製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2025年11・12月版

製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2025年11・12月版

昨今、医療・製薬業界でも、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルマーケティングに注力する動きが多くなってきました。本記事では、2カ月に1回、各製薬企業のプレスリリースより、最新製薬マーケティングやDXの取り組みをピックアップ。マーケティング、プロモーション、DXについて、業界全体の最新トレンドや、他社がどのような動きをしているのかを把握できます。今回は、2025年11・12月を対象に最新動向をまとめました。

※調査対象の企業は2025年5月にIQVIAより公開された23年度販売会社ベース企業売上ランキング(期間:2024年4月~2025年3月)の上位20社。50音順にリストアップ 

【2025年11・12月サマリー】

  • 患者向け治療支援アプリの実用化が加速

製薬企業が患者の日常的な疾患管理を支援するデジタルツールの開発・提供を本格化させている。サノフィはデュピクセント®使用患者向けアプリ「MyWay」の提供を開始。自己注射のリマインダー、治療日誌、学習コンテンツなど6つの機能を搭載し、症状の記録・可視化や治療スケジュール管理を通じて患者の生活の質向上を目指している。大塚製薬は国立循環器病研究センターと共同で、栄養モニタリングアプリ「Vivoo」を活用した心疾患患者の減塩行動変容に関する研究を開始。尿をかけた試験紙を専用アプリで読み取り、AIと画像処理技術で栄養状態を測定し、管理栄養士監修のアドバイスを提供する仕組みで、自宅での頻回測定により行動変容を促す。こうしたアプリは単なる情報提供にとどまらず、患者の治療継続と生活改善を実践的にサポートするツールとして期待されている。

  • 体験型・共感型コンテンツによる疾患理解の深化

疾患啓発において、当事者の視点や体験を重視した共感型コンテンツの展開が進んでいる。日本イーライリリーは再発乳がん患者の「生きる力」を描くショートフィルム『日々をつなぐ』を制作し、完成披露イベントには主演の南果歩さんや再発乳がん患者の荻原卯月さんが参加。映像と対話を通じて患者の心情を伝えた。ヤンセンファーマは肺がん患者188人を対象とした調査結果を公開し、患者が「家族や大切な人と過ごす時間」や「希望を持って前向きに過ごす」ことを重視している実態を明らかにした上で、四季折々の情景や家族との思い出を振り返る動画を制作。ツムラもWeb展示『違いを知ることからはじめよう展』で、生理・PMSに伴う症状をCGイラストで可視化し、周囲へ症状を伝えるツールを提供するなど、体験の共有を通じた理解促進を図っている。

  • 産官学連携とAI活用による医療システムの変革

製薬企業が自治体や医療機関、AI企業との連携を強化し、医療システム全体の変革に取り組んでいる。アストラゼネカは奈良市、奈良市医師会、医療機関、学術機関と共同でCOPD対策の産官学共同宣言に合意し、地域主導での早期受診・早期診断・早期治療の実現を目指す。PHRなど医療DXの活用も視野に、受診率や診断率などの指標で効果検証を行なっていく。中外製薬はAIを駆使したクラウドベースの病理画像解析プラットフォームを提供するbiomyと基本合意を締結し、AIを活用したがん病理診断支援プログラムの共同開発を開始。術前薬物療法の効果判定支援や、がん免疫微小環境のAI解析による予後予測など、病理医の業務負荷軽減と個別化医療の実現を目指している。これらの取り組みは、地域や業界の枠を越えた連携により医療の質向上を図る動きとして注目される。

【各社プレスリリース抜粋】
■アストラゼネカ株式会社

アストラゼネカ、奈良市における健康寿命延伸を目指した、新たなCOPD対策を推進、産官学による共同宣言に合意

2025年11月21日

アストラゼネカは、奈良市と「奈良市における健康寿命延伸を目指した新たなCOPD(慢性閉塞性肺疾患)対策」を推進していくこと、そして、産官学の関係者とCOPD医療の変革を目指した共同宣言に合意した。本対策は、2025年5月15日に奈良市と締結した「奈良市民の健康づくりの推進等に関する連携協定」に基づく取り組みの一環であり、2026年3月頃の開始を予定。
今回の新たなCOPD対策では、地域主導で早期受診・早期診断・早期治療につなげることを柱に、行政、奈良市医師会、検査医療機関、呼吸器専門医療機関、学術機関、企業が連携していく。さらに、PHR(Personal Health Record)など医療DXの活用も視野に、受診率、診断率、治療導入率、増悪・入院、医療費等の指標で効果検証を行い、PDCAでの改善を継続するとしている。
 
