成果につなげるWebサイト分析の実践|Googleアナリティクスから見るサイトの現状【前編】

Webサイト分析は、改善施策そのものではなく、「どこから手を付けるべきか」を見極めるためのスタート地点です。製薬企業の医療関係者向け・患者向けWebサイト運用においては、成果が出ない原因が施策不足ではなく、現状把握が曖昧なまま判断してしまっている点にあるケースも少なくありません。
本記事では、そのズレを埋めるために、Googleアナリティクス(GA4)を用いた定量的な現状把握の考え方と、押さえておくべき6つの基本指標、その読み取り方を整理します。
製薬企業のWebサイト分析の役割とは
製薬企業におけるWebサイト分析は、単にアクセス状況を把握するための作業ではなく、マーケティング施策全体を支える基盤として位置づけられます。Webサイト分析には大きく分けて3つの役割があります。
第一に、医師・患者向けサイトが適切に機能しているかを評価することです。
医療関係者や患者がWebサイト上で必要な情報にたどり着けているか、情報が理解できる構成になっているかといった点は、利用データをもとに確認する必要があります。Googleアナリティクス(GA4)をはじめとする分析ツールは、こうした情報提供の「届き方」や「使われ方」を客観的に把握するための手段です。
第二に、競合サイトとの比較を通じて、業界内での自社ポジションを可視化することです。
Webサイト分析は自社サイトだけを評価するものではありません。競合他社のWebサイトと照らし合わせることで、自社の情報量や構成、導線設計が業界内でどの位置にあるのかを相対的に捉えることができます。
第三に、製薬マーケティング施策のPDCAを回すための基礎データを得ることです。
Webサイトは、コンテンツ追加や導線変更、施策連動など、継続的に改善を行うべきチャネルです。その効果を検証し、次の施策につなげるためには、実施前後の変化を定量的に把握できるデータが欠かせません。Webサイト分析は、施策の成否を判断するためだけではなく、次の改善を検討する土台にもなります。
Webサイト分析で仮説を見つける
分析によって得られる数値は、即座に改善点を特定するためのものではなく、あくまで仮説を立てるための出発点に過ぎません。
例えば、特定のページで離脱率が高い場合、「情報が分かりにくいのではないか」「導線設計に無理があるのではないか」といった複数の可能性が考えられます。
同様に、限られたページだけが多く閲覧されている場合も、「他のページに価値がない」のか、それとも「そもそも存在に気づかれていない」のかを切り分ける必要があります。
Webサイト分析で重要なのは、数値をもとに一つの結論を出すことではなく、「なぜその結果になっているのか」という問いを整理することです。数字の裏側にあるユーザーの行動や背景を想像し、次に確認すべきポイントを明確にすることで、はじめて分析が改善検討につながります。
Googleアナリティクス(GA4)でWebサイトの全体像を把握する
本記事では、Webサイト分析のファーストステップとして、Googleアナリティクス(GA4)を用いたWebサイトの現状把握に焦点を当てます。GA4は、Webサイト全体の利用状況を横断的に確認できる分析ツールです。特定のページや施策に限らず、「サイト全体がどのように使われているか」を俯瞰するための共通基盤として活用できます。
ここで重要なのは、GA4を用いて詳細に分析することではありません。ファーストステップでは、まずサイト全体の利用状況を俯瞰し、どこに課題がありそうかの「あたり」をつけます。
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GA4で見るべき6つの基本指標
GA4ではさまざまな指標を確認できますが、まず押さえたいのは、Webサイトの現状を俯瞰し、課題の方向性を整理するための指標です。
ここでは「どれだけ情報が届いているのか」「どのような経路で利用されているのか」「どこで行動が止まっているのか」という3つの観点から、確認すべき指標と読み取りのポイントを整理します。
①ユーザー数・セッション数
ユーザー数(アクティブユーザー数)とセッション数は、「どれだけ情報が届いているか」を把握するための基本指標です。Webサイトへの到達度や利用規模を示します。
GA4では、総ユーザー数(ユニークユーザー数)、新規ユーザー数、アクティブユーザー数、リピーター数の4つのユーザー数を取得できます。このうち、GA4での「ユーザー数」とは、「アクティブユーザー数」のことです。
- アクティブユーザー数(AU数)
一定時間以上サイトに関与したユーザー数を示す指標。GA4では「1秒以上の画面表示」「10秒以上のセッション」など、一定のエンゲージメント条件を満たしたユーザーがカウントされる。
- セッション数
ユーザーの訪問回数を示す指標。GA4では、一定時間の非アクティブ(デフォルト30分)を区切りとして計測される。
アクティブユーザー数とセッション数は、以下の操作で確認できます。
メニュー内「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」

