製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2026年7・8月版

製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2026年7・8月版

昨今、医療・製薬業界でも、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルマーケティングに注力する動きが多くなってきました。本記事では、2カ月に1回、各製薬企業のプレスリリースより、最新製薬マーケティングやDXの取り組みをピックアップ。マーケティング、プロモーション、DXについて、業界全体の最新トレンドや、他社がどのような動きをしているのかを把握できます。今回は、2026年7・8月を対象に最新動向をまとめました。

※調査対象の企業は2025年5月にIQVIAより公開された23年度販売会社ベース企業売上ランキング(期間:2024年4月~2025年3月)の上位20社。50音順にリストアップ 

サマリー

  • 著名人・人気キャラクター起用の啓発が「認知」から「相談・受診」への導線設計へ

MSDは俳優・江口のりこさんを起用した子宮頸がん啓発キャンペーン「話そう、子宮頸がん予防」を開始。定期接種対象の女の子とその保護者に向け、テレビCM・デジタル媒体と疾患情報サイトを連動展開する。ツムラはサンリオの人気キャラクター「クロミ」を起用した「生理の悩み相談しようプロジェクト」で、賛同医療機関が開始約10カ月で全国2,000施設を突破。サイト・SNSでの発信に加え、医療機関に掲出するステッカーを「相談しやすい場所」の目印とし、受診をためらう生活者の行動を後押しする。認知拡大にとどまらず、相談・受診という行動変容までを設計する啓発が広がっている。

  • 参加型コンテンツの「継続・進化」で疾患の自分ごと化を促進

ツムラは第2回「50歳からのフレイル川柳」キャンペーンを9月1日から実施すると発表。体験を「あるある」川柳として投稿してもらう参加型企画で、第1回では3万件超の応募を集めた。今回は50代頃から気になる不調にまつわる5つの賞を新設して応募の裾野を広げ、特設サイトで展開する。生活者自身が体験を言語化するUGC型の企画を通じて、フレイルという語りにくいテーマの自分ごと化を狙う。賞設計を毎年見直しながら中長期プロジェクトとして育てていく運用は、疾患啓発のエンゲージメント維持策として参考になるだろう。

  • 健保・企業のデータ基盤を活用した「予防医療の社会実装」へ、疾患啓発が次のフェーズに

日本イーライリリーはエムスリー総合研究所、ミナケアと「健康経営実装コアリション」を発足。肥満症を最初のテーマに、参画する健康保険組合のデータ基盤から対象者約1万名を抽出して受診勧奨を行い、介入後の効果検証、実社会データ(RWD)の分析・可視化までを一貫して実施する。ロッテ健保や九州電力健保などが参画し、業種・業界横断のベンチマーク提供も予定。マス広告やWebサイトによる不特定多数への発信にとどまらず、「対象者の特定→受診勧奨→アウトカム可視化」までを設計するデータドリブンな疾患啓発モデルであり、製薬マーケティングとRWD活用の本格的な融合を示す動きといえる。

■MSD株式会社

俳優 江口 のりこさんを起用 子宮頸がん疾患啓発の新キャンペーン『話そう、子宮頸がん予防』7月6日(月)よりテレビ・オンラインで開始

2026年7月6日


MSDは、2026年7月6日より、子宮頸がん疾患啓発の新キャンペーン「話そう、子宮頸がん予防」を開始。本キャンペーンは、子宮頸がんの予防について広く啓発するために、映画・ドラマで活躍中の俳優・江口のりこさんを起用し、テレビCMやデジタルなどの各種媒体を通じて、全国的に展開していく。


子宮頸がんは、日本では年間約1万人が新たに診断され、約2,700人の女性が亡くなっており、20~30代の女性がかかるがんの中で最も多い。本キャンペーンでは、主に定期接種の対象者である小学6年~高校1年相当の女の子とその保護者に向けて、子宮頸がんが一生のうち約2クラスに1人がかかるがんであること、「HPVワクチン」による予防と20歳からの「定期的な検診」が重要であること、定期接種におけるHPVワクチンの標準的な接種期間が中学1年生であることを広く啓発していく。


同社はこれまでも、子宮頸がんの疾患啓発をテレビやオンライン、ウェブサイト「もっと知りたい子宮頸がん予防」などで展開しており、今後も日本の人々をHPV関連がんおよび疾患から守り、公衆衛生の向上に貢献するべく全力を尽くすとしている。

https://www.msd.co.jp/news/product-news-20260706/


RSウイルス感染症に関する情報サイト「赤ちゃんのためのRSウイルス感染症予防ナビ」を開設~妊娠中の方や乳幼児の保護者の方に知っていただきたいRSウイルス感染症の情報を提供~

2026年8月24日


MSDは、2026年8月21日、妊娠中の方や乳幼児の保護者に向けたRSウイルス感染症の情報サイト「赤ちゃんのためのRSウイルス感染症予防ナビ」(https://rsvirus-navi.jp/)を開設したことを発表。


RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染によって起こる呼吸器感染症で、感染力が強く、特に乳児や高齢者では重篤な呼吸器疾患を引き起こすことがある。日本では、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児が少なくとも一度は感染するとされ、生後1歳未満では年間で1,000人あたり20~30人程度が入院を要すると推定されている。また、入院した2歳未満の患者の約90%が重症化のリスクファクターを有していなかったという報告があるなど、健康な児でも重症化する例が多くみられる。


