Sponsored by 株式会社メディクト

製薬プロモーション・ターゲティング精緻化のカギ「データ連携」の最新動向―JMDCグループ総括レポート|ファーマIT&デジタルヘルス エキスポ 2026

製薬プロモーション・ターゲティング精緻化のカギ「データ連携」の最新動向―JMDCグループ総括レポート|ファーマIT&デジタルヘルス エキスポ 2026

オンラインコンテンツは飽和し、若手医師の約半数はMRと月1回も面会していない―。医師と製薬企業の接点構造が変わり続ける中で、従来の属性情報や行動データのみでは可視化できない、医師の興味関心や意思決定の真の在り方をどうつかみ、つながるかが、製薬マーケティングの課題になっています。
 
2026年4月の「ファーマIT&デジタルヘルス エキスポ 2026」では、株式会社JMDCとグループ企業6社が2つの共同セミナーに登壇し、データ連携による製薬プロモーションとターゲティングの精緻化について解説しました。本記事では、それらの講演を総括し、押さえておきたい最新動向をギュッとまとめて紹介します。

<講演・登壇者情報>

講演「データがつなぐ、医師と製薬の信頼のかたち —患者さんに最良の医療をお届けするために—」

株式会社JMDC 製薬本部 コンサルティング部 アカウントサービスグループ マネージャー 恒川祐介 氏

株式会社ハートオーガナイゼーション 執行役員COO 事業本部長 樫山公佑 氏

アンター株式会社 取締役COO  三輪信生 氏

株式会社メディクト 代表取締役 下山直紀 氏

講演「データが導く、医療マーケティングの新知見 —分析から意思決定へ、戦略を動かすデータ活用―」

株式会社JMDC 製薬本部 コンサルティング部 アカウントサービスグループ マネージャー 阪野泰弘 氏

ミーカンパニー株式会社 データベース事業部 コンサルタント 小関未来 氏

株式会社医薬情報ネット データベース事業部 アカウントリレーションチーム 芳賀瑞枝 氏

パースペクティブ株式会社 ディレクター マネジメントコンサルティング・リード 伊藤裕司 氏

医師の本音に基づくNext Best Actionでプロモーションを精緻化

プロモーション精緻化に焦点を当てたのは、JMDCグループ講演「データがつなぐ、医師と製薬の信頼のかたち —患者さんに最良の医療をお届けするために—」。

  

冒頭でJMDC の恒川氏が「データの切り売りではなく、一気通貫でソリューションをサポートしてほしいというニーズが増えている」と製薬企業の変化を指摘。分析の深掘りにとどまらず、ROIの算出や疾患啓発まで、相談は高度化していると話しました。

  

本講演のコアメッセージは「医師の本音を探り、Next Best Actionを導き出す」こと。施設・専門・処方量といった「属性」、Web閲覧などの「行動」の先にある「心理」まで読み解き、オムニチャネルでの1to1マーケティングへと進化できるか。「独自の情報発信とプラットフォーミング」をテーマに、グループ3社の事例紹介へとつなぎました。

  

Next Best Actionを導くために
2026.4.22 (株)JMDC 、(株)ハートオーガナイゼーション、アンター(株)、(株)メディクト『データがつなぐ、医師と製薬の信頼のかたち ―患者さんに最良の医療をお届けするために―』資料より抜粋

純粋な興味関心データに基づくモデリングで行動予測・個別化を

ハートオーガナイゼーションの樫山氏が紹介したのは、医師向け動画プラットフォーム「e-casebook」を軸にした、医師の純粋な興味関心に基づく個別化マーケティングです。

  

コンテンツが飽和する時代には、広く浅くマーケティングを行うのではなく、種に芽が出ている(興味関心が既に育っている)場所を狙い、それまでの視聴ログなども考慮した上で、ピンポイントにターゲティングすることが重要です。

  

e-casebook では、YouTubeでも使われている「Two-Towerモデル」に基づいた医師の行動予測を実施しています。具体的には、Web講演会1本あたり150〜200のタグを付与し、タグ付けされた視聴ログと医師の属性を二本柱のモデルでそれぞれ解析。類似性を判定することで、医師の次のアクションを生成AIで予測し、高速のレコメンド提示を可能としているのです。ポイント制を導入しておらず、純粋な興味関心に基づいた視聴ログを収集できていることも特徴です。