ユーザー数とセッション数を見ることで、医療関係者や患者に向けた情報が、どの程度の規模で利用されているのかを大まかに把握できます。ただし、数値の大小だけで評価するのではなく、推移や変化の傾向を見ることが重要です。
また、増減を見る際には、施策の実施有無や季節性、外部環境の変化なども踏まえて捉える必要があります。
②流入チャネル
流入チャネルは、ユーザーがどのような経路でWebサイトに訪れているかを把握するための指標です。GA4では、検索(オーガニック検索)、参照元、直接流入、広告、SNSなど、チャネル別にセッション数を確認できます。
- 流入元(チャネル別セッション数)
検索(オーガニック)、参照元、直接流入、広告、SNSなど、ユーザーがどの経路でサイトに訪れたかを示す。
チャネル別の流入数は、アクティブユーザー数・セッション数と同様に以下の手順で取得できます。
メニュー内「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」

この指標からは、情報がどのようなきっかけで届いているのか、どのチャネルに依存しているのかといった全体像を把握できます。例えば、検索流入が中心となっている場合、検索ニーズに合った情報提供ができている可能性がある一方で、特定のキーワードやページにアクセスが集中している可能性も考えられます。
重要なのは、事前に想定していた流入経路と、実際のデータとのズレを確認することです。想定していたチャネルからの流入が少ない場合、情報発信の方法や導線設計に見直しの余地があるかもしれません。
③ページ別データ・離脱
ページ別データや離脱に関する指標は、ユーザーがWebサイト内でどのように情報に触れ、どこで行動が止まっているのかを把握するための指標です。どのページが閲覧されているのか、また想定していた導線どおりにページが回遊されているのかを確認することで、情報設計や導線設計の現状を読み取ることができます。
- 離脱ページ
ユーザーがWebサイトを離れる際に、最後に閲覧していたページ。どのページで行動が止まっているかを確認できる。
- 直帰率
エンゲージメントが発生しなかったセッションの割合。GA4ではエンゲージメント率とあわせて確認することで、ページ上での関与の有無を把握できる。
- 平均エンゲージメント時間
ページごとに、ユーザーがアクティブに関与していた平均時間を示す指標。単なる滞在時間ではなく、実際に閲覧や操作が行われていた時間を把握できる。
直帰率と平均エンゲージメント時間は、以下の手順で確認できます。
メニュー内「レポート」→「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」

離脱ページに関する指標はレポートからは確認できないため、「探索」機能を用います。探索機能より「空白」の新規ページを作成し、以下のように設定すると、ページごとの離脱数が確認できます。
- セグメント:すべてのユーザー ※任意。デバイス別やトラフィック別など設定可能
- ディメンション:ページ ロケーション
- 指標:離脱数

これらの指標を組み合わせて確認することで、「どのページでユーザーの関与が深まっているのか」「どのページで行動が止まっているのか」など、ユーザーの行動を立体的に捉えられます。
例えば、平均エンゲージメント時間が短いページが多い場合、ユーザーは掲載情報を深く理解する前に離脱している可能性が考えられます。一方で、平均エンゲージメント時間が長いページは、特定のニーズに対して内容がしっかりと読まれているコンテンツである可能性があります。
直帰率や離脱が高いページについても、必ずしも「コンテンツの質が低い」とは限りません。1ページで情報提供が完結しているケースや、次の導線が分かりにくいケースなど、複数の要因が考えられます。
GA4分析でWebサイトの課題の輪郭をつかむ
ここまで紹介したGA4の複数の指標を組み合わせながら分析を進めることで、Webサイトの現状をより多角的に把握できます。例えば、以下のようなケースです。
- ユーザー数・セッション数は一定数あるが、直帰率が高く、特定ページが離脱ページとして集中している
→一定のアクセスはあるものの、サイト内での回遊が広がっていない
- 重要と想定しているページについて、平均エンゲージメント時間と直帰率が高く、離脱ページとなっている
→ページに到達しても情報を十分読めておらず、途中で行動が止まっている
しかし、こうした状況は、必ずしもそのまま「問題」と断定できるものではありません。GA4で確認できる指標は、あくまでユーザー行動の結果を示すものであり、「なぜその結果になっているのか」という原因までを直接示すものではないためです。
GA4で見えてきた傾向をもとに、どの観点から分析を進めるべきかを整理することが重要です。後編ではGA4の結果を起点として、以下の3つの視点から、製薬企業のWebサイトの課題をより深く分析し、改善につなげていくかを整理します。
- 集客:どのチャネルから、どのようにユーザーを呼び込めているのか
- ユーザビリティ:情報にたどり着きやすく、理解しやすい構成になっているか
- コンテンツ:ユーザーのニーズに合った情報が提供できているか
GA4分析は、現状を正しく把握し、次に進むべき方向性を明確にする、Webサイト分析・改善の第一歩です。後編では、これらの視点をもとに、より具体的な分析方法と改善の考え方を解説します。
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