#1 講演会の形態で成果に差?医師の参加実態とニーズが明らかに|講演会の医師の活用調査2024レポート

#1 講演会の形態で成果に差?医師の参加実態とニーズが明らかに|講演会の医師の活用調査2024レポート

コロナ禍を経て、Web形式の講演会が医師と製薬企業双方に浸透したことで、今では「リアル」「Web」「ハイブリッド」の3つから最適な講演会スタイルを選択することが主流になりました。
Medinewでは、医師の製薬企業主催講演会(リアル/Web)の活用実態やニーズを把握し、今後の製薬企業主催講演会のあるべき姿を探るべく、医師を対象にアンケート調査を実施しました。本記事では、アンケート結果から、リアル講演会とWeb講演会それぞれに対するニーズの違いについて解説します。

調査概要

医師250名を対象に実施した本アンケートでは、製薬企業が主催する講演会に対する医師の参加実態や、講演会後の行動変容(薬剤採用・処方や製薬企業との関係性への影響など)、医師が求める講演会のあり方(リアル講演会を中心に)などについて調査を行いました。

  • 調査期間:2024年7月25日~29日
  • 調査対象:全国の20~60代以上の医師
  • 回答者数:250名
  • 調査方法:Webによるアンケート形式


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医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査 2024【DL資料】
2024.09.25
分析・リサーチ情報
医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査 2024【DL資料】

サマリー

  • 案内を受けた講演会への参加率は、リアル講演会は20名以上の規模で6割、20名未満で4~5割であった。一方、Web講演会は約9割であった
  • 講演会を案内する適切なタイミングも、リアル講演会とWeb講演会で差が見られた。リアル講演会は宿泊ありの場合は3カ月前、宿泊なしの場合は1カ月前の案内が最適との声が多く事前のスケジュール確保が求められる一方、Web講演会は開催1週間前の案内が最適と回答する医師も一定数いた
  • リアル・Web問わず、講演会やその前後の主催製薬企業の対応は、講演会後の薬剤採用や処方など重要な意思決定に影響を与えることが分かった。また、リアル講演会の方がその影響は大きい結果であった
  • リアル講演会の主要ターゲット医師に絞った分析によると、リアル講演会は薬剤の処方などだけに限らず、主催製薬企業とのその後の関係性にも好影響を与えることが分かった

医師の講演会参加率と適切な案内タイミング

本アンケートでは、製薬企業主催の講演会における医師の活用実態やニーズについて、特にリアル講演会を中心に調査しました。アンケートから、案内を受けた講演会への参加率がリアルとWebで大きく異なることや、それぞれの適切な所要時間や案内タイミングも見えてきました。

リアル講演会への参加率は6割、Web講演会は9割

直近1年間で案内を受けた講演会に参加したことがあるかを問う設問では、リアル講演会とWeb講演会で大きく参加率が異なることが分かりました。

リアル講演会は開催規模によって参加率が異なり、20名以上のリアル講演会は6割程度、20名未満であれば4~5割にとどまりました(1回以上の参加経験ありの回答者の合計)。いずれも、開催地による差異はありませんでした。
一方、Web講演会への参加率は約9割と高く、Web講演会の「参加しやすさ」がうかがえます。

DL資料「医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査2024」より抜粋/Medinew
DL資料「医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査2024」より抜粋/Medinew

この結果から、リアル講演会の目下の課題は、案内をした医師の参加率の向上だといえそうです。

Web講演会は直前の案内でも一定数の医師が参加可能

最初に講演会の案内を受ける適切なタイミングを問う設問では、リアル講演会は宿泊ありであれば「2カ月前(21%)」または「3カ月前(28%)」、宿泊なしであれば「1カ月前(32%)」がベストという結果でした。

一方、Web講演会は「1カ月前(35%)」が最多回答者数であったものの、それよりも直前の「1週間前(23%)」「2週間前(20%)」と回答した医師も多くいました。

この結果から、3カ月以上前から予定を確保して臨む医師も多いリアル講演会と比べて、Web講演会は「1週間後に空いていれば参加する」と気軽に案内を受け取る医師が一定数いることがうかがえます。