こうした背景から、同社は妊娠中の方や乳幼児の保護者に早い時期から理解を深めてもらいたいと考え、本サイトを開設。RSウイルス感染症の症状、罹患によって生じるリスク、治療、ワクチンや抗体製剤といった予防方法などについて、専門医の監修のもと解説している。今後も疾患に関する情報提供や啓発活動を通じて、日本の公衆衛生の向上に貢献していくとしている。

https://www.msd.co.jp/news/product-news-20260824/



■株式会社ツムラ

「生理の悩み相談しようプロジェクト」開始から約10ヶ月 応援してくださる医療機関が全国2,000施設超へ ~生理の悩みを相談しやすい環境づくりが全国拡大中~

2026年8月18日


ツムラは、生理に伴う症状で悩む女性へ婦人科に相談する大切さを啓発する「~あなたの答えがきっと見つかる~ 生理の悩み相談しようプロジェクト」において、プロジェクトの趣旨に賛同し応援する医療機関数が、2026年7月24日時点で全国2,000施設に拡大したことを発表。


応援医療機関では、本プロジェクトのイメージキャラクターであるサンリオの人気キャラクター「クロミ」のステッカーや置き型資材を「生理に伴う症状を相談しやすい場所」であることを伝える目印として掲出。「このくらいで相談していいのかな」と受診をためらう方が、婦人科への相談の一歩を踏み出すきっかけとなることを目指している。


同社の調査では、生理前や生理中の不調によって日常生活に支障を来しているにもかかわらず、「生理だから仕方ない」と捉えて適切な対処につながっていない「生理のあたりまえ問題」が明らかになっている。同社は今後も、全国の医療機関の協力を得ながら相談しやすい環境づくりをサポートするとともに、プロジェクトサイトやSNSを通じた情報発信、賛同医師によるメッセージ動画「生理のこと相談しませんか?」の拡充などを通じ、自分に合った対処法を医師と一緒に探すことの大切さを広く伝えていくとしている。


https://www.tsumura.co.jp/news/newsrelease/item/20260818.pdf


50歳からのフレイルアクションプロジェクト ―「50歳からのフレイル川柳」キャンペーンを9月1日より募集開始―

2026年8月31日


ツムラは、「50歳からのフレイルアクション」プロジェクトの一環として、第2回「50歳からのフレイル川柳」キャンペーンを2026年9月1日から10月31日まで実施することを発表。自身の体験や周りの人の様子などを「あるある」川柳として応募してもらうことで、フレイルを自分ごととして捉え、こころとからだの健康について考えるきっかけとなることを目指す取り組みで、第1回では3万件を超える応募を集めた。


第2回となる今年は、フレイルへの気づきをさらに広げ、より応募しやすくなるよう、50代頃から気になる不調にまつわる5つの賞を新設。応募は9月1日にオープンする特設サイトで受け付ける。


同社は、早期にフレイル対策を行うことの大切さを啓発し、誰もが”こころ”や”からだ”そして”社会的”にも健康であるwell-beingな状態で人生の後半戦を迎えられることを目指し、今後も中長期で本プロジェクトを推進していくとしている。


https://www.tsumura.co.jp/news/newsrelease/2026/202608311100.html


■日本イーライリリー株式会社

企業・健保による予防医療の社会実装を推進する「健康経営実装コアリション~予防医療、肥満症対策から~」発足

2026年7月14日


日本イーライリリー、エムスリーが設立したエムスリー総合研究所、およびミナケアは、企業・健康保険組合における予防医療の社会実装推進を目的に、「健康経営実装コアリション~予防医療、肥満症対策から~」を発足したことを発表。本コアリションは、肥満症対策を最初のテーマに位置づけ、「社会発信」「社会実装」「データ基盤の整備」の3つの取り組みを推進する。


社会実装では、参画する健康保険組合と協働し、肥満症に該当する対象者約1万名への受診勧奨を実施。対象者の把握から受診勧奨、介入後の効果検証までを一貫して実施し、実効性の高い予防医療モデルの構築を目指す。データ基盤の整備では、受診勧奨を通じて得られる介入データ等を活用し、肥満症対策による健康アウトカムや経済的インパクトを分析・可視化するとともに、参画健保に業種・業界横断のベンチマークを提供する。


本コアリションには、ロッテ健康保険組合、内田洋行健康保険組合、九州電力健康保険組合をはじめとする企業・健保が参画。単なる健康啓発にとどまらず、企業や健保が持つデータ基盤を活用し、対象者の抽出から効果検証までを一貫して行う点が特徴で、実社会データ(RWD)の分析を通じた持続可能な予防医療の社会実装モデルとして全国へ広がることを期待している。


https://mediaroom.lilly.com/jp/previewPDF/2026/26-35_com.jp.pdf


【編集部ピックアップ】

今回、プレスリリース以外で気になった報道もピックアップしました。


■田辺ファーマ株式会社(日本経済新聞報道)

田辺ファーマ、国内の全営業拠点を9月末までに閉鎖 MRは直行直帰・在宅型の働き方へ

2026年8月5日(日本経済新聞報道)


日本経済新聞は2026年8月5日、田辺ファーマが国内にある66カ所の営業拠点を2026年9月末までにすべて閉鎖することが分かったと報じた。全国各地の事業所や、主要都市にある8つの支店について、2026年7月から順次閉鎖を進めているという。


報道によると、医薬情報担当者(MR)は自宅から営業先に直行し、必要な事務作業は在宅でこなすなど、働き方を見直して生産性を高める。営業拠点が担ってきた事務機能を本社に集約するかは今後検討するとしている。なお、本件に関する同社からの公式発表は2026年9月10日時点で確認できていない。


リモートでの情報提供やデジタルチャネルの活用が広がる中、物理拠点を前提としない営業体制へ全面移行する動きは、製薬企業のコマーシャルモデルDXを象徴する事例として注目される。


https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF052840V00C26A8000000/ 



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