https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2025/202511211.html
 
■大塚製薬株式会社

国立循環器病研究センターと共同研究契約を締結 〜心疾患患者への栄養モニタリングアプリによる減塩行動変容の検討〜

2025年11月5日

大塚製薬は国立研究開発法人国立循環器病研究センターと、心不全または高血圧症を有する外来の心疾患患者さんを対象に、心臓リハビリテーション参加中における栄養モニタリングアプリ「Vivoo(ビブー)」を活用した減塩に対する行動変容の検討に関する共同研究契約を締結した。
本研究は、心疾患患者さんの減塩への意識向上を目的として、栄養モニタリングアプリVivooを用いた探索的臨床試験として実施される。Vivooは、尿をかけた試験紙を専用アプリで読み取ることで、人工知能と画像処理技術により栄養状態を測定し、その測定結果に合わせて管理栄養士が監修した食や生活習慣のアドバイスを提供。自宅で塩分摂取状況を頻回に測定できる環境を整えることで、自身の行動変容を促し、生活習慣の改善に寄与することを目指す。本研究により、心疾患患者さんの減塩行動変容が明らかとなれば、同様の疾患を持つ患者さんに対する新たな治療支援の可能性が広がると期待されている。
 
https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2025/20251105_1.html
 
■サノフィ株式会社

<2025年11月19日は世界COPDデー>サノフィ、COPD の適切な治療を呼びかける啓発キャンペーンを開始 ~あきらめていませんか、当たり前のこと~

2025年11月12日

サノフィは、2025 年 11 月 19 日 の「世界 COPD デー(World COPD Day)」に合わせ、慢性閉塞性肺疾患(以下、「COPD」)の適切な治療・医師への相談を呼びかける啓発キャンペーンを開始。本キャンペーンでは、適切なタイミングでの受診と治療の重要性を広く伝え、より多くの方が早期に COPDに気づき、適切な治療を受けられる社会の実現を目指す。
具体的には、サノフィ公式 YouTube チャンネル(Sanofi Japan Official Channel)にて、COPD の疾患啓発を目的にした新たなアニメを公開。また、「COPD と共に生きる」をコンセプトにした WEB ページを公開するなどが実施された。
 
【キャンペーン概要】
開始日:2025年11月5日
内容:疾患啓発 Web サイト、SNS 投稿、患者インタビュー動画配信、全国の医療機関へのポスター掲示など
URL: https://www.allergy-i.jp/copd/life/copd_day/
YouTube 公式チャンネル: Sanofi Japan Official Channel
対象:一般生活者、患者、ご家族、医療従事者
 
https://www.sanofi.co.jp/ja/media-room/press-releases/2025/1112
 

サノフィ、デュピクセント®使用患者さん専用アプリ「MyWay」の提供開始 ~治療生活に役立つ 6 つの機能で、患者さんをサポート~

2025年11月20日

サノフィは、デュピクセント®(一 般名:デュピルマブ(遺伝子組換え))を使用する患者さんを対象とした、スマートフォンアプリ「MyWay – 患者さまサポートアプリ – 」(以下、「MyWay」)の提供を開始。
患者さんの治療満足度の向上と適切な治療継続のサポートを目的とし、米国、ドイツ、日本をはじめとする複数の国で導入・活用されている。治療生活に役立つ多彩な機能を搭載しており、症状の記録・可視化、治療スケジュールの管理、アレルギーに関する包括的な教育コンテンツなどを通じて、患者さんの生活の質の向上へ貢献することを目指す。
また、本アプリは、サノフィのサステナビリティ活動「Planet Health Japan」の一環で、従来紙で提供していた患者用資材をデジタル化し情報を集約することで、紙使用に伴う CO2 排出の削減に貢献するとしている。
 
【MyWay の 6 つの機能】
1. 自己注射のリマインダー
自己注射の日時を設定することで、治療スケジュール管理をサポートし、打ち忘れを防ぐ。

2. 自己注射ガイド
自宅での注射手順やポイントを、わかりやすい動画で案内。

3. 治療日誌
症状の経過を記録することで、主治医への説明にも役立てられる。

4. 学習コンテンツ
疾患や治療薬、治療に関する情報を提供。

5. 身の回りの環境情報
アレルギー症状に影響する、身の回りの環境情報をお知らせ。

6. お問い合わせ
自己注射や治療費に関する不明点については、専任スタッフが対応する相談室を利用可能。
 
https://www.sanofi.co.jp/ja/media-room/press-releases/2025/1120
  
■武田薬品工業株式会社

IBD患者さんの”ハンバーガーが食べたい!”をサポート「IBDream知恵袋~ハンバーガー編~」公開について

2025年11月7日

武田薬品工業は、いいおなかの日(11月7日)に合わせ、炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease、以下「IBD」)患者がハンバーガーを食べたい時に役立つ情報をまとめたウェブページ「IBDream知恵袋~ハンバーガー編~」(以下「本知恵袋」)を、同社の疾患啓発サイト(IBDステーション)にて公開。

