【DL資料あり】12/11は胃腸の日－製薬企業の消化器領域の疾患啓発サイトを調査【2025年11月版】

消化器領域の疾患啓発サイトを運営している製薬企業一覧

消化器領域というと、食道や胃、小腸、大腸などの消化管と、肝臓や胆のう、膵臓など消化を助ける消化付属器があり、さまざまな臓器が含まれます。胃もたれや食欲不振、下痢・便秘など身近な症状として現れる消化器の不調は、一般用医薬品の種類の多さからも治療やセルフケアへの需要の高さが伺えます。

さらに、がんの部位別死亡数（2023年）では、男性の第2位が大腸がん、第3位が胃がんであり、女性の第1位が大腸がん、第3位が膵臓がんであることからも¹⁾、消化器領域の疾患啓発が重要であるといえるでしょう。

今回の調査では、製薬企業20社^※が運営する消化器領域の疾患啓発サイトを調査しました。以前に調査を実施したIBD・胆道がんは、今回の調査対象から除外しております。消化器領域の疾患啓発サイトを運営していたのは9社・20サイトでした。がん関連とがん関連以外に分けると、がん関連が9サイト、がん関連以外が11サイトあり、複数の疾患啓発サイトを運営する企業がいくつかありました。

※調査対象は、2024年４月～2025年3月の販売会社ベース企業売上ランキング（出典：IQVIA）より抜粋した20社

漢方を取り扱うツムラやさまざまな医薬品を取り扱う沢井製薬は、幅広い疾患情報を提供する総合健康サイトを運営しています。小野薬品工業はがん関連の啓発サイト「オノ オンコロジー」を運営しており、そのサイト内で各種がんを解説するサイトを用意し、各種がんの解説サイトは、構成を統一。また、武田薬品工業も、「肝細胞がんサポートナビ」は「腎細胞がん（RCC）サポートナビ」と基本的な構成の統一がみられました。関連する疾患で統一した構成を導入することで、情報提供の一貫性と信頼性を印象付けたり、閲覧者の迷いの解消やサイト作りの効率化といったメリットが考えられます。

臓器や物質をキャラクター化したユニークなイラストや、出現する症状をイラストと文字で表した画像など、読者の関心を高める工夫もなされています。肝臓疾患では栄養療法やレシピコンテンツに各社のこだわりが見られました。また、がん疾患では支援制度や生活サポート情報は自社運営のがん総合サイト内コンテンツへ遷移するなど、疾患ごとの特徴もありました。

ここでは、特徴的なコンテンツがみられた3サイトを取り上げてご紹介します。その他のサイトを含めた調査結果については、ダウンロード資料をご用意しています。ページ下部よりダウンロードください。

武田薬品工業 SBS Life

各コンテンツの下部には、前後のページへ移動できるボタンや、おすすめの関連コンテンツを配置し、閲覧者がスムーズに次の情報へアクセスできる設計になっています。疾患に特徴的な「食事」に関する解説が充実しています。

「医療費助成ナビ」では、3つの条件を選択するだけで利用可能な医療費助成制度を一覧表示。相談先も明記されているため、必要な支援にすぐアクセスできるコンテンツです。

独自の工夫がみられる動画コンテンツも特徴的です。疾患物語動画では、兄弟が患者について語る、子どもが母を語るといった新しい視点を取り入れ、閲覧者の共感を誘います。また、「患者さんからのメッセージ」では、動画と記事の両方を用意し、キーワードによって自分の状況に近い体験談を選べるよう工夫されています。

ダウンロード冊子「いま知りたい！腸管リハビリテーション～患者さんとご家族を支えるチーム医療～」の紹介ページでは、閲覧者へのアンケートを実施。さらに、患者本人だけでなく、周囲の方が疾患を理解しやすいように、説明用の資料や動画も多数用意されています。

SBS Life
https://www.sbs-life.jp/

サイトディスクリプション

SBS Lifeは、短腸症候群（SBS）に関する情報や短腸症候群（SBS）患者さんの生活をサポートするための情報を紹介しています。

キーワード

SBS,short bowel syndrome,短腸症候群,短腸症,腸管切除

コンテンツ一覧

• 短腸症候群（SBS）について

消化器の構造や疾患基礎知識、治療などについてイラストや動画を用いて解説。患者や家族のストーリー動画もあり

• ドクターからのメッセージ

医師からのメッセージを医師の写真付きで掲載

• 患者さんからのメッセージ

患者や家族の体験談を動画と記事の2パターンで紹介。各体験談にはキーワードを記載

• 栄養と食事ナビ

食事や栄養管理の工夫やQ&A、レシピをイラストや写真付きで紹介

• 医療費助成ナビ

3つの質問に回答すると、利用できる可能性がある医療費助成制度を提示。PDFでのダウンロードも可能

• お役立ち情報

災害時の対応、カテーテル管理の動画、患者会や講座の案内、資料集などを掲載

• 短腸症候群の医療施設ガイド

都道府県別に診療可能な医療施設を紹介

• IBDステーション

同社が運営する炎症性腸疾患（IBD）に関するサイトへ遷移

エーザイ エーザイの肝疾患サポートサイト～つなぐ支えあう”あなたらしさ”を～

肝疾患を種類ごとに分類し、それぞれの特徴・診断・治療方法について丁寧に解説しています。学会資料をもとにした図表も多数掲載されており、専門的な内容を視覚的に理解しやすくまとめています。

運動コンテンツでは、サルコペニアについて詳しく説明。セルフチェックの方法に加え、「イレブン・チェック」と呼ばれる11の質問に「はい・いいえ」で答える簡易診断を提供しています。結果は赤色の項目で改善点が示されるため、自分の生活習慣を見直しやすい構成になっています。

