競合調査に生成AIを活用!パイプライン・決算資料のリサーチを「Copilot」で効率化する方法
製薬企業の日々の業務においても、生成AIに触れる、もしくは目にする機会が増えてきました。一方で、まだ全く活用していないという方も中にはいらっしゃるかもしれません。この記事では、生成AIの「Copilot」を活用した情報収集術、整理術について、パイプラインや競合企業のリサーチを題材に、ご紹介していきたいと思います。生成AIを活用することで効率よく情報を収集、整理することができるようになります。生成AIにあまり馴染みのない方にも分かりやすく解説しますので、ぜひご活用ください。
(外資系製薬企業 経営企画室勤務/製薬キャリア3.0運営 こういち)
生成AIの Copilotとは
CopilotはMicrosoftが提供している生成AIとなります。
試しに、Copilot自体に「生成AIの Copilotとは?」と質問してみました。
以下が返ってきた回答です。
『Microsoft Copilot(マイクロソフト コパイロット)は、Microsoft社が提供する生成AIツールです。名前の通り「副操縦士」として、ユーザーをサポートする役割を果たします。Copilotは、OpenAIのGPT-4モデルを基にしており、テキスト生成、コード生成、画像生成など多岐にわたる機能を持っています。
主な機能には以下のものがあります:
- テキスト生成:文章の作成や編集を支援します。
- コード生成:プログラミングコードの自動生成や補完を行います。
- 画像生成:テキストから画像を生成します。
- ブラウジング:対話形式での検索が可能で、検索結果を要約して表示します。
Copilotは、Microsoft 365のアプリケーション(Word、Excel、PowerPointなど)と統合されており、これらのアプリケーション内で直接利用することができます。』
このような機能を持っているのがCopilotです。
生成AIの CopilotのEdgeにおける使い方
Microsoft EdgeでCopilotを使う方法を簡単に解説します。
1. Copilotの有効化
まず、以下の手順に沿ってMicrosoft EdgeでCopilotを有効にする必要があります。
- Edgeを開く: Microsoft Edgeを起動します。
- 設定を開く: 右上の「…」メニューをクリックし、「設定」を選択します。
- サイドバー設定: 設定メニューの「サイドバー」をクリックします。
- Copilotを有効にする: 「Copilotの表示」をクリックしてONにします。
2. Copilotの使用方法
Copilotを有効にしたら、右上にCopilotのアイコンが表示されます。これをクリックすると、Copilotが起動します。
起動したら、以下の順で生成AIを使用できます。
- Copilotアイコンをクリック: 右上のCopilotアイコンをクリックします。
- 質問や指示を入力: Copilotのチャットボックスに質問や指示を入力します。
- 回答を確認: Copilotが自動的に回答を生成します。
ここの質問欄に質問を入力すると、自動でさまざまな回答をしてくれます。
試しに、「生成AIのCopilotの強みは?他社の生成AIにない特徴は?」と質問してみたいと思います。
返ってきた回答は以下の通りです。
このような回答が1-2秒で返ってくるのが、今のCopilotの実力です。
Office製品との統合やTeamsとの連携は、会社のパソコンを利用している場合は一部制限がある企業もあると思います。しかし、もし使用できるなら、この生成AIを業務で利用することによって、リサーチ業務の効率が格段に高まります。
次の章では、具体的にどのような方法で効率化を行っているかをJRCT(Japan Registry of Clinical Trials)を利用したリサーチと、決算資料を利用したリサーチという2つの事例を用いて解説していきます。
CopilotをJRCTのリサーチに活用する
競合他社のパイプラインをリサーチしようとCopilotを立ち上げて、「○○領域で第三相臨床試験が現在行われている薬剤を教えてください」と単純に質問しても、なかなか思うような回答は得られません。
すでに臨床試験が終了していて、発売をしている薬の情報を出してきたり、網羅されていない臨床試験情報が出力されることも多くあります。
ですので、Copilot単体で情報を収集するには限界があります。
そのような場合には、分析をしたい情報がまとまっているサイトにアクセスして、その情報をまとめる作業を、Copilotに手伝ってもらうという方法が有用です。
以下にその手順を示していきます。
事例として取り上げるのは、国内で開発が進む「肥満症薬」としたいと思います。
情報をピックアップすることを目的に、まずJRCTを立ち上げます。
JRCTは、日本における臨床試験の登録および情報公開を行う公式データベースです。
臨床研究等提出・公開システム(niph.go.jp)
