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DL資料あり|MDMD2022Springレポート/医療関係者向けサイトの役割と課題、MAツール活用による成功事例

DL資料あり|MDMD2022Springレポート/医療関係者向けサイトの役割と課題、MAツール活用による成功事例

2022年5月に開催したオンラインカンファレンス「Medinew Digital Marketing Day(MDMD) 2022 Spring」。株式会社メディクトの下山直紀氏がモデレーターを務め、フェリング・ファーマ株式会社の吉田栄一氏を講師に迎えた本セッションでは、医療関係者向けサイトでの成功体験やそこから得られたメール活用の知見について解説しました。

コロナ禍を乗り越えたフェリング・ファーマのオムニチャネルアプローチ

フェリング・ファーマでは、情報提供活動において「正しい顧客に対し正しいメッセージを正しい方法で届ける」ことを最終的なゴールとし、オムニチャネルによるアプローチを推進しています。吉田氏は「従来のMRによる情報提供だけでなくのみならず、オウンドメディアをはじめとするデジタルチャネルや、MRとデジタルチャネルを融合させたe-mailディテーリングなどのハイブリッドチャネルを駆使することで、顧客にとって最適な情報提供を目指している」と話します。

フェリングファーマのオムニチャネルアプローチ
2022.05.26 フェリング・ファーマ(株)「医療関係者向けサイトの役割と課題、MAツール活用による成功事例」資料より抜粋

医療機関の訪問規制により、フェリング・ファーマの2020年のMRによる医療機関への訪問数は、2019年と比較しおよそ半数まで減少。しかし、吉田氏は、2019年までに培ったデジタルやハイブリッドチャネルを活用することにより、市場へは十分量の情報を適切に提供できているといいます。

フェリングファーマのチャネルの活用推移
2022.05.26 フェリング・ファーマ(株)「医療関係者向けサイトの役割と課題、MAツール活用による成功事例」資料より抜粋

MRによる情報提供量はコロナ禍以前ほど回復していないものの、デジタルによるアプローチを増やすことにより、直近の2022年では情報提供の総量が2019年対比で77%増加しています。吉田氏は「MRによる情報提供に比べ、デジタルチャネルは医療関係者に与えるインパクトとしては下がると感じている。そのためデジタルチャネルでは、複数回、適切なタイミングで情報を発信し、情報提供量を多くすることも重要」と話します。

医療従事者への情報提供スタイルの変化

従来、製薬企業から医療関係者への情報提供は、「認知」「記憶」「クロージング」「アフターケア」までの一連のプロセスを一人のMRが担当していました。しかし、コロナ禍の環境変化もあり、現在では、デジタルとリアルをシームレスに顧客に応じて使い分けるオムニチャネルの情報提供スタイルに変化しています。

フェリング・ファーマのオムニチャネルの起点として機能しているのが、同社の医療関係者向けサイト「Find FERRING」です。会員制を敷くことで、顧客である医療関係者の情報を取得・分析でき、その情報をデジタルマーケティングやMR活動のサポートにつなげています。

オムニチャネルの起点としてオウンドメディアに求められるもの

オムニチャネルの起点としてオウンドメディアに求められるものは、情報提供を行う対象者(顧客情報)の獲得です。そのためには、登録会員数・訪問数の増加につながる施策が欠かせません。「Find FERRING」では、会員獲得のための工夫やSEO対策を行うことで、2020年2月から2022年5月時点までに会員数は4.6倍、オーガニック検索数も約11倍に増加しました。

会員を獲得するための工夫として、フェリング・ファーマではMRによる登録依頼やチラシ配布、MRからのメールと説明会の連動などを継続的に実施しています。また、施設検索機能を有する患者向けサイトと連動させ、患者向けサイトへの施設登録時に自動的に「Find FERRING」の会員となるようシステムを連携しました。
さらに製品の使用要件に「Find FERRING」掲載のe-learningコンテンツの受講を組み入れたことも、登録会員数の増加に寄与しました。

オウンドメディアの運営には外部委託と社内の連携が必要

「Find FERRING」は、運営の大半を外部に業務委託しています。吉田氏は「完全な外部委託は瞬発力があるが、中・長期的な視点で自社の納得度と理解度の向上やコスト削減を目指す場合は、社内での経験者登用と外部委託の併用が適している」と説明します。

下図に示す通り、「Find FERRING」では、メディアの責任者を自社のプロジェクトマネジメント経験者が担い、他のポジションは全て外部に業務委託しています。

中でも、製薬業界動向を先進的に把握し提案ができるコンサルタントは、メディア運営において重要なポジションです。「Find FERRING」では、メディクト社がコンサルティングを担当しています。「社内メンバーだけでは徐々に視野が狭くなりがちなため、医療業界を把握しつつ、一般的なデジタル領域にも先見の明がある第三者からの客観的な視点の意見が必要」と吉田氏は話します。

