製薬プロモーションの「見えないデータ」を戦略資産へ。3つの現場課題へのDXアプローチ|MDMD2026 Summerレポート

製薬プロモーションの現場には、資材審査の遅れや、MRの活動報告に埋もれた医師の声、エリア講演会のアナログな受付業務など、「データはあるのに活かせないまま放置されている」課題が数多く存在します。
2026年6月開催の「Medinew Digital Marketing Day(MDMD)2026 Summer」では、木村情報技術株式会社 営業本部 製薬営業部 課長の相田隆志氏が「製薬DXの新次元:非構造化データ活用と業務プロセス革新」と題して講演。資材・MR活動報告・エリア講演会における現場課題を切り口に、製薬DXの実践的なアプローチを紹介しました。
- 「見えない・活かせない」が製薬プロモーションの足かせに
- 課題1.資材審査が追いつかず、パーソナライズ資材を作る余力がない
- MIRAI Review|約10分でチェック完了するAI資材1次レビュー
- MOOTOON BIZ|個別化資材を高速制作するAI漫画制作
- 課題2.MRの活動報告に埋まった医師の声が、戦略立案に活かされていない
- MIRAI Log|MRの活動報告データを自動チェックし、戦略活用できる状態に整える
- 課題3.エリア講演会の参加データが手入力のまま、講演会以外のアクションを集約できない
- Docattend|講演会受付をデジタル化・自動化
- 非構造化データの活用で、プロモーションのパーソナライズ化が実現する
「見えない・活かせない」が製薬プロモーションの足かせに
講演の冒頭で相田氏は、同社が実施した300名の医師に対するアンケート調査から判明した製薬業界が抱える問題を提示しました。調査では、製薬企業が提供する情報提供資材に「ほぼ全て目を通している」と回答した医師は15%程度にとどまりました。
また、52%の医師が「提供される情報が自分の専門領域や関心に合っていない」と感じているという結果も示されました。
医師への情報提供に個別化のニーズが高まる一方で、MRの人員は減少傾向にあります。また、デジタルコンテンツへのシフトが加速する中、「資材の量は増えても医師に届かない」「MRが得たインサイトが戦略に活かされない」「エリア講演会の参加データが手作業のまま」といった状況が生まれていると相田氏は指摘します。
相田氏はこうした問題も、「見えない・活かせない」データから、「見える・すぐ活かせる」状態に変えることで解決できると説明。「資材」「MR活動報告」「エリア講演会」という3つのポイントを切り口に、それぞれに対するアプローチを紹介しました。
課題1.資材審査が追いつかず、パーソナライズ資材を作る余力がない
「資材」に関する課題として初めに挙げられたのが、「審査待ちが積み重なり承認数が頭打ちになっている」「パーソナライズされた資材を作る余力がない」という問題です。これらは、ガイドラインの厳格化と情報提供量の増加に対し、審査リソースが追いついていないことが根本的な原因です。
MIRAI Review|約10分でチェック完了するAI資材1次レビュー
この状況を打開する手段として紹介されたのが、AIによる資材1次レビューシステム「MIRAI Review」です。審査が必要な資材をシステムに投入すると、AIが約10分でチェックを完了し、指摘箇所を付した状態で結果を出力します。担当者はその内容をもとに2次レビューを行うことで、ゼロから資材を読み込む従来の負荷が大幅に軽減されます。
販売情報提供活動ガイドラインや作成要領といった業界共通のルールに対応しているほか、各社独自の社内ルールに合わせたカスタマイズも可能で、導入企業からは審査プロセスの「スピード感」が高く評価されています。
リリース当初は講演会用スライドへの対応からスタートし、その後MR向けの説明会スライドや元文献との整合性を確認するメディカルチェック機能が加わりました。2026年6月時点ではWebコンテンツや動画、記録集も含め、作成要領に掲載されるほぼ全資材への対応が完了しています。
また現在開発中の「MIRAI Monitor」では、講演会中にAIがリアルタイムでモニタリングを行い、不適切な発言やプロモーションコード違反の恐れがある場面を見つけると、画面上にアラートを表示する機能が予定されています。そして、講演会終了時には不適切な内容を補足・修正するスライドを自動で差し込む機能も予定されているといいます。MIRAI Monitorが実用化されれば、適正な講演会運営につながることが期待されます。
MOOTOON BIZ|個別化資材を高速制作するAI漫画制作
また、審査を効率化した先には、医師に「読まれる」資材を効率的に制作するというテーマがあります。その手段として紹介されたのがAI漫画制作サービス「MOOTOON BIZ」です。