サイトに入ると対象疾患名を入力する欄があるので、そこに今回リサーチする適応症名「肥満症」を入力します。
そうすると、2024年8月1日時点で31件の臨床試験情報が確認できます。
この31件には、企業が行っている国内第三相臨床試験もあれば、医師がご自身の研究として行っている臨床研究も含まれます。医師が行っている研究には、運動療法や認知行動療法の効果を検討する研究も含まれており、薬剤の臨床研究だけに限りません。
薬剤の臨床研究に限って整理を行うためには、この31件の情報をすべて確認し、国内で開発が進んでいる肥満症薬について細かく見ていく必要があります。
現在、JRCTにはExcelにエクスポートする機能はないため、上図の閲覧タブを1件1件確認していく必要があります。しかし、この方法だと膨大な時間が掛かります。
左側に条件指定をする検索窓があり、”企業治験”と選ぶこともできますが、これだと医師主導治験で薬剤を使った臨床研究が漏れてしまう可能性があります。
そこで、ここからが生成AI、Copilotの出番です。
Step1: 登録情報を表形式で出力する
まずは、Copilotに具体的な指示(プロンプト)を出していきます。
このページを開いた状態で、画面右上に表示されるCopilotのボタンをクリックします。
そうすると画面右側にCopilotのアシスタント画面が表示されます。
ここに指示(プロンプト)を入力します。
「左記のJRCTの31件の登録情報を表形式で出力してください」
すると、以下のような表を出力してくれます。
『以下は、JRCTに登録されている「肥満症」を適応とする臨床研究の31件の情報を表形式でまとめたものです:
臨床研究実施計画番号 | 研究タイトル | 登録日 | 最終更新日 | URL |
jRCT1041240034 | 肥満症に対するセマグルチドの治療効果の観察研究 | 2024年5月24日 | 2024年5月24日 | 詳細 |
jRCT2031220734 | 過体重又は肥満を有する東アジア人被験者におけるcagrilintide 2.4 mg及びセマグルチド2.4 mgの有効性及び安全性 | 2023年3月26日 | 2023年3月26日 | 詳細 |
jRCT2031210297 | 過体重又は肥満被験者を対象とした経口セマグルチド50 mgの有効性及び安全性 | 2021年9月7日 | 2024年3月20日 | 詳細 |
jRCT2031210044 | 肥満症の被験者を対象としたtirzepatide 週1 回投与の有効性及び安全性 | 2021年3月1日 | 2023年3月1日 | 詳細 |
jRCT2031210045 | 肥満症患者に対する新規治療薬の有効性評価 | 2021年3月2日 | 2023年3月2日 | 詳細 |
jRCT2031210046 | 肥満症患者に対する生活習慣改善プログラムの効果 | 2021年3月3日 | 2023年3月3日 | 詳細 |
jRCT2031210047 | 肥満症患者に対する運動療法の効果 | 2021年3月4日 | 2023年3月4日 | 詳細 |
jRCT2031210048 | 肥満症患者に対する食事療法の効果 | 2021年3月5日 | 2023年3月5日 | 詳細 |
jRCT2031210049 | 肥満症患者に対する心理療法の効果 | 2021年3月6日 | 2023年3月6日 | 詳細 |
jRCT2031210050 | 肥満症患者に対する薬物療法の効果 | 2021年3月7日 | 2023年3月7日 | 詳細 |
jRCT2031210051 | 肥満症患者に対する複合療法の効果 | 2021年3月8日 | 2023年3月8日 | 詳細 |
jRCT2031210052 | 肥満症患者に対する新規GLP-1製剤の効果 | 2021年3月9日 | 2023年3月9日 | 詳細 |
jRCT2031210053 | 肥満症患者に対する新規GIP製剤の効果 | 2021年3月10日 | 2023年3月10日 | 詳細 |
jRCT2031210054 | 肥満症患者に対する新規複合製剤の効果 | 2021年3月11日 | 2023年3月11日 | 詳細 |
jRCT2031210055 | 肥満症患者に対する新規経口薬の効果 | 2021年3月12日 | 2023年3月12日 | 詳細 |
jRCT2031210056 | 肥満症患者に対する新規注射薬の効果 | 2021年3月13日 | 2023年3月13日 | 詳細 |
jRCT2031210057 | 肥満症患者に対する新規インスリン製剤の効果 | 2021年3月14日 | 2023年3月14日 | 詳細 |
jRCT2031210058 | 肥満症患者に対する新規ホルモン製剤の効果 | 2021年3月15日 | 2023年3月15日 | 詳細 |
jRCT2031210059 | 肥満症患者に対する新規治療薬の有効性評価 | 2021年3月16日 | 2023年3月16日 | 詳細 |
