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医師へのメールマーケティングの効果を最大化するために必要な視点と改善アプローチ/MDMD2023Summerレポート

医師へのメールマーケティングの効果を最大化するために必要な視点と改善アプローチ/MDMD2023Summerレポート

2023年6月に開催された「Medinew Digital Marketing Day(MDMD) 2023 Summer」。製薬・医療業界に特化したクラウドサービスを展開する株式会社Shaperon(シャペロン)の原口 剛嘉氏は、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)収束後における製薬企業と医師の対話を支えるメールマーケティング運用のポイントや、効果を最大化するノウハウを解説しました。

コロナ収束後も重要なチャネルであるメールマーケティング

製薬企業のプロモーションスタイルはコロナ禍で大きな変化を遂げ、デジタルマーケティングを駆使したプロモーションが不可欠となっています。

コロナ収束に伴い対面回帰が進みつつあるものの、訪問規制を強化している医療機関の影響で、オンラインのプロモーションは引き続き重要です。

そのような中、2021年にBCGが実施した調査1)によると、オンラインコミュニケーションで利用されるツールとしては、「Webinar」「Zoom等のVideo」「Email」などが世界的に医師に好まれる傾向にあるようです。また、2022年にVeevaが実施した調査2)によると、国内では「対面」の次に「Email」の利用頻度が高いことが分かりました。

Shaperonが実施した調査によると、MRの訪問規制緩和や業界全体のメールマーケティングの強化などの影響を受け、医師のメールクリック率は穏やかな減少傾向にあるようです。

一方、2024年4月から施行される医師の働き方改革を考慮すると、医師への訪問機会が減り、メールなどのオンラインコミュニケーションが今以上に増える可能性も示唆されておりました。

医師はメールを見なくなってきている?
2023.6.1(株)Shaperon『メールを送っただけで終わらせない!リモートでの双方向コミュニケーション』資料より抜粋


今後、製薬企業はメールマーケティングを効果的に実施していくために、どのような点を意識すれば良いのでしょうか。

メールマーケティングで重視すべき視点とKPI

メールの効果的な運用方法が分からないという企業は、「KPIに対する考え方」「KPI設定」「KPIの改善方法」などに課題を抱えている場合が多い、と原口氏は指摘します。

  • メールを送付して終わりになっている。医師との双方向の繋がりが見えていない。
  • データを集計しているものの、改善に向けた打ち手を見出せていない。
  • 見るべき指標がたくさんありすぎて、どうすればいいか分からない。


このような悩みを解消するヒントとなる「3つの軸」について、原口氏は事例を交えながら解説しました。

KPIとして見るべき指標
2023.6.1(株)Shaperon『メールを送っただけで終わらせない!リモートでの双方向コミュニケーション』資料より抜粋

コンテンツ軸

まずは、コンテンツ軸。導入フェーズにかかわらず常に見るべきであり、全体の傾向を評価する指標です。主なKPIとして「プロモーションの送信数」「全体の開封率」「全体のクリック率」などが該当します。

ユーザー軸(MR/eMR)

定着フェーズである導入1〜2年目に重視すべきなのは、ユーザーであるMRを軸とした指標です。主なKPIは、「プロモーションを送信しているMRの割合」「MR1人あたり送信数」などです。

コンテンツの数字は伸びてきているもののMRへの認知や活用に課題を持つ企業は多く、このフェーズではよりMRが送りやすいコンテンツを用意することが重要になります。

医師軸

定着後に重視すべきなのは医師軸です。主なKPIは、「ターゲット医師の何割にプロモーションを送信/開封/クリックされたか」「ターゲット医師の何割と双方向のコミュニケーションができているか」などが指標となります。このフェーズでは、特に医師の反応が良いコンテンツが求められます。

このように、メールの活用状況に応じて、段階的に重視すべきKPIを設定することが、効果的なメールマーケティングを実現する初歩となります。

効果を高める上で注視すべき指標・改善アプローチ

続いて原口氏は、メールマーケティングの効果を高める上で特に注視すべき指標として、「アドレス取得/送信」「開封」「クリック/CTR」「返信」「リアクション」を挙げ、改善策について解説しました。

特にフォーカスすべき指標
2023.6.1(株)Shaperon『メールを送っただけで終わらせない!リモートでの双方向コミュニケーション』資料より抜粋

アドレス取得/送信

KPI1 アドレス取得&送信(特に定着フェーズ)
2023.6.1(株)Shaperon『メールを送っただけで終わらせない!リモートでの双方向コミュニケーション』資料より抜粋


定着フェーズにおけるアドレス取得やメール送信を増やしていく段階では、本社からの指示ではMRが動かない場合、MR to MRでメールマーケティングの文化を醸成させていく仕組み作りが重要です。

例えば、全国にエバンジェリストを設置することや、MRの不安や要望を吸い上げるサポート体制を充実させることなどが考えられます。

またコンテンツ自体も、送りやすい企画、送りやすい周知・動線設計(新着コンテンツをMRが視覚的に認知でき、ワンクリックでメール作成画面に遷移できる など)を意識することで、MRの行動換起を促します。

送信アドレスを拡大するという観点からは、本社が取得したアドレスをMRからメールを送信する仕組みを作ることも重要です。また可能であれば、医師だけでなく、コメディカルにも送信することで、送信母数を増やすという工夫も効果的です。

