MDMD2025 Summer開催報告|製薬マーケティングに関わる300人超が一堂に会して知見を深化

MDMD2025 Summer開催報告|製薬マーケティングに関わる300人超が一堂に会して知見を深化

Medinewは2025年6月4日、医薬品・医療機器のデジタルマーケティングをテーマとしたリアルイベント「Medinew Digital Marketing Day 2025 Summer」(MDMD2025 Summer)を開催しました。
 
MDMDは、メディカルマーケティングマガジン「Medinew」が主催するカンファレンスイベントで、2020年から定期開催しています。第9回となる今回も、製薬企業・医療機器メーカーの方を対象に参加者を募集し、400件近い申し込みをいただきました。
 
当日は、東京・丸の内の会場にて、医師や製薬企業の役職者、オムニチャネル専門家、ベンダーで活躍する有識者らによる14件の講演プログラムや、多彩なサービスを提供する13社による展示が大きな反響を集めました。264名の参加者が来場し、製薬マーケティングの最新トレンドや取り組み事例を共有しました。

現役医師と製薬社長が議論する、情報提供の現在と深化

MDMD2025 Summerでは「いま『深化』する製薬マーケティング」をテーマに掲げ、基調講演をはじめとする講演プログラムのほか、パネルディスカッション、ワークショップなど、さまざまな取り組みを行いました。
 
開会時にはMedinewを運営する株式会社医薬情報ネットの笹木雄剛が登壇。「MDMDは、これからの製薬マーケティングの在り方を議論する場を提供するイベント。患者さんや医療関係者とどのように向き合っていくのか、そのヒントがちりばめられた講演やディスカッションとなっているので、皆様に深い問いを投げかけ、持ち帰っていただきたい」と挨拶しました。

2025.6.4 MDMD2025 Summer 基調講演 アキュリスファーマ 谷垣任優氏、がん研究会有明病院 次富亮輔氏『医療の質を共に高める -医療現場と製薬企業の関係性深化』講演会場の様子
2025.6.4 MDMD2025 Summer 基調講演 アキュリスファーマ 谷垣任優氏、がん研究会有明病院 次富亮輔氏『医療の質を共に高める -医療現場と製薬企業の関係性深化』講演会場の様子

基調講演では「医療の質を共に高める -医療現場と製薬企業の関係性深化」と題して、都内中核病院で副医長を務める現役医師と、製薬企業の代表取締役社長をゲストに招聘。医師と製薬企業それぞれの視点から、情報提供の最適化や、真の意味で両者がチームとして医療貢献していくための方法を探りました。
 
まず、アキュリスファーマ株式会社の谷垣任優氏(代表取締役社長)が講演。「かつては情報を持つこと自体に価値があったが、今は誰でも情報を得られる。重要なのは“意味”を届けることであり、医師の求める文脈に即した個別最適化が求められている」と提起し、MRとMAの役割分担再考や、レギュレーションとの向き合い方などについて、業界全体の視座を交えて語りました。
 
続くパネルディスカッションでは、がん研究会有明病院の次富亮輔氏(呼吸器内科 副医長/一般社団法人正しい医療知識を広める会)がパネリストに加わり、医師と製薬企業のコミュニケーションの実態と課題について議論しました。
 
次富氏は、連日のように製薬企業からのアポイントを受ける中で、「製品紹介や担当変更の挨拶などが目的だと、やはり会おうと思いづらい。レギュレーションの問題もあるだろうが、医師個々人の興味・課題を把握した上でのアプローチが必要だ」と指摘し、自身の場合に刺さる情報提供の内容や、ありがたいと感じた講演会での取り組みなど、具体例を交えて話しました。谷垣氏もそれに応え、情報提供が上手くいかなかった過去事例の分析や、医師の問いに寄り添うマーケティング向上の取り組みなどを紹介。MRの質問力向上や、AIの活用が必須の課題だとしました。

