製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2024年11・12月版

製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2024年11・12月版

昨今、医療・製薬業界でも、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルマーケティングに注力する動きが多くなってきました。本記事では、2カ月に1回、各製薬企業のプレスリリースより、最新製薬マーケティングやDXの取り組みをピックアップ。マーケティング、プロモーション、DXについて、業界全体の最新トレンドや、他社がどのような動きをしているのかを把握できます。今回は、2024年11・12月を対象に最新動向をまとめました。

※調査対象の企業は2024年5月にIQVIAより公開された23年度販売会社ベース企業売上ランキング(期間:2023年4月~2024年3月)より抜粋した19社。50音順にリストアップ

【2024年11・12月サマリー】

  • 医薬品メーカーからヘルスケア企業としての価値訴求

従来の医薬品提供者としての役割を超えて、包括的なヘルスケアパートナーとしての新たな価値提供を目指す動きが活発化している。沢井製薬は新Web動画「命一つに、できる全部。」を通じて、ジェネリック医薬品メーカーの枠を超えた企業像を打ち出し、PHR管理アプリ「SaluDi」や医薬品の使用性向上に寄与する特許技術など、イノベーティブな取り組みを一般生活者に向けて発信。大塚製薬は「認知症ケア支援VR」の販売を開始。デジタル技術を活用した新しいヘルスケアソリューションの提供し、認知症患者と介護者双方が充実した日々を送ることができる「認知症との共生社会」の実現を目指す。

  • デジタルを活用した疾患啓発の進化

患者への情報提供において、デジタルプラットフォームを活用した新しいアプローチが本格化している。第一三共は女性向けヘルスケアアプリ「ルナルナ」と提携し、月経周期データと連動した乳がんの早期発見支援を開始。サノフィは「アレルギーi」内の特設ページ「なりたい皮膚の相談室」を通じてアレルギー疾患に関する包括的な情報提供を展開。田辺三菱製薬が開設した「教えて!たなみん くすりと健康『情報Café』」では、田辺三菱製薬のキャラクターである「たなみん」が案内役をつとめ、日常で皆さんがふと疑問に思う、くすりの基礎知識や医療関連の用語などを紹介。健康や医療に対する正しい知識と理解を深めることで、ヘルスリテラシー向上に寄与することを目的としている。

  • 専門性とDX強化に向けた組織体制の変革

中外製薬が、営業本部への領域専門支店制を導入。「真の患者中心の医療を実現する新たな営業体制を確立する」ため、オンコロジーとスペシャリティ領域での専門性を強化した営業体制を構築する。同時に、デジタル戦略推進部とITソリューション部を再編し、デジタル戦略企画部とデジタルソリューション部として新たに位置づけ、全社的なデジタル戦略の立案と実行を加速させる体制を整備している。

【各社プレスリリース抜粋】
■大塚製薬株式会社

FACEDUO「認知症ケア支援VR」の販売を開始 -「認知症との共生社会」の実現を目指して-

2024年12月12日

大塚製薬は、株式会社ジョリーグッドとの共同事業であるVRトレーニングプログラム「FACEDUO(フェイスデュオ)」のVRトレーニングプログラム「認知症ケア支援VR」の販売を開始。
「認知症ケア支援VR」は、認知症の方のご家族や介護士の方をはじめとする介護者の方々が、認知症の方の気持ちや行動の背景を知り、具体的な対応を学ぶための、専門医監修の体験型VRトレーニングプログラム。介護者が、自身の普段の対応や行動を、VRを通じて認知症の方の主観で体験することで、認知症の方の行動の背景や気持ちを理解することに役立ち、接し方の工夫などを学ぶことができる。
本プログラムによる認知症ケアの向上により、認知症の方がその人らしく暮らし続けることを可能にしながら、介護者のストレスも軽減され、双方が充実した日々を送ることができる「認知症との共生社会」の実現を目指す。

https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2024/20241212_1.html

■サノフィ株式会社

<11月12日は「皮膚の日」>製薬会社サノフィが特設ページ「なりたい皮膚の相談室」を公開

2024年11月12日

サノフィは、11月12日(いいひふ)「皮膚の日」に、アレルギー疾患情報サイト「アレルギーi」に特設ページ「なりたい皮膚の相談室」を公開。慢性的なかゆみを伴う皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎・結節性痒疹(けっせつせいようしん)・特発性の慢性蕁麻疹について、自身の皮膚を見直すきっかけとなるさまざまな情報を発信していく。

<コンテンツ> 
・かゆみの原因 
・皮膚の役割 
・代表的な皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、痒疹、蕁麻疹) 
・かゆみのストレス(勉強・受験、スポーツ、仕事、睡眠などへの影響) 
・進化している治療法 
現在の治療環境について皮膚科医からのメッセージ動画 
-大人のアトピー性皮膚炎の患者さんへ 
-アトピー性皮膚炎のお子さんをもつ保護者の方へ 
・医療機関検索 等

https://www.sanofi.co.jp/ja/media-room/press-releases/2024/1112

■沢井製薬株式会社

沢井製薬 新Web 動画「命一つに、できる全部。」の展開を開始 PHR管理アプリや特許技術で広がる未来-健康を支える取り組みを発信

2024年11月1日

沢井製薬は、新Web 動画「命一つに、できる全部。」の展開を開始。本動画では、ジェネリック医薬品にとどまらず、人々の健康を様々な角度からサポートする企業としての取り組みを紹介し、一般生活者にそのメッセージを届ける。
本動画は、同社が、個人の健康データをスマートフォンなどに記録し活用するPHR(Personal Health Record)管理アプリ「SaluDi」や、医薬品の飲みやすさ・不安の低減に貢献する特許技術を生み出していることについて一般生活者に広く知っていただくことを目的に制作。企業としてのさらなる成長を見据えた取り組みの一端を発信することに加え、一人ひとりの人生に向き合い、健康を支える存在になることを目指すという意志を込めているという。
動画は、YouTubeとTVerで展開。