フェリングファーマの体制
2022.05.26 フェリング・ファーマ(株)「医療関係者向けサイトの役割と課題、MAツール活用による成功事例」資料より抜粋

医療従事者向けサイトの課題を解決するメール活用

コロナ禍以降、製薬企業では医療関係者向けサイトの構築やリニューアル、会員化が加速しています。一方で、サイト構築やリニューアル後の課題として、会員獲得の鈍化、PV数の伸び悩み、休眠会員の増加などが挙げられます。

「Find FERRING」に限らず、サイトリニューアル後にPVは一時的に増加するものの、その後は頭打ちになる傾向があります。この課題に対する施策として、フェリング・ファーマでは以下の2つのメールプロモーションを実施しています。

  1. Personalized email promotion
    MRによるOne to One Tailor-made e-mail。顧客毎にメッセージを作成、配信者名はMR個人名。メール本文にコンテンツを付与しログイン(ID/Pass)なしで閲覧可能。
  2. Many email promotion
    旬なコンテンツや、基本コンテンツのリマインド、イベント告知。領域毎にメッセージを作成。配信者名はFind FERRING事務局。原則としてコンテンツ閲覧のためにはログインが必須。

このうち、本講演では「Many email promotion」にあたる具体的なメールパターンを3つ紹介しました。

A) 定期的に配信するメールマガジン

メールマガジンは「定期メールマガジン」「イベント告知メールマガジン」の2種類を配信しています。
定期メールマガジンは、月に1回配信し、製品戦略に沿ったコンテンツをプロモーションタイミングを考慮して掲載。サイト内の旬なコンテンツや、基本コンテンツのリマインドも実施しています。
イベント告知メールマガジンは、イベント開催の3日前のタイミングで配信しています。Webセミナー・学会共催セミナー案内の最終告知を行います。

吉田氏は、自社のメールマガジンを分析した結果から得られた知見として「配信時間帯は夕方もしくは朝(夕方のイベント告知メルマガは、朝配信が最適)などと解説します。開封率は領域によって変動があるため、領域ごとにKPIを決め効果分析を行なうことで、各領域に適したメールマガジン作成・配信につながります。

B) 会員情報の確認・更新の依頼メール

会員登録時に入力された顧客情報は、会員の所属施設の異動などもあり、徐々に古くなっていきます。最新の正しい情報に保つため、また会員のアクティブ化施策として、原則として1年に2回、会員情報の確認・更新依頼メールを全会員を対象に実施しています。

C)MA(Marketing automation)メール

MAを活用し、会員の行動分析からニーズや課題に応じて個別にアプローチを行いオウンドサイトでの顧客との関係強化の取り組みを行っています。

MA施策の一つとして休眠会員に対して施策に力を入れています。
「Find FERRING」では、会員登録直後に約30%が休眠会員化、4回の訪問で約80%が休眠状態に移行してしまうことが過去3年間のデータから見えていました。「新規会員獲得から、会員になった顧客と関係構築・深化へとつなげるため、行動条件によりメール内容を振り分け、個別化されたメールアプローチが必要と考えている」と吉田氏は話します。

訪問回数別の休眠会員数と休眠率
2022.05.26 フェリング・ファーマ(株)「医療関係者向けサイトの役割と課題、MAツール活用による成功事例」資料より抜粋

例えば、会員登録直後の会員(上図A)に対してサイト内のコンテンツを紹介するフォローメールを送付したところ、開封率は約40%、流入率は約20%と高く、3ページ以上閲覧したユーザーは75%以上に達したといいます。

数回の訪問後に休眠した会員(上図B)に対し、キャッチーなコンテンツ情報をタイトルも工夫してMAで配信したところ、32.1%がメールを開封、開封したユーザーの13.7%の会員がサイトにアクセスしました。

そのほか、数回訪問後の休眠ユーザーで過去に資材のオーダーがあった医療関係者に対し、資材補充の案内メールも配信しています。その結果、案内メールから流入したユーザー全員が資材をダウンロードするという成果が得られました。
吉田氏はこの結果を受けて、「顧客のサイト利用状況や過去の行動履歴からの仮説シナリオに基づき個別化されたメッセージのメールを配信することで、通常メルマガでは反応しない顧客の開封、流入やアクティブ化につながるなど、会員の情報接触や資材利用など関係継続に大きく貢献している」と話します。

デジタルチャネルと既存チャネルを組み合わせ全体最適を実現

医療従事者への情報提供はデジタルが全てではなく、リアルとデジタルを相互に作用させるべきだと吉田氏は話します。ナーチャリング(新規顧客の育成)ではデジタルチャネルを活用し、クロージング(処方)ではMRが関与してリテンション(既存顧客の維持)へ受け渡す、といったデジタルチャネルとMRの円滑な連携が重要です。

マーケティングのフロー
2022.05.26 フェリング・ファーマ(株)「医療関係者向けサイトの役割と課題、MAツール活用による成功事例」資料より抜粋

吉田氏は、「製薬企業におけるコマーシャル部門のDXは、単にデジタルの活用ということではない。自社の営業プロセスを医療関係者の処方行動に沿って再構築し、デジタルチャネルと既存のチャネルを組み合わせて活用することで、『顧客の行動』と『自社の活動』の全体最適を実現することだと考えている」と締めくくりました。


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