  

予測(属性×行動履歴)
2026.4.22 (株)JMDC 、(株)ハートオーガナイゼーション、アンター(株)、(株)メディクト『データがつなぐ、医師と製薬の信頼のかたち ―患者さんに最良の医療をお届けするために―』資料より抜粋

年間200件超の自社企画コンテンツと、50以上の学会・研究会と連携した豊富なコンテンツの蓄積がこの予測を支えます。約8,000本の動画、100万回以上の視聴ログ、約7万人の医師会員データを保有し、モデリングのフィードバックサイクルを回しています。

  

こうした環境を整えることで、特定のメッセージを医師に届けたいときに、精緻なアプローチ戦略を考え、調整していくことが可能になります。樫山氏は「e-casebookは、特に循環器・脳神経・整形・消化器といった領域に強い。さらに循環器や精神科などでは学会の単位認定などとからめたイベント発信の相談にも応じられる」としました。

学習行動を臨床起点のアクションに

アンターの三輪氏が挙げたのは、診断ラグの問題です。JMDCとアレクシオンファーマの共同調査1)では、難病患者の初診から確定診断までは平均3.4年。カギとなる初診の多くを若手医師が担っていると考えられますが、その約半数はMRと月に1度も面会していません。「タイムパフォーマンスを重視する若手医師は、外来や当直の合間にスライド形式で効率よく学んでいる」と三輪氏。

   

若手医師が重視するもの、「タイムパフォーマンス」
2026.4.22 (株)JMDC 、(株)ハートオーガナイゼーション、アンター(株)、(株)メディクト『データがつなぐ、医師と製薬の信頼のかたち ―患者さんに最良の医療をお届けするために―』資料より抜粋

医師同士のスライド共有・学習プラットフォーム「Antaa Slide」は、医師会員が7万8,000人を超え、その75%が39歳未満。ガイドライン改訂から半年間ほどの期間や、新薬上市、適応追加のタイミングは、医師にとってもその疾患への学習意欲が高まるタイミングであるため、そこに合わせた独自の企画をプラットフォーム側からも提供しています。

  

あるプライマリ領域でのガイドライン改定に合わせて実施した企画では、投稿スライド8件をのべ7,600人の医師が閲覧し、関連疾患に対する薬物治療の実施意向が約10%ポイント上昇。こうした結果や、閲覧履歴から分析されたインサイトはレポートとして製薬企業に提供され、今後のプランニングに活用されています。「実臨床に即した情報提供の企画でも、結果として薬剤選択に寄与できる」と三輪氏は話しました。 

オウンドメディアとエリア講演会のデータを統合・分析

メディクトの下山氏は、オウンドメディアを軸としたデータ統合を取り上げました。医師向けサイトはコロナ禍に大きく存在感を増しましたが、アフターコロナには、その役割が医師ニーズを起点とするCX(顧客体験)の向上へと転換しつつあります。

  

医師向けサイトの変化
2026.4.23 (株)メディクト『オムニチャネル化、AI活用時代を見据えた医師向けサイト構築とは』資料より抜粋

 

▼同社の独自医師調査に基づくオウンドメディア戦略分析に関するコンテンツはこちら

医師調査が示す『選ばれる医師向けサイト』の条件-AI時代の個別化とデータドリブンCX|ファーマIT&デジタルヘルス エキスポ 2026

  

同社は、製薬企業約10社が導入するMAツール「BtoD」を提供しており、オウンドメディアやWeb講演会などのデータを集積・分析し、顧客ごとに最適化された情報提供を支援しています。その中で、下山氏が「データ化が遅れた最後のブラックボックス」と位置づけるのが、営業所任せになりがちなエリア講演会です。

  

エリア講演会は、参加者やアンケート回答のデータが残りにくいチャネルです。それに対し、BtoDはQRコードによる受付ツールを提供。案内ページや申込フォーム、告知・リマインドメール、アンケートページまでCMSで自動生成・一元管理し、参加者データをMAやCRMに連携します。