2025.6.4 MDMD2025 Summer 基調講演 アキュリスファーマ 谷垣任優氏、がん研究会有明病院 次富亮輔氏『医療の質を共に高める -医療現場と製薬企業の関係性深化』講演会場の様子
2025.6.4 MDMD2025 Summer 基調講演 アキュリスファーマ 谷垣任優氏、がん研究会有明病院 次富亮輔氏『医療の質を共に高める -医療現場と製薬企業の関係性深化』講演会場の様子

以降も、各プログラムで活発な意見交換が行われました。基調講演を含む各プログラムの詳細レポートは、後日掲載します。

【A会場】

  • 医療の質を共に高める-医療現場と製薬企業の関係性深化/Medinew基調講演
  • ログスケが紐解く!医師のデジタル行動とデジタルプロモーション効果の真実/インテージヘルスケア
  • 「臨床課題」起点で考える情報提供戦略/パネルディスカッション講演(インターネットインフィニティー、リープ、Medinew)
  • DtoDマーケティングにおける新たな解としての”Medii Eコンサル”/Medii
  • 売上予測に透明性を~データドリブンな意思決定で、マーケティング・製品戦略を深化~/エバリュエート・ジャパン
  • 他業界からヒントを得る!オムニチャネル戦略ワークショップ/Medinewワークショップ

【B会場】

  • 希少疾患領域の医師ターゲティング最前線:成功事例とデータ活用の新戦略/医薬情報ネット
  • オムニプロモーション戦国時代を勝ち残るためのKeyチャネルとは/メディカルトリビューン、アルフレッサ
  • RWDが切り拓く製薬マーケティング 〜疾患啓発から治療体験向上の最前線〜/JMDC
  • ヘルステック業界動向を踏まえた疾患啓発の役割と事例紹介/メディウィル
  • 製薬企業オフライン施策事例update:オムニチャネル戦略におけるオフラインの立ち位置とは/ラクスル
  • アフターコロナにおける製薬企業のオウンドメディアと集積データの活用とは/メディクト
  • AI活用事例から学ぶ、コンプライアンス強化とプロモーション迅速化/シャペロン
  • プロダクトマーケティングを強化するデジタルコンテンツ設計/医薬情報ネット

製薬各社の参加者らが熟議したオムニチャネル戦略ワークショップ

MDMD2025 Summerの締めくくりに開催されたのは、本イベント初の試みとなるワークショップ講演「他業界からヒントを得るオムニチャネル戦略ワークショップ」です。
 
コーディネーターを務めたユーシービージャパン株式会社の川野 清伸氏(免疫・炎症事業部 マーケティング部長)によるオープニング講演の後、小人数グループに分かれてワークを行いました。製薬各社から集った参加者らが、情報提供におけるデジタルチャネル活用やデータ活用、コンテンツ作成、組織連携など、それぞれ事前設定されたテーマについて、自身の知見や経験をもとに議論し、課題を抽出。各グループからパネリストが成果発表を行いました。
 
また、オムニチャネル専門家である亀卦川 篤氏(株式会社やる気スイッチグループ 執行役員 事業ディベロップメント本部長 兼 企画戦略室長/クロス・アンブレラ 代表社員/日本オムニチャネル協会 推進リーダー)による特別講演では、消費財メーカーなどと対比した製薬業界の顧客体験の設計の在り方や、他業界のオムニチャネル事例が紹介され、パネルディスカッションをさらに深めました。

2025.6.4 MDMD2025 Summer ワークショップ講演 ユーシービージャパン 川野清伸氏、やる気スイッチグループ 亀卦川篤氏『他業界からヒントを得るオムニチャネル戦略ワークショップ』会場の様子
2025.6.4 MDMD2025 Summer ワークショップ講演 ユーシービージャパン 川野清伸氏、やる気スイッチグループ 亀卦川篤氏『他業界からヒントを得るオムニチャネル戦略ワークショップ』会場の様子

