医師会員数の多い4サイトから学ぶ!新しい情報提供の在り方【2022年版】

医師会員数の多い4サイトから学ぶ!新しい情報提供の在り方【2022年版】

コロナ禍により、医療従事者がインターネット上で情報収集するのはもはや当たり前のこととなりました。医師が求める情報、人気のコンテンツやシステムは、いったい何なのか。本記事では、多くの医師会員数を有する主要な4つの医療従事者向けサイトの特徴から、これから必要となるサイト運営や情報提供の方法を探ります。

サイトごとに特色ある内容を提供

医療従事者向けサイトでは、最新の医療情報や知識を配信しているという共通点はありつつも、それぞれ魅力あるオリジナルの特徴を持っています。例えば、圧倒的な会員数を誇る「m3.com」は、幅広い医療関連情報の配信やeディテーリングを盛んに実施。2021年度にはWeb講演会をトータル920万人が視聴し、eディテールは1.1億回実施される1)など、オンラインでの情報提供の先駆者となっています。一方、現役医師が運営する医師専用サイト「Medpeer」は、医師のリアルな薬剤評価情報や医師同士の意見交換コンテンツなど、医師限定だからこその生きた情報が魅力です。他メディアとはひと味違ったコンテンツや情報を提供することが、情報過多の現代において医師会員数を増やすポイントのひとつと言えそうです。
アプリの導入も多くのサイトで採用されています。医師が隙間時間にスマホからさっとアクセスできるアプリの導入は、サイトへの継続訪問の鍵となっていそうです。

医師会員数No.1「m3.com」

~<日本最大級>医師向け最新医学・医療情報サイト~
医師会員数No.1の医療従事者向けサイト。国内では31万人以上2)、全世界では600万人以上の医師が会員登録1)しており、グローバルで利用されている医療専用サイトです。月間PV数は4,100万回以上、医師会員のうち約80%が臨床現場の第一線で働く30~50代2)です。多彩なコンテンツが魅力のひとつですが、2021年度には、製薬企業の情報を届けるMR君やWeb講演会を通し、医療従事者に対して1.1億回のeディテールを実施しました。これはMR5.5万人分に相当する1)そうです。iOS/Androidアプリ展開により、知りたい情報に手軽にアクセスできます。サイトを運営するエムスリー株式会社では、医師求人・転職支援「m3.com CAREER」、医療用品を販売するオンラインショッピングサイト「m3.comストア」、一般の人が医師に相談できる「ASKDoctors」などのサービスを展開し、あらゆる面から医師をサポートしています。

会員数など

医師会員数:31万人以上2)(2022年11月時点)

薬剤師、看護師、専門技師など90万人以上の医療従事者(医師含む)が登録3)(2022年11月時点)

URL:https://www.m3.com/
運営開始日:2003年7月
運営会社:エムスリー株式会社

サイトディスクリプション

医師のための総合医療情報ならm3.com。日々の診療や臨床・医学研究に役立つ医薬品情報、医療ニュース、学会情報、医学文献検索、医師掲示板、求人募集・転職情報、薬剤検索、医院開業・経営・集患ノウハウなど医師専用コンテンツが充実(2022年11月時点)

※サイトディスクリプション…サイト(ページ)を紹介する要約文のことで、グーグルなどの検索結果に表示される文章。

主なコンテンツ

  • 最新医療ニュース

全国主要紙からの医療関連記事

  • 医療維新

医療従事者の視点に立ったm3.com独自取材記事

  • 臨床ニュース

学会や臨床現場から発信されるさまざまな臨床情報

  • 海外ジャーナル

NEJM、BMJ、Lancet他、海外主要ジャーナルの最新論文抄訳

  • m3クイズ 臨床

さまざまな問題を毎日出題

  • MR君、Web講演会

医療・医薬品の最新情報、著名な演者の講演をリアルタイムに配信

  • m3.comカンファレンス

日常診療の疑問・悩みを解決する医師限定Q&Aサイト

  • 治験・臨床研究

治験を中心として臨床研究などの情報

  • AIラボ

最新かつ包括的に医療分野のAIに関するニュース


臨床医のための総合情報サイト「日経メディカルOnline」

~多忙な臨床医の「今知りたい」に答えます~
今年創刊50周年を迎えた総合医療情報誌「日経メディカル」スタッフが運営する信頼高い医療専門サイトです。取材・編集活動で培った医学・医療の情報の収集・整理・分析ノウハウを生かし、臨床情報のみならず、行政動向や病院経営情報も配信。医師会員数は2020年に18万人を突破してから、わずか一年半でさらに2万人増え、20万人超4)となりました。登録医師の80%以上を30~50代5)が占めており、現役医師からの支持の高さが伺えます。2022年4月からは、医師とMRの双方向コミュニケーションサービス「日経メディカルLounge」を提供開始しています。