レシピコンテンツでは、合併症がある場合の減量や代替食材の工夫、疾患のない家族が一緒に楽しめるレシピ調整方法などを紹介。さらに、外食時のポイントは、メニュー写真とともに「残す量」や「他の食事での調整方法」に関する具体的なアドバイスもあり、実践しやすいコンテンツです。

また、ページ右端にはサイトに関するアンケート機能を設置。サイトを知ったきっかけや、役立ち度、今後知りたい情報などを回答できる仕組みが整っています。

エーザイの肝疾患サポートサイト～つなぐ支えあう”あなたらしさ”を～
https://patients.eisai.jp/kanshikkan-support/

サイトディスクリプション

「エーザイの肝疾患サポートサイト～つなぐ支えあう”あなたらしさ”を～」では、肝臓の働きや肝疾患の種類や症状、診断・検査、治療方法の他、肝がん患者の方の体験談、肝疾患におすすめのレシピなど、肝臓病に関する情報をご紹介しています。

キーワード

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コンテンツ一覧

• 肝疾患について知る

肝臓の働きや慢性肝炎・肝硬変、B型・C型肝炎、肝がんなど、主な肝疾患について基礎知識を詳しく解説。1ページ1つの解説内容の形式

• 肝疾患と向き合う

患者や家族からの体験談を交えながら読者へ向けたメッセージを記事形式で掲載

• 肝疾患について相談する

相談窓口や支援制度の種類や受ける方法を紹介。医療コーディネーターのインタビュー記事も掲載

• 食べる

栄養状態や食事療法の考え方を解説。外食のポイントやレシピ、食品リストなど、実践的な食事管理をサポート

• 運動する

サルコペニアの基礎知識や原因、診断方法、自己チェック方法、食事や運動療法を紹介

• サルコペニア診断（イレブン・チェック）

11の質問に「はい」「いいえ」で回答するとサルコペニアのリスクを簡単に診断

• リンク一覧

病院や相談支援センター、患者会のリンクを掲載

アストラゼネカ 肝臓がんと「自分らしく」

豊富なコンテンツを用意し、肝臓がんについて丁寧に解説しているサイトです。医療用語には用語集へのリンクが設定されており、専門的な内容も理解しやすい構成です。
「発症／診断」「肝切除／焼灼」「TACE」「薬物療法」などの各項目は、「○○とは？」「先生から一言」「体験談」という統一した流れでまとめています。

体験談の構成も特徴的で、患者の治療歴や家族構成をはじめ、直線状に整理された「肝がんヒストリー」、さらに医療関係者や家族からのコメントも掲載。また、テーマ別・患者別の両面から体験談を閲覧できる点も魅力です。

サイト利用者に対してはポップアップでアンケートを表示し、回答者の属性や「役立ったか」「不安が解消できたか」といった項目について意見を募る仕組みも導入しています。

肝臓がんと「自分らしく」
https://www.az-oncology.jp/kanzogan/

サイトディスクリプション

肝臓がん (肝細胞がん) の基本情報と患者さんの体験談（症状、発症、診断、治療法等）について詳しく学べる“Liver Together”というサイトです。患者さんの困り事に対し、医療従事者からのアドバイスも知ることができます。

キーワード

肝臓がん,肝細胞がん,基本情報,体験談,症状,発症,診断,治療法,Liver Together,医療従事者,アドバイス,アストラゼネカ

コンテンツ一覧

• 肝臓がん（肝細胞がん）の基本情報

概要・診断・治療・日常生活について、イラストや図を用いて解説

• 肝臓がんの発症 / 診断について

発症・診断についての簡潔な解説ののち、先生からの一言、発症・診断に関する患者体験談を掲載

• 肝切除 / 焼灼について

切除・焼灼についての簡潔な解説ののち、先生からの一言、切除・焼灼に関する患者体験談を掲載

• TACE（肝動脈化学塞栓療法）について

TACEについての簡潔な解説ののち、先生からの一言、TACEに関する患者体験談を掲載

• 肝臓がんの薬物療法について

薬物療法についての簡潔な解説ののち、先生からの一言、薬物療法に関する患者体験談を掲載

• がんとの向き合い

患者体験談を掲載。治療歴や家族構成、既往歴なども紹介

• 医療従事者とのコミュニケーションの方法

医師と看護師が講演した過去開催のセミナー動画を配信

• 肝臓がんに関する用語集

肝臓がんに関する専門用語をわかりやすく解説

• よくあるご質問

肝臓がんや治療方法などのよくある質問を掲載。質問文を「○○とは」で統一

• お役立ちサイト

同社のがん総合サイト「がんになっても」、国立がん研究センターの「がん情報サービス」への遷移ボタンを配置

• アンケートにご協力ください

サイトについての選択式アンケートを実施

フィードバック機能を備え、ユーザーの声で進化する疾患啓発サイトへ

疾患啓発サイトは公開して終わりではなく、時代や生活者のニーズに合わせて定期的に見直していくことが大切です。そのための仕組みとして、アンケートなどを通じてユーザーの声を集めるフィードバック機能を備えるのも有効です。
患者や家族の意見をもとに、求められる情報や役立つコンテンツを把握することで、よりニーズに寄り添ったサイト運営が可能になります。結果として、疾患啓発活動の質を高め、より多くの人に届く情報発信へとつながるでしょう。

＜出典＞※2025.11.21閲覧
1)日本対がん協会, 正しい知識の普及啓発,
https://www.jcancer.jp/about_cancer_and_knowledge/がんの部位別統計