https://www.sawai.co.jp/release/detail/650

■田辺三菱製薬株式会社

くすりの基本情報サイト「教えて!たなみん くすりと健康『情報Café』」を開設 -ヘルスリテラシー向上にむけて-

2024年11月29日

田辺三菱製薬は、健康や医療に対する正しい知識と理解を深めることで、ヘルスリテラシー向上に寄与することを目的に、患者さん・ご家族に向けウェブサイト「教えて!たなみん くすりと健康『情報Café』」(以下、「情報Café」) を開設。
情報Caféでは、田辺三菱製薬のキャラクターである「たなみん」が案内役をつとめ、日常で皆さんがふと疑問に思う、くすりの基礎知識や医療関連の用語などを紹介する。

<コンテンツ>
1.くすり基本情報Q&A
くすりを水以外の飲み物で飲んでもいいですか?など、くすりに関する疑問に答える
2.お役立ち健康コラム
糖尿病、睡眠やインフルエンザワクチンなど、さまざまな話題から、健康的な生活を送るためのヒントをお届け。
3.Pick Up!これ知ってる?
正しく理解しているか気になる、かかりつけ医、お薬手帳やマイナ保険証など、医療に関する「知っておきたい言葉」を解説

https://www.mt-pharma.co.jp/news/2024/MTPC241129.html

■第一三共株式会社

「ルナルナ」を運営する株式会社エムティーアイとの乳がん疾患啓発における提携について

2024年12月19日

第一三共は、株式会社エムティーアイと、同社が運営するウィメンズヘルスケアサービス「ルナルナ*1」を活用した乳がんの疾患啓発における提携を開始。本提携を通じてブレスト・アウェアネス(乳房を意識する生活習慣)を普及させ、乳がんの早期発見・適切な治療に繋げることを目指す。

最初の取り組みとして、「ルナルナ」内に乳がんに関する情報を発信するポータルサイト「乳 がんケアナビ」を開設し、月経周期に合わせた定期的な乳がんのセルフチェックを促す「ブレストチェック」コンテンツの提供を開始。2025年以降、乳がんの基礎知識を学べるコンテンツや、利用者の生活習慣や家族歴などの情報に基づき乳がんの注意レベルを評価し、レベルに応じたアクションプランを提供する「ブレストアウェアネスチェック」などのコンテンツを段階的に追加していくことを検討している。

*1 「ルナルナ」は、株式会社エムティーアイが提供するウィメンズヘルスケアサービス。2000 年に生理日記録・管理サービスとしてスタートし、「すべての女性に寄り添い社会の変化を後押しすることで、女性の幸せの実現に貢献する」をミッションとして、現在は生理日管理をはじめ、初潮前後の心身のサポートから、妊活・妊娠・出産・更年期、ピルの服薬や医療機関の受診支援まで、女性の 健康全般をサポートしている。

https://www.daiichisankyo.co.jp/files/news/pressrelease/pdf/202412/20241219_J.pdf


■中外製薬株式会社

組織改正・人事のお知らせ

2024年11月25日

中外製薬は、2025年1月1日付の組織改正を発表。改正点は下記の通り。

1. 営業本部への領域専門支店制の導入
疾患領域戦略を策定する本社機能と医療現場の近くで課題解決を行う統括支店機能の強化・融合にむけて、統括支店の「支店」および「室」の再編と本社への機能移管を行い、真の患者中心の医療を実現する新たな営業体制を確立する。
特に、各支店をオンコロジー領域とスペシャリティ領域に分けることで、支店の担当施設や担当エリアを拡大し、より広い視野で戦略を企画実行できる体制とする。組織の専門性を高めることで、医療関係者との深いディスカッションを通じた信頼関係の構築につなげる。
• 統括支店に、オンコロジー領域およびスペシャリティ領域の専門支店制を導入する
• 領域戦略に合わせた要員配置に基づき、支店および室の統廃合を行う
• 統括支店内のエリア戦略推進部、オンコロジー/スペシャリティ領域専門室、ソリューション室を廃止する。それに伴い、領域専門室の領域専門MRの機能をオンコロジー/スペシャリティマーケティング部へ、ソリューション室のメディカル・ネットワーク・リエゾン/チーム医療推進機能をカスタマーソリューション部へ移管する
• 統括支店の戦略遂行のために、データ分析およびDX機能を強化したビジネスソリューション総括室を、統括支店内に新設する

2. デジタルトランスフォーメーションユニットの再編
デジタル戦略推進部が担う全社デジタル戦略立案と実行、ITソリューション部が担う情報システムの計画・構築・運用の推進体制を、戦略企画機能と戦略推進機能に再編する。両部が共に持つ機能を集約することで、各部門との共創を加速し、より価値を生み出すデジタルへのシフトを効果的かつ機動的に実行できる体制にする。

• デジタル戦略推進部とITソリューション部を、機能を再編した上で、デジタル戦略企画部とデジタルソリューション部へ名称変更

https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20241125163000_1444.html?year=2024&category=