  

AI時代には、こうしたデータ収集基盤を整えておくことが極めて重要になります。AIは、効率的な顧客分析を行い、情報提供に最適なチャネル・コンテンツ・タイミングを選定して「Next Best Action」を出すことも可能ですが、そのためには広範囲かつ高精度の構造化データを自社で保有していることが不可欠だからです。 

データの相乗効果で最適なNext Best Actionを得られる体制づくりを

恒川氏は、各社の強みを「専門医の深さ」「若手医師のつながり」「MR×デジタルの統合」と整理。こうした医師の声にJMDCのレセプトデータを掛け合わせ、「皆さんが考えるNext Best Actionを導き出すことをサポートしたい」と本講演を結びました。

データアセット連携でターゲティングのさらなる精緻化を

ターゲティングの精緻化に焦点を当てたのは、もう1つのJMDCグループ講演「データが導く、医療マーケティングの新しい知見 —分析から意思決定へ、戦略を動かすデータ活用―」。

  

JMDCの阪野氏は「従来、ターゲティングの『最後の詰め』は現場MRの経験に依存しがちだった」と指摘し、その改善に向けた提案として、グループ各社がアセットを持つ「医師粒度の高度化」「数字に現れない医師の影響力の可視化」「ターゲティングモデルの組織定着」という3つの観点を提示しました。

  

JMDCがご提案したい価値
2026.4.21(株)JMDC、ミーカンパニー(株)、(株)医薬情報ネット、パースペクティブ(株)『データが導く、医療マーケティングの新しい知見 —分析から意思決定へ、戦略を動かすデータ活用―』資料より抜粋

レセプト×外来コマ数で、医師個人をターゲティング

ミーカンパニーの小関氏が医師粒度のターゲティング分析の題材として挙げたのは、アトピー性皮膚炎(AD)領域の生物学的製剤。幅広い適応を持つ製剤が多く、「特定疾患でどのくらい処方されているか」が売上データからは見えにくい領域です。

  

JMDCが提供するレセプトデータで適応症別の市場を調べると、AD患者への処方数トップの大学病院では生物学的製剤の処方比率は21%。一方、処方数9位の施設は処方比率1.5%程度と低かったものの、母数となるAD患者数自体は最大であり、処方数だけでは見えない潜在的可能性の高い施設が浮かび上がりました。

   

さらに、ミーカンパニーの外来コマ数データベースを使うと、医師個人レベルの分析に踏み込むことができます。同データベースは全国約8,000病院の約6割、DPC病院以上では8割以上をカバーしています。皮膚科医約500人を分析した結果、外用ステロイドの処方比率は外来コマ数が多い医師ほど高いが(相関係数0.895)、生物学的製剤の処方比率は外来コマ数と必ずしも相関しない(同0.674)ことが分かりました。

  

外来コマ数を用いたBIO処方ポテンシャル医師の推定
2026.4.21(株)JMDC、ミーカンパニー(株)、(株)医薬情報ネット、パースペクティブ(株)『データが導く、医療マーケティングの新しい知見 —分析から意思決定へ、戦略を動かすデータ活用―』資料より抜粋

これは、施設内の生物学的製剤の処方を特定医師が一手に担うケースが多いためだと考えられます。

  

そこでJMDCグループが持つ専門性や所属学会、経験年数などを掛け合わせて、「医師ごとの持ち患者数」を推定する機械学習モデルを開発しました。小関氏は、「施設ごとの処方傾向のみならず、その中の医師ごとのポテンシャルという、真に知りたいデータを推定できる」と説明しました。

処方量に現れない影響力を持つ「AOL」をデータで可視化

続くキーワードは「誰に届けるか」から「誰を通じて届けるか」。医薬情報ネットの芳賀氏は、出身大学や勤務歴、共同研究など医師同士のつながりから、情報伝達のハブとなる医師を見つける取り組みを紹介しました。

  

カギとなるのがAOL(Area Opinion Leader)です。一方向に影響力を発揮するKOL(Key Opinion Leader)に対し、AOLは豊富な実処方経験でエリア内に双方向のコミュニティを形成する存在です。

  

