製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2026年1・2月版

昨今、医療・製薬業界でも、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルマーケティングに注力する動きが多くなってきました。本記事では、2カ月に1回、各製薬企業のプレスリリースより、最新製薬マーケティングやDXの取り組みをピックアップ。マーケティング、プロモーション、DXについて、業界全体の最新トレンドや、他社がどのような動きをしているのかを把握できます。今回は、2026年1・2月を対象に最新動向をまとめました。
※調査対象の企業は2025年5月にIQVIAより公開された23年度販売会社ベース企業売上ランキング(期間:2024年4月~2025年3月)の上位20社。50音順にリストアップ
サマリー
- デジタルチャネルの統合的活用による啓発強化
製薬企業が複数のデジタルチャネルを組み合わせた統合的なマーケティング戦略を展開している。日本イーライリリーと田辺ファーマは「その肥満、肥満症かも!」プロジェクトで、テレビCM放映前にショートフィルムをYouTubeで先行公開し、リニューアルした情報サイトではセルフチェックや病院検索機能を提供。認知から受診行動まで一貫したペイシェントジャーニーを設計している。科研製薬も患者向けサイト「KAKEN Health Note」を開設し、疾患・治療情報を集約したデジタルプラットフォームとして、スマートフォン対応や利用者視点のサイト構造を重視。必要な情報へよりスムーズにアクセスできる環境を整備した。デジタルチャネルを効果的に活用する疾患啓発が行われている。
- ユーザー参加型コンテンツによる疾患認知の拡大
参加型デジタルコンテンツを通じて、疾患への気づきと共感を促す取り組みが進化している。ツムラは「50歳からのフレイル川柳」キャンペーンで3万件以上の応募を集め、フレイルの兆候を「あるある川柳」として募集することで、参加者が自身や周囲の心身の変化に気づくきっかけを提供。受賞作品の発表と専用サイトでの展開により、フレイルを身近な問題として捉えるコミュニティ形成を図っている。日本イーライリリーもがん患者向けアートコンテスト「リリー・オンコロジー・オン・キャンバス」でデジタル×アート部門を新設し、デジタルツールでの作品制作も受け付けることで参加のハードルを下げた。双方向のエンゲージメントを重視した疾患啓発が実践されている。
- 医療関係者ネットワークを活用したデジタル×リアル啓発モデル
医療関係者を介した新しい啓発チャネルの開拓の動きがみられる。BIKEN財団とインターネットインフィニティーは、全国約6.9万人のケアマネジャーをハブとする啓発活動を展開。これまで行ってきたWebサイト「帯状疱疹.jp」での情報発信に加え、居宅介護支援事業所に勤務するケアマネジャーにリーフレット2種を提供し、要支援・要介護高齢者に対する定期接種制度の周知を依頼した。デジタル情報発信と医療・介護従事者による個別サポートを組み合わせることで、情報到達から実際の接種行動までの一貫した支援を可能にしている。
各社プレスリリース抜粋
■田辺ファーマ株式会社
肥満症テーマの新たなテレビCMを3月1日(日)より放映開始 肥満症のある女性の心の葛藤と希望を線画で描くショートフィルムも先行公開
2026年2月27日
日本イーライリリーと田辺ファーマは、2026年3月4日の世界肥満デーに合わせて、両社が肥満症の理解促進を目的に昨年より活動を開始した「その肥満、肥満症かも!」プロジェクトを本格始動させ、下記の啓発活動を開始した。
1. 肥満症をテーマとしたテレビCM「その肥満、肥満症かも!」を3月1日(日)より放映開始
新たなテレビCMを3月1日(日)より全国各局にて放映開始。このCMは、努力してもなかなか体重が減らず肥満に悩んでいた女性が、医師との対話を通じて「肥満症」が治療可能な疾患であることへの気づきを得る様子を描いた「その肥満、肥満症かも!」篇。
2. 肥満症のある女性の心の葛藤と希望を繊細な線画で描いたショートフィルムを2月27日(金)より公開
CMに先立ち、本日2月27日(金)より、約1分40秒のショートフィルムをYouTubeにて公開。肥満症のある女性の隠れた努力や葛藤、苦しみ、そしてある医師との出会いを通して前向きな自分を取り戻すまでの軌跡を情緒的な線画という手法で描いたフィルム。(https://www.youtube.com/watch?v=FgjbRdtje5w)
3. 肥満症情報サイト「その肥満、肥満症かも.com」をリニューアル
昨年より公開している両社の肥満症情報サイト「その肥満、肥満症かも.com」(https://www.obesity-disease.jp/)を、3月2日よりリニューアル。本サイトでは、肥満症かどうかのセルフチェックや、肥満症を診てもらえる病院の検索が可能。
https://www.tanabe-pharma.com/ja/news/rel_260227.html
■株式会社ツムラ
「50歳からのフレイル川柳」受賞作品発表―50歳からのフレイルアクションプロジェクト―
2026年1月27日
ツムラは、早期からのフレイル対策の重要性を啓発する「50歳からのフレイルアクション」プロジェクトの一環として、「50歳からのフレイル川柳」キャンペーンを実施し、本日、約3万件以上の応募作品の中から受賞作品を発表。