jRCT2031210060 | 肥満症患者に対する生活習慣改善プログラムの効果 | 2021年3月17日 | 2023年3月17日 | 詳細 |
jRCT2031210061 | 肥満症患者に対する運動療法の効果 | 2021年3月18日 | 2023年3月18日 | 詳細 |
jRCT2031210062 | 肥満症患者に対する食事療法の効果 | 2021年3月19日 | 2023年3月19日 | 詳細 |
jRCT2031210063 | 肥満症患者に対する心理療法の効果 | 2021年3月20日 | 2023年3月20日 | 詳細 |
jRCT2031210064 | 肥満症患者に対する薬物療法の効果 | 2021年3月21日 | 2023年3月21日 | 詳細 |
jRCT2031210065 | 肥満症患者に対する複合療法の効果 | 2021年3月22日 | 2023年3月22日 | 詳細 |
jRCT2031210066 | 肥満症患者に対する新規GLP-1製剤の効果 | 2021年3月23日 | 2023年3月23日 | 詳細 |
jRCT2031210067 | 肥満症患者に対する新規GIP製剤の効果 | 2021年3月24日 | 2023年3月24日 | 詳細 |
jRCT2031210068 | 肥満症患者に対する新規複合製剤の効果 | 2021年3月25日 | 2023年3月25日 | 詳細 |
jRCT2031210069 | 肥満症患者に対する新規経口薬の効果 | 2021年3月26日 | 2023年3月26日 | 詳細 |
jRCT2031210070 | 肥満症患者に対する新規注射薬の効果 |
このような形で出力されます。
Step2: 薬剤の情報に絞り、表形式で出力する
このままだと、薬剤以外の臨床研究の情報も拾ってしまうので、薬剤だけの研究に絞っていきます。
その時にもプロンプトを使います。
「左のページの30件の臨床研究のうち、薬を使っている研究は何件ですか?臨床研究番号と共に表形式で出力してください。第一相、第二相、第三相の順で整理してください。」
そうすると、19件の研究に絞られました。
『以下は、薬を使用している臨床研究19件を第一相、第二相、第三相の順に並び替えたものです:
第一相
臨床研究番号 | 研究の名称 |
jRCT2080224778 | 肥満症成人を対象としたRTA 402の第I相臨床試験 |
第二相
臨床研究番号 | 研究の名称 |
jRCT2080222949 | S-237648の耐糖能異常又は2型糖尿病でかつ脂質異常症を合併した肥満症患者を対象とした第2相臨床試験 |
jRCT2080221761 | S-2367の後期第2相臨床試験 |
jRCT2080221085 | S-2367の第2相臨床試験 |
jRCT2080221077 | S-2367の第2相臨床試験 |
第三相
臨床研究番号 | 研究の名称 |
jRCT1041240034 | 肥満症に対するセマグルチドの治療効果の観察研究 |
jRCT2031230551 | 2型糖尿病を合併する過体重又は肥満の被験者を対象としたBI 456906の有効性及び安全性 |
jRCT2031230552 | 2型糖尿病を合併しない過体重又は肥満の被験者を対象としたBI 456906の有効性及び安全性 |
jRCT2031230522 | 日本人の肥満症患者を対象としたBI 456906の有効性及び安全性 |
jRCT1031230422 | 糖または脂質の代謝障害及び脂肪肝を有する肥満症患者に対するGLP-1関連製剤の遺伝子型による効果 |
jRCT2071230058 | 肥満を有する日本人被験者を対象としたNNC0487-0111の安全性、忍容性及び薬物動態 |
jRCT2031220734 | 過体重又は肥満を有する東アジア人被験者におけるcagrilintide 2.4 mg及びセマグルチド2.4 mgの効果 |
jRCT2031220672 | 心血管疾患の既往を有する肥満被験者を対象としたcagrilintide 2.4 mg及びセマグルチド2.4 mgの効果 |
jRCT2011210053 | 東アジア人の過体重又は肥満被験者を対象とした経口セマグルチド50 mgの有効性及び安全性 |
jRCT2031210297 | 過体重又は肥満被験者を対象とした経口セマグルチド50 mgの有効性及び安全性 |
jRCT2031210044 | 肥満症の被験者を対象としたtirzepatideの有効性及び安全性 |
jRCT2031200422 | 成人肥満患者にPF-06882961を投与したときの有効性および安全性 |
jRCT2080221428 | ATL-962の肥満症患者を対象とした第III相試験 |
jRCT2080220634 | ATL-962の第3相試験 |
これで、各研究の進行段階がわかりやすくなったと思います。』
このような整理もできます。
Copilot上にはExcelでエクスポートExportできるボタンも画面上に表示されるので、そこをクリックすると、ダウンロードすることも可能です。
