製薬企業のSNS利用状況調査【2026年2月版】

製薬企業のSNS利用状況調査【2026年2月版】

インターネット上での情報収集において、SNSはすでに主要なチャネルのひとつとして定着しています。一方で、誰でも発信できる特性から、誤情報が拡散されやすいという課題もあります。特に、医療や薬に関する情報は、内容次第で健康への影響も考えられるため、信頼性の高い情報発信が欠かせません。製薬企業がSNSで確かな情報を発信することは、CSRにとどまらず、重要なデジタル施策のひとつといえるでしょう。

2022年の調査から4年が経ち、SNS利用はどのように変化したのでしょうか?製薬企業20社を対象としてSNS利用状況調査を実施しました。その内容をご紹介します。

調査対象

2024年4月~2025年3月の販売会社ベース企業売上ランキング(出典:IQVIA)より抜粋した20社(以下に記載)

  • 各社X、Facebook、YouTube、note、Instagram アカウント
  • 英語版アカウント、OTC医薬品・栄養製品・アニマルヘルスのアカウントや内容は除く
  • 直近3ヶ月の更新回数は2025年10月〜12月でカウント


※LinkedInはいくつかの企業がアカウントを有しているものの、投稿なし・会社紹介のみなど活用があまり見られなかったため、今回は調査対象外としました。

調査対象製薬企業一覧

アステラス製薬
アストラゼネカ株式会社
エーザイ株式会社
MSD株式会社
大塚製薬株式会社
小野薬品工業株式会社
グラクソ・スミスクライン株式会社
サノフィ株式会社
沢井製薬株式会社
参天製薬株式会社
第一三共株式会社
武田薬品工業株式会社
田辺ファーマ株式会社
中外製薬株式会社
株式会社ツムラ
日本イーライリリー株式会社
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
ノバルティス ファーマ株式会社
ファイザー株式会社
ヤンセンファーマ株式会社
(五十音順)

各製薬企業のSNS利用状況一覧

X・Facebook・YouTube・note・Instagramの5つのSNSを対象に製薬企業20社の利用状況を調査しました。調査の結果、すべての企業がいずれかのSNSで情報を発信しています。YouTubeを活用しているケースが最も多く、次いでFacebook、Instagramの順です。

SNS活用状況一覧

2022年の調査実施時と比べると、どのSNSも利用する企業が増えており、SNS活用が製薬企業のデジタルコミュニケーション施策の基盤として定着したといえるでしょう。ただし、一部の企業ではグループ会社のアカウントのみを使用している、あるいはグローバルアカウントと共通しているといったケースもあります。

X・Facebook・Instagramは発信内容を使い分けている企業がある一方で、同じ内容を投稿している企業もあり、活用方法は企業によりさまざまです。同じ内容を発信している企業でも、画像を各SNSに適したデザインにするといったように工夫がなされていました。

調査時期が1月であったことも影響し、年末年始の挨拶の投稿が多く見られました。疾患啓発や会社紹介に加え、季節の挨拶も発信内容の定番となっているようです。

製薬企業のX利用状況

今回調査した製薬企業20社中8社が、日本語アカウントでXを利用していました。

沢井製薬では3つのXアカウントを運用しており、健康情報メインアカウント、企業情報・健康情報、AUD(アルコール障害)啓発アカウントに分かれています。特にフォロワー数が多い「ジェネちゃん【公式】」では、投票機能を活用した薬の豆知識クイズや意見の募集を実施。一方向的ではない、ユーザー参加を前提とした双方向コミュニケーション設計がなされています。

また、他のSNSアカウントやコーポレートサイトへ誘導する導線設計によって情報を簡潔に伝える中外製薬の工夫や、さまざまなテーマの投稿で発信量を高めるエーザイの取り組みなどは、参考にしたい事例です。

製薬企業のFacebook利用状況

今回調査した製薬企業20社中13社が、日本語でのFacebook活用をしていました。6社がInstagram、2社がXとほぼ同じ内容を配信しています。

複数のSNSアカウントを活用している企業が多い中、田辺ファーマと日本イーライリリーは、調査対象とした5つのSNSのうちFacebookのみを活用していました。田辺ファーマは、一目で内容が伝わり、興味を引くタイトルを冒頭に配置しています。日本イーライリリーは、がん患者と家族向けの絵画コンテストの入選作品を掲載。また、乳がん啓発ショートムービーの制作過程や裏側を配信していました。さらに、日本イーライリリーのFacebookアカウントはフォロワー数が27万人であり、投稿への「いいね」数も多く、エンゲージメントの高いアカウント運用が行われていることが分かります。

