学会を活用した医師へのアプローチ方法<メディカル担当者/マーケティング担当者編>

学会を活用した医師へのアプローチ方法<メディカル担当者/マーケティング担当者編>

外資系製薬企業の経営企画室に勤めるこういちと申します。製薬企業の営業、メディカル、デジタル戦略部、製品戦略部、経営企画部での勤務経験をもとに、今回は、マーケティングおよびメディカル担当者が学会を活用して医師へアプローチする方法について独自の視点から解説します。国内学会、海外学会の場合に分けてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

国内学会を活用した医師へのアプローチ

学会を活用して医師にアプローチする場合、事前の情報収集の考え方は、こちらの記事で紹介したMRの場合と同じです。

MRと異なるのは学会に合わせて企画を組み込める点にあります。

メディカル部門、マーケティング部門の担当者が国内学会を活用してターゲット医師にアプローチする方法は、主に以下の3点が挙げられます。

  • セミナーや展示企画
  • アドバイザリーボード
  • 教育講演


セミナーや展示企画

メディカル部門・マーケティング部門ともにランチョンセミナーなどを企画できますし、展示ブースの出展も可能です。

超重要顧客との結びつきを強化するために演者として登壇してもらうといった手法は多くのマーケター、メディカル担当者は経験している業務ではないかと想像します。

アドバイザリーボード

また、学会に合わせたアドバイザリーボードも実施可能です。KOLの先生方は、学会中は各種委員会や夜の会合なども多いため、早め早めの日程調整が必要となります。

ただし、実施にあたっては最新のルールをよく確認の上で実施する必要があります。景品類の提供をしたとみなされることのないよう、細心の注意が必要になります。

*参考情報
医療用医薬品製造販売業公正取引協議会
Ⅲ-5 自社医薬品の講演会等に関する基準(令和2年2月)

(6) 製造販売業者が開催する講演会等の会合であっても、サテライトシンポジウム(学会の期間中又はその前後に、学会会場又はその周辺において、学会の出席者を対象として開催する講演会、研究会等)においては、前項の規定に係わらず、その参加者に対する旅費の支払いは次の基準による。

1) 座長、研究発表・講演のほか、参加者(聴講者)全員に説明や情報提供を行う 医療担当者等に対しては、サテライトシンポジウムに係わる旅費(交通費、宿泊費)を支払うことができる。
2) サテライトシンポジウムに参加を依頼した医療担当者等であって、上記1) 以外の者に対しては、サテライトシンポジウム出席のための必要最小限の、会場間の交通費及び学会期間中を除く宿泊費のみを支払うことができる。 

3) 当該サテライトシンポジウムが海外で開催される場合は、旅費の支払いについては、開催国のルールにも従うものとする。

Ⅲ-5 自社医薬品の講演会等に関する基準 (令和2年2月)

教育講演

企画という面では、学会の教育講演の中に「薬剤の使い分けのセッション」を設けるような工夫も考えられます。

開催1年前から学会長やプログラム委員の先生方と事前に相談し、そのようなセッションを計画します。

医師が講演する場合もあれば、自社の開発担当者やメディカルアフェアーズの担当者が講演するケースもあるでしょう。ここはケースバイケースです。

学会が教育講演として実施するケース、メディカルアフェアーズと共催という形で教育講演とするケース、さまざまな形式が考えられますが、学会長やプログラム委員の先生方との事前の交渉が必要になります。

医師が講演するケースの場合には、担当する先生を事前に把握し、適切な事前のインプットを通して講演のサポートを行うといった工夫が考えられます。

実際に製薬企業に勤務し、各種学会に数多く出席したことがある方は「薬剤の使い分け」に関する教育講演やセッションに参加された経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。

特に同じ適応症の新薬が同時期に複数発売になったりすると、そういったセッションが増える印象があります。医師も他の医師の処方を参考にしたいのでしょう。

そのようなセッションを意図的に提案し、企画まで持っていければ、自社の薬剤の適正使用に関する情報提供の有意義な場になることは間違いありません。

こういった工夫を実現するためには、日ごろから学会長やプログラム委員の先生方と良好な関係を構築しておく必要があります。

先生方にどういった講演をしてもらい、どういった質疑応答を展開してもらうか、そこはまさにメディカルアフェアーズやマーケティング担当者の腕の見せ所ではないかなと思います。