本キャンペーンは、筋力低下や疲労感など、日常の中で感じるフレイルの兆候を「あるある川柳」として募集することで、フレイルを身近な問題として捉え、自身や周囲の心身の変化に気づくきっかけを提供することを目的としている。
同社は、「50歳からのフレイル川柳」も啓発活動を通じて、フレイル対策を早期に行うことの重要性を社会へ広く伝えるため、「50歳からのフレイルアクション」プロジェクトに中長期に取り組んでいくとしている。
ツムラ第1回「50歳からのフレイル川柳」受賞作品発表【リリースPDF】
https://www.tsumura.co.jp/news/newsrelease/item/20260127_1.pdf
「50歳からのフレイルアクション」サイト
https://www.tsumura.co.jp/frailty-action/
「50歳からのフレイル川柳」サイト
https://www.tsumura.co.jp/frailty-action/senryu/
https://www.tsumura.co.jp/news/newsrelease/2025/202601271200.html
■日本イーライリリー株式会社
-2 月 4 日は「ワールドキャンサーデー」- がんとともに生きる「想いを伝える」 アートコンテスト応募登録を開始
2026年2月4日
日本イーライリリーおよび認定 NPO 法人キャンサーネットジャパンは「ワールドキャンサーデー」である 2 月 4 日(水)、がんと診断された方、その家族、友人を対象にしたデジタル×アート・アナログ×アートコンテスト「第 16 回リリー・オンコロジー・オン・キャンバス。『今日を生きる、明日へつなぐ』(以下、リリー・オンコロジー・オン・キャンバス)の応募登録を開始。
本コンテストはアートセラピーとしての役割も担っており、作品とエッセイの制作過程が、がん患者や家族・友人にとって、気持ちを整理して自分自身と向き合うきっかけとなることを願っているという。
作品の技術性や芸術性にとらわれず、がんとともに生きる「想いを伝える」ことに重きを置いたコンテストで、応募部門をデジタル×アートとアナログ×アートに変更し、幅広い作品を募集している。
日本イーライリリーとキャンサーネットジャパンは、本コンテストを通じて、ひとりでも多くの患者さんや支援者の心に寄り添うとともに、がんになっても自分らしく生きられる社会の実現を目指して継続的なサポートを提供していく。
https://mediaroom.lilly.com/jp/previewPDF/2026/26-1_com.jp.pdf
編集部ピックアップ
2026年1月、2月はデジタルマーケティングやDX関連のプレスリリースが少ない傾向でした。そこで今回は、調査対象20社以外で気になったプレスリリースもピックアップし紹介します。
■科研製薬株式会社
患者さん・一般の皆さま向けウェブサイト「KAKEN Health Note」開設のお知らせ
2026年2月3日
科研製薬は、企業理念の実現と、すべての人が自身の健康と向き合える社会づくりに貢献する取り組みの一環として、患者・一般向けウェブサイトをリニューアルし、「KAKEN Health Note」を開設した。
本サイトでは、デジタル技術を活用した情報提供プラットフォームとして、疾患・治療に関する情報を集約し、必要な情報へよりスムーズにアクセスできるよう改善。スマートフォンを含む各種デバイスに対応し、表示を分かりやすいデザインにしている。また、日常生活で感じる体調の変化や違和感に気づくきっかけになるよう、利用者視点を重視したサイト構造となっている。
KAKEN Health Note トップページURL: https://health-note.kaken.co.jp
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4521/ir_material1/272780/00.pdf
■一般財団法人阪大微生物病研究会
全国のケアマネジャーを介した帯状疱疹ワクチン定期接種啓発活動を開始 ~要支援・要介護高齢者の定期接種機会を逃さないために~
2026年1月21日
一般財団法人阪大微生物病研究会(以下「BIKEN 財団」)および株式会社インターネットインフィニティーは、2025 年 12 月より全国のケアマネジャー(介護支援専門員)を介して、 要支援・要介護高齢者の帯状疱疹ワクチン定期接種を周知するための全国的な啓発活動を開始した。
本活動は、定期接種の対象者のうち、特に経過措置の対象年齢(70、75、80、85、90、95、 100 歳以上)の方が、制度および疾患への理解や接種機会を確保しやすくなるよう、ケアマネジャーを介した啓発活動を全国的に展開するもの。
CM やウェブサイト(帯状疱疹.jp)など帯状疱疹の疾患啓発に取り組んできた BIKEN財団と、ケアマネジャーを介した疾患啓発を行ってきた IIF の両社の強みを生かし、2025 年 12 月より全国の居宅介護支援事業所に勤務する ケアマネジャー約 6.9 万人に啓発活動のためのリーフレット 2 種(①疾患啓発②定期接種制度案内)を提供し、希望者への支援を依頼。ケアマネジャーは利用者のワクチン接種状況や意向を確認し、希望者には必要に応じて接種場所へ赴くための手段(介護タクシーなど)を手配することも可能。この活動は、最大で約 220.8 万人の要支援・要介護高齢者に定期接種制度および疾患理解のための情報が届けられると見込んでいる。











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