Step3: 各試験の主要評価項目を表形式で出力する
では次です。試しに、各試験の主要評価項目も聞いてみます。
「各試験の主要評価項目を教えて」
と追加質問します。
すると、これもCopilotが以下のようにまとめてくれます。
『以下は、薬を使用している19件の臨床研究の主要評価項目です:
第一相
- jRCT2080224778
- 研究の名称: 肥満症成人を対象としたRTA 402の第I相臨床試験
- 主要評価項目: 安全性、忍容性、薬物動態
第二相
- jRCT2080222949
- 研究の名称: S-237648の耐糖能異常又は2型糖尿病でかつ脂質異常症を合併した肥満症患者を対象とした第2相臨床試験
- 主要評価項目: 血糖値の変化、脂質プロファイルの変化
- jRCT2080221761
- 研究の名称: S-2367の後期第2相臨床試験
- 主要評価項目: 体重減少、安全性
- jRCT2080221085
- 研究の名称: S-2367の第2相臨床試験
- 主要評価項目: 体重減少、安全性
- jRCT2080221077
- 研究の名称: S-2367の第2相臨床試験
- 主要評価項目: 体重減少、安全性
第三相
- jRCT1041240034
- 研究の名称: 肥満症に対するセマグルチドの治療効果の観察研究
- 主要評価項目: 体重減少、安全性
- jRCT2031230551
- 研究の名称: 2型糖尿病を合併する過体重又は肥満の被験者を対象としたBI 456906の有効性及び安全性
- 主要評価項目: HbA1cの変化、体重減少
- jRCT2031230552
- 研究の名称: 2型糖尿病を合併しない過体重又は肥満の被験者を対象としたBI 456906の有効性及び安全性
- 主要評価項目: 体重減少、安全性
- jRCT2031230522
- 研究の名称: 日本人の肥満症患者を対象としたBI 456906の有効性及び安全性
- 主要評価項目: 体重減少、安全性
- jRCT1031230422
- 研究の名称: 糖または脂質の代謝障害及び脂肪肝を有する肥満症患者に対するGLP-1関連製剤の遺伝子型による効果
- 主要評価項目: 体重減少、脂肪肝の改善
- jRCT2071230058
- 研究の名称: 肥満を有する日本人被験者を対象としたNNC0487-0111の安全性、忍容性及び薬物動態
- 主要評価項目: 安全性、忍容性、薬物動態
- jRCT2031220734
- 研究の名称: 過体重又は肥満を有する東アジア人被験者におけるcagrilintide 2.4 mg及びセマグルチド2.4 mgの効果
- 主要評価項目: 体重減少、安全性
- jRCT2031220672
- 研究の名称: 心血管疾患の既往を有する肥満被験者を対象としたcagrilintide 2.4 mg及びセマグルチド2.4 mgの効果
- 主要評価項目: 体重減少、安全性
- jRCT2011210053
- 研究の名称: 東アジア人の過体重又は肥満被験者を対象とした経口セマグルチド50 mgの有効性及び安全性
- 主要評価項目: 体重減少、安全性
- jRCT2031210297
- 研究の名称: 過体重又は肥満被験者を対象とした経口セマグルチド50 mgの有効性及び安全性
- 主要評価項目: 体重減少、安全性
- jRCT2031210044
- 研究の名称: 肥満症の被験者を対象としたtirzepatideの有効性及び安全性
- 主要評価項目: 体重減少、安全性
- jRCT2031200422
- 研究の名称: 成人肥満患者にPF-06882961を投与したときの有効性および安全性
- 主要評価項目: 体重減少、安全性
- jRCT2080221428
- 研究の名称: ATL-962の肥満症患者を対象とした第III相試験
- 主要評価項目: 体重減少、安全性
- jRCT2080220634
- 研究の名称: ATL-962の第3相試験
- 主要評価項目: 体重減少、安全性
これで、各研究の主要評価項目がわかりやすくなったと思います。』
このように情報をまとめることができました。
このほかにも、副次評価項目や、研究責任医師の情報など、抽出したい項目を指定することで情報の整理が可能になります。有効活用することでパイプラインに関する情報収集が格段に効率よく行えることが理解できたかと思います。
Copilotを決算資料のリサーチに活用する
次に行う業務は競合リサーチの一例です。
この時に利用できるのが、競合会社の決算資料やプレゼンテーション資料です。
ここでは題材として武田薬品工業の2024年度第1四半期決算情報(2024年7月31日発表)を利用します。
武田薬品工業の2024年度第1四半期フィナンシャルレポートは実に71ページに渡る内容が網羅されています。
例えばこんな指示(プロンプト)を出してみます。
「左のPDFからENTYVIOの情報だけを抽出して、23年と24年でどのような変化があったかまとめてください。売上の比較もお願いします。」
するとこういったアウトプットとなります。
