リアルとWeb、ニーズはどこに?2つの医師調査から探る医師向け講演会の新しいカタチ
COVID-19の流行によって、製薬企業主催の医師向け講演会の多くがリアル開催からオンライン開催へと移行しました。しかし、COVID-19が収束し「対面の重要性」が改めて説かれつつある今、医師はリアル講演会とWeb講演会それぞれに何を求め、どう使い分けているのでしょうか。
本記事では、株式会社JストリームとMedinewが実施した2つの医師向けアンケート調査の結果をもとに、これからの医師向け講演会のあり方を探ります。
調査概要
株式会社Jストリームによるアンケート調査
実施期間:2024年3月、対象:400床以上の病院の勤務医、回答者数:207名、実施方法:Webアンケート
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Medinewによるアンケート調査
実施期間:2024年2月14日~2月22日、対象:全国の20~60代以上の医師、回答者数:250名、実施方法:Webアンケート
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アフターコロナではリアル/Web問わずに講演会参加が増加
Jストリームのアンケート結果によると、コロナ禍期(2022年5月~2023年2月)とアフターコロナ期(2023年5月~2024年2月)を比較した講演会への参加回数の変化を問う設問では、リアル講演会、Web講演会いずれもアフターコロナ期の方が参加回数が増えたという回答結果が得られました。
特にリアル講演会への参加回数は大幅に増加し、「増えた」と回答した医師は67.7%(「やや増えた(1~2割程度増)」43.5%、「大幅に増えた(3割以上増)」24.2%)であることが分かりました。アフターコロナに入り、医師は講演会へ意欲的に参加しているとともに、コロナ禍で下火になっていたリアル講演会も価値を取り戻しつつあるようです。
また、処方に有用な情報源を問う設問において、上位は「Web講演会(70.5%)」、次いで「学会、研究会(66.2%)」、そして「リアル講演会(43.5%)」であり、2020年時点でのアンケート結果からWeb講演会が順位を1つ上げています。
講演会はリアル・Web問わずに処方に有用な情報源として常に重要視されつつも、コロナ禍を経てWeb講演会の価値が高まったと考えられます。
Web講演会は「クイックに・効率的に情報収集できる場」
リアルもWebも同じように有用な情報源として認められているといえますが、医師はそれぞれどのように使い分けをしているのでしょうか。
Jストリームのアンケートによると、Web講演会の適当な時間の長さを問う設問では、「全体で1時間以内」という回答が51.7%と半数以上であり、次いで「全体で30分以内」が20.3%でした。
また、Medinewが実施したアンケートでは、Web講演会では「時間を有効に活用できる」という点を重視するという回答が68%(「重視する」24%、「まあ重視する」44%)と半数以上にのぼりました。
これらの結果から、Web講演会はなるべくクイックに、効率的に情報収集ができる場であることが医師に求められているようです。
また、2024年4月から施行の医師の働き方改革により勤務時間の削減が求められている中、医師の情報収集の方法も、ますます効率が重視されると考えられます。
Jストリームのアンケートによると、Web講演会による情報収集の効率化の方法として、「Web講演会のLIVE配信終了後のオンデマンド配信(56.0%)」「Web講演会の講演時間の短縮(38.2%)」「Web講演会のタイムシフト配信(追っかけ再生)(34.8%)」への期待が多く寄せられました。Web講演会は、医師それぞれの好きなタイミングで、短時間で視聴できることが重要といえそうです。
アフターコロナ×医師の働き方改革でリアル講演会の価値が変わる
一方、これまでWeb講演会と同様に製薬企業からの情報収集の場として活用されてきたリアル講演会は、2024年4月から施行された医師の働き方改革の影響もあり、求められる役割が変わってきているようです。
Medinewのアンケートでは、働き方改革によって勤務時間の削減が求められる中、医師がどの業務を削減予定かについて調査しました。その結果、リアルセミナー(リアル講演会)の聴講時間に対する「減ると思う」「やや減ると思う」という回答が、他の業務に比べて多いことが分かりました。業務や情報収集に効率を求める傾向にある中、リアルコミュニケーションは効率化につながらないと判断する医師も一定数いるようです。
しかし、前述した通り、医師にとってリアル講演会は処方に有用な情報源のひとつであり、リアル講演会に参加する医師はアフターコロナで増加傾向にあります。医師はリアル講演会に「効率」以外で何を求めているのでしょうか。
Medinewのアンケートによると、医師はリアル講演会について、Web講演会よりも「講師に対して気軽に質問ができる」「講師や他の参加医師、製薬企業の担当者と交流が図ることができる」という項目を重視していることが分かりました。つまり、リアル講演会で実施される情報交換会など、交流の場を重要視しているようです。
医師にとって、実際に医薬品を処方している講師や、同じ領域で活躍する他の医師との交流は有意義であり、リアル講演会はその生の声を聞ける絶好の場だといえます。講師への質問時間だけでなく、参加する医師全員が互いに意見交換できる仕組みづくりをすることで、よりリアル講演会の価値を高められるでしょう。
Webとリアル、それぞれ求められる価値にあわせた講演会設計を
これらのアンケート結果から、Web講演会には「効率」、リアル講演会には「交流」が求められることがうかがえます。
多くの製薬企業はコロナ禍を経て、従来のリアル講演会のノウハウに加え、Web講演会を企画・運営するノウハウも手に入れました。これからは、それぞれに医師が求める価値を知り、Web講演会とリアル講演会を使い分けていくことが必要といえるでしょう。
Medinewでは今後、どのようなケースにおいてWeb講演会とリアル講演会を使い分けるべきか、さまざまなコンテンツを通して深掘りをしてまいります。今後のコンテンツも、ぜひご期待ください。
各調査レポートを無料でダウンロード
本記事で使用したアンケートについては、それぞれ以下よりダウンロードいただけます。