本知恵袋は、IBD患者の悩みに向き合い、さまざまな企業や団体とともに解決策を考える同社の「IBDreamプロジェクト」の活動の一環。ハンバーガーなどのファストフードは、脂質が気になって”食べたくても食べられない”という悩みを抱えているIBD患者のために、ハンバーガーを楽しむための参考情報を「5つのヒント」として掲載。また、ハンバーガーチェーン計3社の公式HP内の、IBD患者さんが気になる栄養成分情報が掲載されているページへのリンクも併せて掲載している。
 
https://www.takeda.com/jp/newsroom/local-newsreleases/2025/ibdream-hamburger/
 
 
■田辺ファーマ株式会社

ダイアベティス(糖尿病)のある人の受診時における相談勧奨を目的に啓発ウェブサイト:「かえよう糖尿病」を開設~よりよい人生のために、自分に合った治療を医師とともに考えよう~

2025年11月14日

JADEC(公益社団法人日本糖尿病協会)と日本イーライリリーおよび田辺ファーマは、ダイアベティス(糖尿病)のある人の受診時における医師への相談勧奨を目的とした啓発ウェブサイト「かえよう糖尿病」(以下、本ウェブサイト)を開設。
ダイアベティスのある人は、治療に取り組み努力を重ねていても、なかなか目標の血糖値を達成できない場合があるが、自身の努力不足と考えてしまう人が少なくない。ダイアベティスのある人が、自分らしい人生を生きられるよう、自分に合った治療について医師と一緒に考える重要性を啓発することを目的に、本ウェブサイトを開設した。
本ウェブサイトでは、血糖値が改善しないのは自身の努力だけではなく、体質や環境要因が影響していることについての解説を含め、ダイアベティスの正しい疾患理解を促すコンテンツを展開。ダイアベティスのある人がより豊かで自分らしい人生を歩めるよう、今後もダイアベティスのある人へのサポート活動を通してダイアベティス治療に貢献してくとしている。
 
https://www.tanabe-pharma.com/ja/news/MTPC251114.html
 
 

「肥満症」の“みえない偏見や要因”を知るゲーム型研修ツール「みえない偏見カード」「みえない要因すごろく」を無料公開

2025年12月15日

日本イーライリリーと田辺ファーマは、「肥満症」の疾患啓発プロジェクトの一環として開発した体験型研修プログラム「肥満と肥満症のただしいミカタ研修」において、新たなゲーム型疾患啓発ツールとして、改訂版「みえない偏見カード」および「みえない要因すごろく」を開発。両社は、誰もが楽しく肥満症について学べるよう、本プログラムのWEBサイトにおいて、両ツールを無料ダウンロード可能な形式で公開した。
「みえない偏見カード」とは、日常に潜む「肥満は自己管理の問題」という無意識の誤解や偏見に気づくための対話型カードゲーム。「みえない要因すごろく」は、すごろくを進めながら、「みえない要因カード」を4種類(身体的要因、心理的要因、環境要因、社会的要因)揃えてゴールを目指すボードゲームで、カードを集めながら、肥満や肥満症には自分だけでは解決できない複合的な要因があることを理解できる仕組み。
今後も、WEBサイトでのツールの無料公開や他企業とのコラボレーションイベントの開催などを通し、本プログラムの内容を企業の職場や地域、コミュニティ、そして社会全体に広く提供していく。
 
https://www.tanabe-pharma.com/ja/news/rel_251215.html
 
■中外製薬株式会社

中外製薬とbiomy、AIを活用したがん病理診断支援プログラムの共同開発に向けた基本合意を締結 ~革新的な病理AIプログラムの開発に向け、製薬企業とAI企業が共創を開始~

2025年11月25日

中外製薬と株式会社biomyは、AIを用いたがん病理診断支援プログラムの共同開発について、基本合意書を締結した。
本共同開発では、病理医の業務負荷を軽減し、個々の患者さんへの最適な治療ならびに診断を提供するために、中外製薬が長年オンコロジー領域の事業活動で培った科学的知見と、biomyの最先端AI技術を活用したがん免疫微小環境解析プラットフォームを融合することにより、AIを活用した2つの革新的な病理AIプログラム開発を目指す。
 