DL資料「医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査2024」より抜粋/Medinew
DL資料「医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査2024」より抜粋/Medinew

Web講演会はクイックに、リアル講演会は全体を通して2~3時間の開催が適切

講演会の適切な所要時間については、Medinewの別の記事でもリアル講演会とWeb講演会で差異があると言及していましたが、本アンケート結果でより具体的な所要時間が明らかとなりました。

リアル講演会について、講演自体の最適な所要時間は「1時間~1時間半」と回答する医師が最も多く(30%)、講演会後に行われる情報交換会については「30分~1時間未満」という回答が最も多い(34%)ことが分かりました。

一方のWeb講演会は「30分~1時間未満」を適切とする回答が最も多く(46%)、ほぼ半数票を獲得していることからも、Web講演会は「いかに聴講負担なく、クイックに必要な情報を得られるか」を重視している医師が多いと考えられます。

DL資料「医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査2024」より抜粋/Medinew
DL資料「医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査2024」より抜粋/Medinew

■関連記事
リアルとWeb、ニーズはどこに?2つの医師調査から探る医師向け講演会の新しいカタチ

さらに本アンケートでは、回答者のうち、製薬企業からの全国規模リアル講演会への案内回数が多い医師を「リアル講演会主要ターゲット医師(以下、主要ターゲット医師)」としてセグメント分けし、分析を深めました。

DL資料「医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査2024」より抜粋/Medinew
DL資料「医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査2024」より抜粋/Medinew

主要ターゲット医師に絞って結果を見ると、リアル講演会の情報交換会の時間について、全体との差異が大きいことが分かりました。全体では30分~1時間未満を適切とする回答が最多であったのに対し、主要ターゲット医師では「1時間~1時間半未満」が最多(37%)であり、主要ターゲット医師は、情報交換会の時間も十分に必要としていることがうかがえます。

講演会と前後の製薬企業の対応が行動変容を促す

講演会参加後の医師の行動変容に与える影響、主催製薬企業との関係性の変化について、リアル講演会とWeb講演会で差異があることが分かりました。

講演会に参加経験のある医師に、講演会とその前後の主催製薬企業の社員(担当MRを含む)の行動がその後の処方などに影響したかどうかを質問したところ、「薬剤を採用した(リアル講演会49%、Web講演会41%)」「採用済みの薬剤の処方を増やした(リアル講演会55%、Web講演会48%)」など、4割以上の医師が講演会の形態にかかわらず影響を受けた経験があることが分かりました。

講演会および、その前後の主催製薬企業とのかかわり方が薬剤採用や処方など重要な意思決定に影響を与えることがうかがえ、その影響はリアル講演会の方が大きいという結果となりました。

DL資料「医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査2024」より抜粋/Medinew
DL資料「医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査2024」より抜粋/Medinew

回答者が多かった項目には「患者への薬剤・疾患の説明方法を変えた」もあり(リアル講演会46%、Web講演会39%)、患者への適切なコミュニケーションにも講演会が影響を与えていることが分かります。

リアル講演会主要ターゲット医師と製薬企業との関係性にも好影響

前述の結果について、主要ターゲット医師に着目して分析。全体の傾向と同様に「薬剤を採用した」「採用済みの薬剤の処方を増やした」がTOP2であり、ほとんどの項目でWeb講演会よりもリアル講演会の方が影響度合いが大きいことが分かりました。

DL資料「医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査2024」より抜粋/Medinew
DL資料「医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査2024」より抜粋/Medinew

注目すべきは、「主催製薬企業の社員(担当MRを含む)と積極的に面会するようになった」と回答した主要ターゲット医師がリアル講演会61%、Web講演会49%だったことです。この結果から、リアル講演会は、講演会後の製薬企業との友好な関係性構築にも大きな役割を果たすことがうかがえます。

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医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査 2024【DL資料】
2024.09.25
分析・リサーチ情報
医師の製薬企業主催講演会の活用実態とニーズ調査 2024【DL資料】