メールの開封

KPI2 開封
2023.6.1(株)Shaperon『メールを送っただけで終わらせない!リモートでの双方向コミュニケーション』資料より抜粋


次に、原口氏は開封率を高める施策について、部門ごとに紹介しました。

製品部門では、医師が興味のあるコンテンツを企画し、ターゲット医師ごとにレコメンドも細部までこだわることが求められます。例えば、医師が興味のあるカテゴリーとしては、製品のエビデンスを紹介するものや臨床時に役立つツールなどが開封率の高い傾向があります。

システム管理部門は、バウンス率(メールが届かない医師の割合)・苦情率(迷惑メールと判定された割合)を下げる対策を徹底しましょう。このような事象が増えていくと、正常なメールが届かなくなっていく可能性があり、開封率に悪影響を及ぼすためです。

原口氏は、バウンス率、苦情率の対策としてShaperonで行なっている取り組みについて、以下を具体例として挙げました。

  • バウンスしたアドレスに、MRが送信し続けない仕組み
  • メールサイズを小さくする
  • 送信ドメイン認証
  • メール制作時にスパム判定ツールを用いる
  • IPアドレスのブラックリスト化を自動回避する仕組みを作る


また、MRがメールを送信する際のポイントとして、差出人名を設定しておく、件名を短く(25文字以内)し重要ワードを冒頭におくことで、開封率のアップにつながります。

クリック数/クリック率

KPI4 クリック
2023.6.1(株)Shaperon『メールを送っただけで終わらせない!リモートでの双方向コミュニケーション』資料より抜粋


クリック数やクリック率(CTR)も開封率と同様に重視すべき指標です。

コンテンツを作成する際は、縦型に長い場合やリンクが複数あるとクリック率が下がるため、極力シンプルなデザイン設計で、ボタン(リンク)への誘導を促します。

シンプルなデザイン 簡素なテンプレートのクリック率
2023.6.1(株)Shaperon『メールを送っただけで終わらせない!リモートでの双方向コミュニケーション』資料より抜粋


そして、送信時には相手に合わせたコンテンツを選択し、相手が気になっていることやさらに深く知りたいニーズ、講演会参加のお礼などを付け加えるなど文面をカスタマイズすることで、クリック率の上昇が見込めます。

面倒だけどカスタマイズ送信
2023.6.1(株)Shaperon『メールを送っただけで終わらせない!リモートでの双方向コミュニケーション』資料より抜粋


また、医師が見てくれやすい時間帯にメールを送信することも開封・クリック率に影響を及ぼします。原口氏は、平日の診療前(8−9時)、昼休み (12−13時)、診療後 (16-19時)に開封されることが多いというデータを紹介しました。

一方で、メール開封後、クリックまでにタイムラグが生じる場合もあり、2割の医師が開封から8時間後、2割の医師が開封後1日以上経過してからクリックに至るデータも出ています。

医師が見てくれる時間帯に送信
2023.6.1(株)Shaperon『メールを送っただけで終わらせない!リモートでの双方向コミュニケーション』資料より抜粋

返信(ラリー)

レスポンスの早さ、相手が返信しやすい文面などメールの基本を遵守した上で、医師との双方向のやり取りを可視化できる仕組みや、返信以外(アンケート、スタンプ)のリアクションを取る仕組みがあることで、エンゲージメントに大きく寄与します。

MRと医師の架け橋となる役割を担うクラウドサービス「Shaperon」は、従来のOneWay型のプロモーションではなく、双方向型のコミュニケーションができるものです。医療従事者とのメールのやり取りを一元化することで、製薬企業のマーケティングを最適化する一助となります。

また、Shaperonでは、製薬企業が保有するメールアドレスに対し、プロモーションを送るだけでなく、患者数・処方意向・MR評価などの「アンケート」を送信し、医師からの回答を集計・管理できるサービスも提供しています。

双方向型プロモーションの利点
2023.6.1(株)Shaperon『メールを送っただけで終わらせない!リモートでの双方向コミュニケーション』資料より抜粋

双方向コミュニケーションを前提としたPDCAの運用が成功のカギ

製薬企業のマーケティングに必要不可欠である「メール」。今やツールを導入するのは当たり前で、いかに医師との双方向のコミュニケーションを実現し、ディテーリングや処方の獲得につなげていくかというPDCAの運用が求められる時代となりました。

製薬企業の中には、メールでリーチする限界値が見えてきている場合もあるかと思います。現状を打開するには、補完するソリューションを組み合わせ、最適化したメールマーケティングを実施していくことが重要です。

Shaperonでは、自社でメールアドレスを持たない医師に対してもアプローチが可能な「Shaperon Connect」を2023年2月にローンチしました。メドピア株式会社との業務連携により、メドピア会員へのアプローチを可能にしたプラットフォームです。これにより、自社でアドレスを保有していない医師に対してもShaperon上でプロモーション・相互メッセージが可能になりました。

Shaperon Connectの価値
2023.6.1(株)Shaperon『メールを送っただけで終わらせない!リモートでの双方向コミュニケーション』資料より抜粋


原口氏は、「デジタルマーケティングにツールを活用することが製薬企業にとって当たり前となってきていますが、どのようにPDCAを運用し、メールを活用したプロモーションを処方や売上につなげていくかが重要」と締めくくりました。


<出典>※URL最終閲覧日2023.07.18
1) Doctors’ Changing Expectations of Pharma Are Here to Stay, BCG (https://www.bcg.com/publications/2021/pharma-industry-changing-doctor-expectations)
2) Veeva Pulse Field Trends Report 2022https://www.veeva.com/resources/veeva-pulse-field-trends-report/