各グループの白熱した議論の中から出てきた、製薬マーケティングのさまざまな側面の課題。川野氏は、「自社にとどまらず人と人のネットワークを構築し、いろいろな意見を聞くこと、さらに他業界からのインスピレーションを得ていくこと。継続的に学ぶことで、これからの製薬マーケティングを変えていけるはずだ」と、今後への期待を述べました。

展示ブースや懇親会で広がる業界ネットワーク

講演会場前のホワイエでは、ベンダー13社による展示ブースも注目を集めました。製薬企業向けのデータ分析やマーケティング支援、AIツールなどの提供サービスや、サードパーティの医師向けメディア・アプリなど、さまざまなサービスの紹介や実演などがあり、聴講の合間に賑わいを見せました。
 
また、講演プログラム終了後には懇親会も開かれ、立食パーティー形式で参加者の和やかな交流が行われました。登壇した医師や製薬企業の役職者、ベンダーの登壇者らも参加し、MDMDで結ばれた縁が広がっていく場となりました。

2025.6.4 MDMD2025 Summer 懇親会の様子
2025.6.4 MDMD2025 Summer 懇親会の様子

新たな知見と知縁を深める場となるMDMD。次回もご期待ください

イベント終了後のアンケート(n=64、2025年6月5日時点)では、当日参加者の4分の3が、イベント全体および各講演に「非常に満足」または「満足」と回答。さらに、7割の方が「次回も参加したい」と回答されるなど、成功裡に当日を終えることができました。

2025.6.4 MDMD2025 Summer イベント開催後参加者アンケート

また、参加者からは以下のようなポジティブなフィードバックが多く寄せられました。

「RWDやAIなど、環境が変化していく中でマーケティングが進化(深化)しようとしていることが実感できました」
「ヘルスケアメーカーの最新技術やトレンドが短時間で学べて、大変勉強になりました」
「これまで漠然と感じていたことに明確な気付きを与えてくれる講演もあり、勉強になりました」
「初めて参加したが、新しいサービスを複数知ることができ大変有意義なイベントでした」
「情報のアップデートに必須な会と考えており、今回も目的が果たせました」
 
一方で、参加型プログラムでは抽選となった講演もあり、「参加できず残念だった」「楽しみにしていたのに落選した」とのお声もいただきました。より多くの方にご参加いただける形式の模索や、アーカイブ配信の拡充なども検討してまいります。
 
Medinewでは、各講演の内容をまとめたレポートを順次公開します。今回参加が叶わなかった方、振り返りをしたい方はぜひご確認ください。
 
次回のMDMDは、2025年10月29日(水)・30日(木)のオンライン開催を予定しています。最新情報はメルマガやX(旧Twitter)で順次お知らせいたします。

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【MDMD2025 Summer開催概要】
名称:Medinew Digital Marketing Day 2025 Summer(MDMD2025 Summer)
主催:Medinew
開催日時:2025年6月4日(水)12:00〜19:30 ※講演は12:30~18:30
開催場所:JPタワー ホール&カンファレンス
〒100-7004 東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 KITTE 4階
対象:製薬企業、医療機器・診断薬関連企業などのマーケティング、営業、メディカル部門などの方
協賛企業
株式会社インテージヘルスケア、株式会社Medii、エバリュエート・ジャパン株式会社、株式会社メディカルトリビューン/アルフレッサ株式会社、株式会社JMDC、株式会社メディウィル、ラクスル株式会社、株式会社メディクト、株式会社シャペロン、Hatch Healthcare株式会社、株式会社HOKUTO、株式会社メディカルノート、リープ株式会社、株式会社インターネットインフィニティー、RX Japan株式会社(順不同)
事前申込者数:391名
当日参加者数:264名
 
今後も、メディアやイベントを通じて、製薬・医療機器業界のデジタルマーケティングに関する最新トレンドや事例を紹介していきます。引き続きMedinewをよろしくお願いいたします。