会員数など

医師会員数:20万人以上4)(2022年4月時点)

薬剤師、看護師、歯科医師、保健師など91万人以上が登録5)(2022年10月時点)

URL:http://medical.nikkeibp.co.jp/
運営開始日:2006年7月
運営会社:株式会社 日経BP

サイトディスクリプション

日経メディカルが、日常診療に役立つ情報を厳選して提供する臨床医のためのサイト。医学論文や専門記者による解説記事、第一線臨床医による連載企画のほか、会員限定の転職・英文校正サービスも充実。(2022年11月時点)

主なコンテンツ

  • NEWS

最新の医療ニュースの提供・厳選した海外論文を日本語で解説

  • REPORT

臨床の最新トレンド、行政動向や病医院経営情報などを専門記者が分析

  • コラム

各分野の第一人者である臨床医や専門家が、日常診療や医療データなどを執筆

  • 私の視点

医療から医師のライフスタイルなどさまざまなテーマで、業界内外の論客が持論を発信

  • 学会情報

国内外の医学関連学会開催情報や話題のトピック

  • 医学大辞典

処方薬やオンコロジー、外来診療における主要疾患などの辞典


いますぐ現場で使える医療情報サイト「CareNet.com」

~明日の臨床に生きるアカデミックな情報を~
日常臨床に役立つ記事や動画などを提供する医学・医療情報サイト。一流ジャーナルに掲載された海外論文の解説記事、最新医学ニュース、診療ノウハウを解説する動画など良質なコンテンツを揃えています。現役で活躍する講師陣500名からのオンデマンド講座を配信するCareNeTVは、有料会員数が6,400名を突破6)。ダウンロードした動画を専用アプリで視聴可能であるなど、内容の充実度に加え利便性も高いコンテンツです。

会員数など

医師会員数:20万5千人7)(2022年11月末時点)

40万以上の医療従事者が登録8)(2022年5月末時点)

URL:http://www.carenet.com/
運営開始日:2000年4月
運営会社:株式会社ケアネット

サイトディスクリプション

明日の臨床に生きるアカデミックな情報を―。日常臨床に役立つ医療・医学情報サイトCareNet.com。最新のニュースや注目論文の解説、エキスパートドクターの連載など医師向けコンテンツが充実。(2022年11月時点)

主なコンテンツ

  • 論文、ニュース

厳選した海外論文を日本語で紹介

  • PubMedCLOUD

日本語で論文検索。自分の文献ライブラリーを作成可能

  • 連載/コラム

医師や医療ジャーナリストがあらゆる医療テーマで執筆

  • 特集

毎回1つの疾患にフォーカスした診療・治療情報の提供

  • CareNeTV

臨床で活躍する500人の講師陣によるスキルアップや専門医試験対策などの動画

  • Doctors’Picks

オンコロジーのエキスパート医師が注目する記事を解説付きで紹介


医師専用”集合知”プラットフォーム「Medpeer」

~臨床医の疑問解決のヒントが見つかる医療情報サイト~
現役臨床医が創設した医師・医学生専用のコミュニティサイトです。薬剤の処方実感に関する投稿を60万件以上集めた薬剤評価掲示板9)や、症例相談・症例検討会など、さまざまなコンテンツ・テーマで医師同士が経験や知識を共有する場として、サイトを運営しています。会員登録にはmedパスを利用しており、同じIDで製薬企業の会員制医療関係者向けサイトの閲覧が可能です。医師向け医療知識のクイズアプリ「MedLedge」を配信しています。

会員数など

医師会員数:15万人以上10)(2022年11月時点)※完全医師向けサイト
URL:https://medpeer.jp/
運営開始日:2007年8月
運営会社:メドピア株式会社

サイトディスクリプション

MedPeerは全国の医師が経験やナレッジを「集合知」として共有し合う医師・医学生専用の医療情報サイト(無料)です。最新の医療ニュースの他、薬剤評価掲示板、Web講演会、エキスパート医師による症例相談など、医師の臨床を支援するコンテンツが充実しています。(2022年11月時点)

主なコンテンツ

  • Web講演会

診断から治療まで臨床メインの講演会を動画

  • 薬剤評価掲示板

医師が処方薬剤の効果・副作用・満足度などをリアルに評価。60万件以上の投稿から3千を超える薬剤データを提供

  • 症例相談

各疾患のエキスパート医師が実臨床での疑問や悩みの解決策をアドバイス

  • クイズ

臨床知識をゲーム感覚で学べるコンテンツ

  • 動画チャンネル

最新の医療ニュースや学会情報などをオンデマンド配信

  • FORUM Q&A

臨床での疑問を医師同士で意見交換できる場


ハイブリッドかつスペシャリティ領域の情報提供強化へ

どの医療従事者向けサイトも会員数をここ数年伸ばしてきましたが、オンラインでの医療情報提供は飽和状態にあるかもしれません。日経メディカルの発表によると、2021年に3,000万PVを超えていた月間ページビューは、2022年後半には約2,300万PVと下がっています11)。会員数は順調に伸びていることから、医師の情報収集方法がオンライン主流から、変化していると言えそうです。では、どのように変化しているのか。医師の情報収集方法は、ハイブリッドへと変化していると考えられます。