同社が実施した2023年の製薬企業Webアンケート調査では、AOLターゲティングを「重要」とする回答が9割を超えた一方、実際には「特定できていない」との回答が目立ちました。

  

このギャップに挑むのが、開業医を起点としたデータドリブンなAOL候補の抽出です。勤務先の重なりや学会での共同発表、共同研究などの接点をスコア化しています。愛知県の皮膚科開業医を起点としたAD領域の事例では約190人のAOL候補を抽出。スコアへの寄与度は、「過去または現在、同じ職場である」という勤務先スコアが最も大きく、ついで学会での共同発表が来るという結果でした。

  

開業医を起点としたAOL候補の抽出ロジック
2026.4.21(株)JMDC、ミーカンパニー(株)、(株)医薬情報ネット、パースペクティブ(株)『データが導く、医療マーケティングの新しい知見 —分析から意思決定へ、戦略を動かすデータ活用―』資料より抜粋

この分析で挙がったAOL上位候補は、学会発表数が突出して多く、大半が外来診療を担うなど妥当性も検証されました。芳賀氏は「本社がデータでAOL候補を可視化し、現場の知見と掛け合わせて選定していくことが今後重要になる」と展望を述べました。

分析を日常業務に変える定着化支援

最後のテーマは、ターゲティング分析をいかに組織の成果につなげるかです。パースペクティブの伊藤氏は、MRの経験や勘は重要な資産であるとしつつ、「見落としの防止」「再現性の担保」「意思決定のスピード向上」の観点から、そこに掛け合わせる「客観的な物差し」として、データ分析を位置づけます。ただし、分析結果を現場に渡すだけでは「納得感」「アクセス」「運用」の3つの壁に阻まれるため、同社は意思決定層・実行層・基盤層の3層でPDCAを回す定着化支援を提供しています。

  

解決策:分析を「日常業務」に変える定着化サポート
2026.4.21(株)JMDC、ミーカンパニー(株)、(株)医薬情報ネット、パースペクティブ(株)『データが導く、医療マーケティングの新しい知見 —分析から意思決定へ、戦略を動かすデータ活用―』資料より抜粋

具体例として紹介されたのは、本社で構築した推計データが、信憑性への懸念や現場の反発を恐れて眠ったままになっていたケースです。分析結果は「正解」ではなく「仮説」と位置づけ、これから現場と一緒に新たな武器をつくるのだという方針を本社で合意。特定エリアでMRの経験とデータを照らし合わせるトライアルを実施。フィードバックを反映して改善し、小さな成功体験を積み上げ、エビデンスとして全国展開につなげました。

  

「データの価値は、1回分析しただけで生まれるのではない。継続的な改善の積み重ねの中で正解へと育て、活用して生活に変えることが重要だ」と伊藤氏は締めくくりました。

製品・領域ごとにデータを重ね、育て、成果を享受できる体制へ

阪野氏は最後に、全国民の20〜30%をカバーする規模になったJMDCグループのデータアセットに言及。「個別のブランドや疾患領域で、こうした医師ターゲティングの精緻化をMR戦略や地域戦略にどこまで取り込めるのか。また現場の経験を組織の集合知へと変えていけるのか。その実現の道筋に、我々も一緒にチャレンジしていきたい」と会場に呼びかけました。

データと現場の知見を掛け合わせ、組織の武器に

2つの講演を貫くのは、データは単体では「答え」にならないという認識です。医師の興味関心や学習行動、つながりといったインサイトを可視化し、現場の経験と掛け合わせて初めてNext Best Actionにたどり着ける。データ活用の本質は効率化ではなく、医師一人ひとりの視点に寄り添った個別化された情報提供と、その先のよりよい関係構築にあるといえるでしょう。多様なアセットを持つJMDCグループの取り組みは、その具体像を考える有力な参照点になるはずです。

  

<参考文献>

1)株式会社JMDC、ニュースリリース「JMDC とアレクシオンファーマ、難病患者の「診断ラグ」共同調査結果を発表 ~ 診断ラグの長期化と患者・社会への大きな負担を定量的に評価 ~」、2025年12月15日

https://www.jmdc.co.jp/news/news2025/news20251215/