動画は1分間で約180文字、漫画は約800文字の情報量を伝えられるとされています。多忙な医師にとって動画は「見るのに時間がかかる」メディアですが、漫画は視覚的なインパクトを保ちながら短時間で多くの情報を伝えられるため、医師の閲覧負担を抑えつつ、情報への接触機会を増やすことが期待されます。また動画と比べ、内容の一部を変更する際の編集コストも低く、疾患領域やターゲット層に合わせた柔軟なカスタマイズや、多用途に転用がしやすい点も特徴です。加えて、MIRAI Reviewとの連携により作成要領に沿ったチェック済みの状態での納品にも対応しています。
課題2.MRの活動報告に埋まった医師の声が、戦略立案に活かされていない
次に「MR活動報告」の課題です。MRが日々の活動を通じて得る医師の生の声や競合動向は、製薬マーケティングにとって貴重な情報資産です。しかし、ガイドラインで義務化されている業務日報は、コンプライアンスチェックをするだけでも時間がかかるため一部しか対応できていないのが現状。医師との対話の中で得たインサイトの分析が活用できていないケースがほとんどです。外部委託によるチェックは費用負担が重く、結果が返るまでに3日程度かかることもあり、スピーディーな活用の妨げになっています。
MIRAI Log|MRの活動報告データを自動チェックし、戦略活用できる状態に整える
「MIRAI Log」は、この課題に応えるサービスです。各社の活動報告フォーマットからエクスポートしたExcelデータをシステムにアップロードすると、ガイドラインへの抵触有無やAE(副作用)の報告漏れチェックを含む結果が数十分で返ってきます。チェックにかかる時間を大幅に短縮することで、データを即分析に使える状態へと整備できます。
チェック後のデータをそのまま戦略資産として活用できる点も、このサービスの特徴です。日報テキストから、製品メッセージが医師にどの程度浸透しているかを可視化したり、講演会などのイベント参加後にMRの活動内容がどう変化したかを確認したりするなど、効果測定も可能です。医師ニーズや競合動向の把握、詳細なセグメンテーションへの応用など、MRの活動データを「コンプライアンスのためのデータ」から「戦略のためのデータ」へと転換することができます。
課題3.エリア講演会の参加データが手入力のまま、講演会以外のアクションを集約できない
3つ目は「エリア講演会」の課題です。コロナ禍を経てリアル講演会が再び増加する中、エリア講演会では今も手書きの芳名帳が主流で、MRや事務担当者がCRMへの転記を手作業で行っているケースが少なくありません。講演会への参加以外で医師がどのような行動をとっているかを把握する仕組みも整っていないことが多く、得られる情報やその活用が限られています。
Docattend|講演会受付をデジタル化・自動化
こうした課題を解消するのが、講演会二次元コード受付・自動化システム「Docattend」です。来場した医師が二次元コードをかざすだけで入室登録が完了し、データはCRMへ自動連携されるため、参加履歴を手作業で転記する必要がなくなります。また事前登録の際に都道府県や施設名を入力するだけでDCFコードが自動的に紐付けられ、講演会参加ログをコード付きの状態でそのまま蓄積することができます。
二次元コードは、講演会ごとに発行する方式と、個人ごとのコードを発行しオウンドサイト上で常時表示させる方式の二種類に対応しています。後者の方式では、医師が事前登録したタイミングや当日の来場時に担当MRへ通知が届くほか、事前登録していたにもかかわらず来場しなかった医師についても通知を受け取れるため、フォローアップのタイミングを逃しません。さらに、エリア講演会の前・中・後を通じた「インタラクティブオプション」として、リマインドメールの段階送信、講演中のリアルタイム投票、質問投稿、アンケート配信などの機能を利用でき、医師の行動をコード付きで一元集約。次のアクションプランへとつなげることができます。

非構造化データの活用で、プロモーションのパーソナライズ化が実現する
今回の講演では、資材・MR活動報告・エリア講演会という3つの切り口から、現場課題を解決する具体的なアプローチ方法が紹介されました。相田氏は、「資材審査を効率化して質の高いコンテンツをスピーディーに届ける」「MRの日報データを分析して医師のニーズやメッセージ浸透度を可視化する」「エリア講演会の参加データをデジタルで収集・管理して本社施策と現場活動を有機的につなげていく」といった施策がつながるとき、各医師の専門領域や関心に合わせた情報提供が実現に近づくと述べました。
個別化情報提供の実現に向けては、医師一人ひとりに最適な情報を届ける仕組み作りだけでなく、その土台となるデータを「見える・活かせる」状態へと整備することが欠かせません。今回紹介された取り組みは、その第一歩として参考になる内容だったといえるでしょう。
本講演で紹介された、「木村情報技術」のサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
以下フォームに必要事項をご記入の上、ご送信ください。資料ダウンロード用URLをお送りいたします。
【関連コンテンツ】







.png%3Ffm%3Dwebp&w=640&q=75)

