を次のように挙げています。
1医師の習慣
医師が医学部で学び、そして臨床の場で毎日積み上げてきた習慣は、なかなか崩せないものです。
そして、その習慣が既に時代遅れになっていても、なかなか気づきにくいものでもあります。
2圧倒的なイノベーションのペース
医療技術は日進月歩で進化しています。
このイノベーションのペースの速さについて行ける医師は、なかなかいないのです。
3支払いや規制の遅れ
アメリカにおいて医療の支払に大きな影響を及ぼしているのは保険会社です。
その枠組の作り方や規制のかけ方なども、EBMに大きな遅れをもたらしている可能性が高いのです。
4疲れている医師
日々の業務で疲れている医師に、ガイドラインのアップデートを追うような時間的な余裕はなかなかありません。
以上の理由から、EBMはなかなか浸透するのが難しい状況ではありますが、
エビデンスベースの医療は大きなメリットももたらすことが示されています。
例えば、ニュージャージー州のケネディ保健システムでは、エビデンスベースの手法を取り入れたことにより、敗血症やそれに関連する合併症を減少させることに成功しました。
良いと評価されている新しい手法を取り入れようとしても、浸透するのが「カタツムリの歩み」であることは、アメリカも日本も差はありません。
ゆっくりと、しかし確実に、EBMが全体に浸透するように我慢強く改善をしていく必要がありそうです。
出典:FierceHealthcare
http://www.fiercehealthcare.com/practices/practices-slow-to-adapt-to-evidence-based-information