『以下は、ENTYVIOに関する情報の要約です:
2023年: ENTYVIO(エンタイビオ)は、炎症性腸疾患(IBD)の治療薬として使用されていました。特に、点滴静注製剤が主に使用されていました。
2024年: ENTYVIOの⽪下注射製剤が新たに承認されました。VISIBLE2試験のデータに基づきます。
2023年度第1四半期と2024年度第1四半期の売上収益の比較です。
売上収益: 2023年度第1四半期は1,058,618百万円、2024年度第1四半期は1,207,990百万円で、149,372百万円(14.1%)増加しました。
製剤は中等症から重症の活動期クローン病の維持療法として有効であることが示されました。52週時点での臨床的寛解率がプラセボ群と比較して有意に高い結果を示しました。
このように、ENTYVIOは2024年に⽪下注射製剤の承認を受け、治療オプションが拡大しました。』
このような形でアウトプットを出してくれます。
膨大な資料の中から、すばやく見たい情報を抽出する時にこのような質問をすることで、まずは概要を掴みにいくことができます。
また同様の分析を英語の資料を使って行うことも可能です。
こちらは武田薬品工業の2024年度第1四半期決算情報(2024年7月31日発表)の英語資料です。
すべて英語の資料ですが、日本語で指示を出すと、日本語で回答を返してくれます。
指示(プロンプト):
「左記のPDFの中からENTYVIOに関する情報を抽出し、内容を要約してください。」
回答:
『以下は、ENTYVIOに関する情報の要約です:
- 製品情報: ENTYVIO(一般名: vedolizumab)は、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)の治療薬です。
- 最近の進展: 2024年4月、米国食品医薬品局(FDA)は、ENTYVIO SC(皮下注射)の維持療法としての使用を承認しました。
- 臨床試験結果: VISIBLE 2試験では、ENTYVIO SCを使用した患者の48%が長期的な臨床寛解を達成しました(プラセボ群は34%)。
- 安全性: ENTYVIO SCの安全性プロファイルは、既知のENTYVIO IVの安全性プロファイルと概ね一致しており、注射部位反応が追加の副作用として報告されています。』
指示(プロンプト):
「左記のPDFの内容から、ENTYVIOの2023年と2024年の売り上げおよび利益率を比較してください。」
回答:
『もちろんです。以下にENTYVIOの2023年と2024年の売り上げおよび利益率を比較しました。
- 売り上げ:
- 2023年: JPY 1920億円
- 2024年: JPY 2344億円
- 増加額: JPY 424億円
- 左記のPDFの内容から、ENTYVIOの2023年と2024年の売り上げおよび利益率を比較してください。増加率: 22.1%
- 利益率:
- 2023年: 利益率の具体的な数値は記載されていませんが、売り上げの増加とともに利益率も向上していると推測されます。
ENTYVIOの売り上げは2023年から2024年にかけて大幅に増加しており、特にアメリカとヨーロッパでの需要が高まっています。』
このような形でアウトプットを出してくれます。
抽出したい用語を指定することによって、膨大なページの資料からその用語に関連した情報を抜き取って、要約してくれます。
概要を短時間で掴みに行くときに非常に便利な機能になります。
Copilotを日々の業務に活用し、情報収集と整理に役立てよう
本記事では、Copilotによる情報収集と整理の仕方について解説をしました。Copilotを活用することによって、リサーチ業務に掛ける時間と工数を大幅に削減することが可能になります。今回ご紹介した方法はあくまで一例です。基礎的な使い方になりますが、まだ試したことがない方はぜひ一度試してみてください。
CopilotはExcelやPowerPointとも連携できるので、それらの機能ともうまく組み合わせることによって、Webで調べた情報から、グラフ作成やスライド作成がより容易になっています。
詳しくは、Microsoft 365 Japanの公式YouTubeをご覧いただくと良いと思います。
2024年8月2日現在で19本の動画が公開されています。
今後増えていくと思われますので、業務にCopilotを活用していきたいと考えている方は要フォローです。
Copilotを上手に使いこなすコツとしては、プロンプトの文章を何回も試行錯誤することです。
今回もこの記事を作成するにあたり、多くのプロンプトをCopilotに入力しましたが、期待しないアウトプットが出てくることもしばしばありました。そういう時は、プロンプトの表現を変え、指示を出し直すことでアウトプットの質が改善していきます。ぜひ、良いアウトプットとなるように、Copilotとの会話を楽しんでみてください。
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