①術前薬物療法の効果判定支援プログラム
②がん免疫微小環境のAI解析による予後や薬剤の有効性に関する特徴量を検出するプログラム
 
業界の枠を越えた共創により、がん患者さんへの最適な治療提供に貢献するPHC(Personalized Healthcare)ソリューションの社会実装を目指していく。
 
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20251125153002_1532.html?year=2025&category=
 
■株式会社ツムラ

Web展示『違いを知ることからはじめよう展』を公開―#OneMoreChoice プロジェクト―

2025年12月18日

ツムラが取り組む#OneMoreChoice プロジェクトは、生理のつらさを我慢しなくていい社会を目指した活動。2025年7月に開催した生理・PMSをテーマとした企画展の内容をWebでもご覧いただけるようWeb展示『違いを知ることからはじめよう展』を、2025年12月18日(木)13時に公開した。
Web 展示は、CG イラストを用いて生理・PMS に伴う症状による日常への影響を可視化したコンテンツや、自分の症状を 伝えるツールとしても活用できるイラストコンテンツ、シェア機能を用いて我慢に代わる選択肢= OneMoreChoice を考え、選択肢を広げるコンテンツ等、Web ならではの工夫を施した内容になっている。
 
<主なコンテンツ内容>
① 生理・PMS に伴う症状によって「“いつも通り”にいかない 1 日」を CG イラストで再現
② 周囲へ症状を伝えるためのツールとしても活用しやすい「それぞれの生理のかたち」
③ 精神的な症状に焦点を当てた「こころの波」
④ 調査結果を基に、生理・PMS に伴う症状やつらさに対する意識や実態を知るきっかけに
⑤ 視点を変えると見方が変わる「心の声が読めるマンガ」
⑥ “あなたの#OneMoreChoice”をシェアすることで、誰かの選択肢を広げるきっかけに
 
https://www.tsumura.co.jp/news/newsrelease/2025/202512181300.html
 
■日本イーライリリー株式会社

再発乳がん患者さんの“生きる力”を描くショートフィルム『日々をつなぐ』 完成披露プレミア上映イベントを開催

2025年11月10日

日本イーライリリーは、SHORTSHORTS(株式会社ビジュアルボイス)と共同で、再発乳がん患者さんの「生きる力を見出す」ショートフィルム 『日々をつなぐ』を制作し、その完成披露プレミア上映イベントを10月のピンクリボン月間に開催。
イベント前半はショートフィルムの上映で始まり、後半にはがん研究会有明病院院長補佐乳腺内科部長高野利実先生が 乳がん治療の現在の状況を解説、その後行われたトークセッションでは、主演の南 果歩さん、脚本・監督の井上 博貴さん、再発乳がん患者さんの荻原 卯月さん、高野先生が 参加し、再発乳がん患者さんの「生きる力」の重要性や制作者の想いが話し合われた。
本編とメイキング動画は、同社YouTubeおよびWEBサイトにて公開している。
 
https://mediaroom.lilly.com/jp/previewPDF/2025/25-68_com.jp.pdf
 
■ヤンセンファーマ株式会社

「Value of Time」キャンペーン第2弾 患者さん視点での新しい調査結果を発表

2025年12月19日

Johnson & Johnson(日本における医療用医薬品事業の法人名:ヤンセンファーマ株式会社)は、肺がん患者にご家族や大切な人と過ごすかけがえのない時間への希望を持ち続け、未来を思い描きながら治療に臨んでほしいとの想いから、「Value of Time」 キャンペーンを展開しており、キャンペーンの第2弾として調査結果とキャンペーン動画を公開した。
2025年7月にJ&Jが実施した、肺がんステージIIIB~IVもしくは術後再発と診断され、薬物療法を実施した患者さん188人を対象とした調査では、主に以下の点が明らかになった。
 

  • 初回薬物治療を決める際「生存期間を延ばすために、できるだけ効果に期待ができる治療を受けたい」を非常に重視45%、重視以上は90%
  • 現在は「家族や大切な人と過ごす時間をできるだけ長く」、「希望を持って前向きに過ごす」を非常に重視52%、重視以上は94%と96%
  • 初回薬物治療に求めること、27%は「がんが進行・増悪しない期間が延びる」、「生存期間が延びる」
  • シェアード・ディシジョン・メイキング(Shared Decision Making: SDM)の実施度が高い人ほど、治療満足度も高い

 
動画は、肺がんと診断され、これから病とともに生きていく上で、自分にとって何が1番大切なのかを、四季折々の情景、家族や仲間との思い出を振り返りながら考える内容となっており、医師とともに治療について話し合うよう呼び掛けている。
 
https://www.jnj.com/innovativemedicine/japan/press-release/20251219