国内のMR数は、過去最高となった2013年度の6万5,252人から減少し続け、2021年度には5万1,848人12)となりました。コロナ禍によるMR活動の自粛は緩和されましたが、withコロナへ向け、営業活動の効率化はさらに進んでいくことでしょう。今回紹介したサイトでも、オフラインとオンライン両方の利点を活かした、ハイブリッドの情報提供が導入され始めています。m3.comの「MR君」、日経メディカルOnlineの「日経メディカルLounge」、CareNet.comの「MRplus」などが例です。

注力する情報の種類も変化してきているようです。製薬業界ではスペシャリティ医薬品への強化が行われていますが、今回紹介した医療従事者向けメディアの運営元でも、スペシャリティ領域への注力が進んでいます。治験からの介入やコントラクトMSL導入など、オンラインでの情報発信だけでなく、製薬企業と協力した活動へと拡大しています。

医師会員数が多い医療情報メディアの特色を把握し、質の高い情報提供を

医師会員数の多い4サイトの特徴をご紹介しました。どのサイトも順調に会員数を増やしていますが、今後はオンラインとオフライン双方の特徴を活かしたハイブリッドの情報提供が注目されそうです。多くの会員医師へ質の高い情報提供を行うためには、医療情報メディアと製薬企業の協力は必要不可欠となることでしょう。最後に、今回ご紹介した4社の特徴を一覧にまとめた表を掲載していますので、こちらもご覧ください。

<参考>※URL最終閲覧2022/12/12

  • 日経メディカル, 日経BP, 日経メディカル Onlineのコンテンツについて

https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/info/about/nmocontents.html

  • CareNet, ケアネット, メディカルプラットフォーム事業

https://www.carenet.co.jp/medical/

  • CareNet, ケアネット, 医薬DX事業

https://www.carenet.co.jp/pharmacy/

  • メドピア, 2022.11.14, FY2022通期決算および中期経営計画 

https://ssl4.eir-parts.net/doc/6095/ir_material_for_fiscal_ym/124877/00.pdf


<出典>※URL最終閲覧2022/12/12
1)エムスリー, 2022.11, エムスリー株式会社 会社説明資料
https://corporate.m3.com/assets.ctfassets.net/1pwj74siywcy/2iiVkj9KowUOZBVeZyJwqQ/de8413674417f2c6fb71382eed5c41a0/20221102_presentation_J.pdf
2)m3.com CAREER, エムスリー, 病院・クリニック(採用ご担当者)向けサイトトップ
https://career.m3.com/admin/
3)m3.com, エムスリー, ログインページ
https://www.m3.com/
4)日経BPニュースリリース, 日経BP, 2022.04.22, 日経メディカルOnlineの医師会員数が20万人を突破
https://www.nikkeibp.co.jp/atcl/newsrelease/corp/20220422/
5)日経BP, 2022.11, 日経メディカルOnline媒体資料
https://web-cache.stream.ne.jp/www11/nikkeibpw/adweb/221100_so_NMO.pdf
6)CareNet, ケアネット, 2022.08.10, 2022年12月期第2四半期 決算説明 
https://www.carenet.com/info/ir/cg003821_index.html
7)ケアネット, 2022.11.14, EDINET提出書類 株式会社ケアネット(E05684)四半期報告書
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2150/yuho_pdf/S100PM0D/00.pdf
8)ケアネットニュースリリース, ケアネット, 2022.05.12, ケアネット、医師会員数20万人を突破
https://www.carenet.co.jp/wswp/wp-content/uploads/2022/05/ir_20220512.pdf
9)MedPeer, メドピア, TOPページ
 (https://medpeer.jp/
10)MedPeer, メドピア, 事業内容
https://medpeer.co.jp/service/
11)日経BP, 2022.10, Marketing Report
https://www.nikkeibp.co.jp/ad/atcl/netmedia/NMO/221000_so_NMO_pv.pdf
12)MR認定センター, 2022.09, 2022年版MR白書 -MRの実態および教育研修の調査- 調査概要について
https://www.mre.or.jp/files/co/page/attachment221201/mre_info/Investigation/whitepaper/2022/2022hakusyo-1-6.pdf