製薬企業のYouTube利用状況

今回調査した製薬企業20社中17社が、YouTubeで日本語による情報発信を行っていました。

今回の調査では、アステラス製薬はYouTubeのみを活用しています。ほとんどの企業が日本アカウントとして運用していますが、アステラス製薬と武田薬品工業はグローバルアカウントとして活用していました。

疾患啓発をメインとするものや、企業活動や職種紹介を中心としたもの、CMメイキングなど多種多様な動画を配信するものなど、YouTubeの活用方法はさまざまです。多くの企業にとって、定期的な投稿を行うツールというよりも、動画配信に適したコンテンツが制作された際に活用するプラットフォームとなっているようです。

製薬企業のnote利用状況

今回の調査では、製薬企業20社中2社がnoteを活用していました。
大塚製薬は疾患啓発や病気への取り組み、職種別インタビューなど幅広い情報を掲載している一方で、中外製薬はDXに特化した取り組みを発信しており、活用方法は対照的です。

大塚製薬では疾患に関する記事内に疾患啓発サイトのリンクを配置し、他サイトへの誘導も行っていました。

ボリュームのある内容を画像とともに丁寧に紹介できる点がnoteの特徴といえます。ひとつの記事を作成するにも時間や労力を要するため、内容を厳選した情報発信がポイントとなりそうです。

製薬企業のInstagram利用状況

今回の調査では、20社中12社がInstagramアカウントを有しており、2022年の調査より活用が広がっていることがわかりました。

7社はXまたはFacebookと同じ内容を配信しており、3社はリクルート情報に特化、1社は特定の疾患啓発アカウントとして運用しています。また、1社は未投稿でした。Facebookと同じ内容を投稿しているアカウントでは、疾患啓発とあわせて会社紹介も同一アカウントで実施しているケースがほとんどです。

各社、投稿画像デザインをコーポレートカラーで統一し、Instagram上での企業ブランドの一貫性を意識した運用が見られました。

SNS活用事例紹介

デザインを統一し、投稿の負担を軽減

SNS投稿では投稿内容やデザインを毎回考えることが負担になるケースも少なくありません。グラクソ・スミスクラインのInstagramアカウントでは、内容別に画像デザインを統一して投稿しています。開設が2025年6月であり、スタイルを精査したうえでInstagram運用を開始したことがうかがえます。

センスのあるSNS投稿画像を作成できるツールを活用し、イメージ向上や洗練されたデザインを取り入れていくことも、注目度を高めるうえで有効といえるでしょう。

また、「きょうはなんのひ?」での疾患啓発や「○○の日」にあわせた企業の取り組み紹介など、投稿アイデアも豊富であり、参考にしやすい事例です。

キャラクターで親しみやすさアップ

製薬企業の情報発信は、硬く真面目な印象を持たれやすい傾向があります。新聞や書籍に触れる機会が減っている層にとって、硬く長い文章を読むことは負担になる場合もあるでしょう。

沢井製薬やファイザーでは、薬や健康情報を発信するキャラクターを活用しています。キャラクターによる情報発信を前提とすることで、柔らかく分かりやすい表現で投稿しやすくなります。読者にとっても、親しみやすさが高まり、情報接触のハードルを下げる効果も期待できそうです。

コーポレートスローガンを投稿に一貫して盛り込む

第一三共のFacebookアカウントでは、投稿の最後にコーポレートスローガンを毎回掲載しています。会社の取り組みや疾患啓発など、内容を問わず一貫したスローガンやビジョンを示すことは、企業イメージの定着や信頼性向上に寄与すると考えられます。

また、第一三共のFacebookアカウントは、6万人弱のフォロワー数を有するアカウントです。投稿頻度の高さが要因のひとつとして考えられますが、12月だけでも世界エイズデー・国際ボランティアデー・世界人権デー・世界UHCデーなど、「○○の日」を活用した投稿が多く見られました。投稿頻度を高めたい場合のアイデアとして、積極的に取り入れたい手法といえるでしょう。

内容やデザインを統一し、運用負担を軽減しながら投稿頻度を高める

Webサイトに掲載するコンテンツとは異なり、SNS運用では一定の投稿頻度を保つことが重要です。継続的に情報を発信し、ユーザーとの接点を増やすことが、アカウントのファン層の形成につながります。

SNS運用の負担を抑えるためには、複数のSNSで同一内容を投稿する方法も有効です。異なるSNSを利用するユーザーへの接点を広げられるほか、投稿作成の工数も削減できます。画像デザインを統一しておけば、制作時間の短縮も可能です。

さらに、キャラクターの活用やコーポレートスローガンの掲載といった工夫を取り入れることで、親しみやすさを高めつつ、企業イメージの定着を図る効果も期待できます。


今回調査した20社の詳細は、無料のダウンロード資料よりご確認いただけます。以下フォームに必要事項をご記入の上、お申し込みください。資料ダウンロード用URLをお送りいたします。