ポイントは一連の活動を意図的に計画すること

ここまでセミナー、アドバイザリーボード、教育講演についてご紹介してきましたが、ポイントはこれら一連の活動を意図的に計画することです。

長期的なPlanningが必要になりますし、途中で微修正が入ることが一般的ですが、

「タ―ゲットとするKOLにどういった行動を取ってもらいたいのか?」

という目的を明確にし、活動計画に落とし込む必要があります。

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海外学会を活用した医師へのアプローチ

メディカル部門、マーケティング部門の担当者であれば、海外学会に参加する機会もあると思います。海外学会はさらに担当するKOLとの関係性を深めるチャンスでもあります。積極的に情報を収集し、事前に医師にアプローチすることをおすすめします。

メディカル部門、マーケティング部門の担当者が海外学会を活用してターゲット医師にアプローチする方法を4つ紹介します。

  • 情報提供の工夫
  • 海外でのアドバイザリーボード
  • 海外学会における現地での活動
  • フォローアップ


情報提供の工夫

海外学会では、「①学術情報」「②学術以外の情報」の2つで情報を整理して、医師にアプローチすると効果的です。

①の学術情報は、海外学会で取り上げられる話題のトピックや演題を事前に整理しておくことです。

外資系企業や、規模の大きな内資系企業の場合は、Global担当者が自社に関する演題や競合品に関する話題を整理することが一般的かと思いますが、ご自身で調べることも可能です。

結構な作業量と時間を要することになりますので、ベンダーを利用するのも効率的なアプローチかと思います。

②の学術以外の情報は、現地の情報になります。

多くのKOLも学会の開催場所には初めて行くケースが多いので、現地の情報にニーズがあることは容易に想像できると思います。

過去、複数の先生方に①と②の情報提供を組み合わせて行ったことがありますが、とても喜んでいただき通常の情報提供よりも長く面談時間が確保できるケースが多くありました。なお、このアプローチは自分自身が海外学会に参加しない場合でも有効です。

海外でのアドバイザリーボード

またTop KOLの場合であれば、海外の学会に合わせて、現地でGlobalアドバイザリーボードが開催されることもあります。

その場合には、学会の半年以上前から候補医師の推薦をGlobalチームに対して行い、数名の日本の医師に参加していただくといった調整が必要になります。

ここ最近はオンラインでのGlobalアドバイザリーボードがメインでしたが、新型コロナウイルス感染症も落ち着いた昨今、また現地開催するケースが増えてきました。

日本のTop KOLの場合は、海外のTop KOLと繋がりを構築したいと考える方もいらっしゃるので、医師のニーズを満たす貴重な機会にもなりえます。

開催にあたっての注意点は、各種調整です。これまでいくつかの領域のGlobalアドバイザリーボードを見てきましたが、経験上、開催場所や内容は直前に決まる傾向にあると感じています。

「どういった話を展開する予定なのか?」
「日本としてはどういった話を展開してほしいのか?」
「先生に持ち帰ってもらえる有益な情報は何か提供する予定なのか?」
「会場へのアクセス方法は?」

こういった部分が直前にバタバタと決まっていくと、参加いただく先生にも迷惑がかかってしまう可能性があります。そのため、Global担当者にはこちらから積極的にアプローチし、各種調整を行う必要があります。ここもメディカル担当者やマーケティング担当者の腕の見せどころかと思います。

海外学会における現地での活動

その他、ターゲットとする医師が実際に海外学会に参加され、かつご自身も海外学会に参加する場合には、現地でのコンタクトを調整します。

事前に社内調整を図り、Globalのマーケティング担当者やメディカル担当者の協力を取り付けておくと良いでしょう。「先生のお話や日本の現状をお聞きしたい」というGlobal担当者からのリクエストが来ていることを医師に伝達し、可能であればアポイントを調整します。

海外学会の自社ブースの一角に、面談用の個室スペースが設けられることが一般的ですので、そういった場所での面談が可能です。こういったシチュエーションは医師にとっても珍しいケースとなるため、医師も数多くのことを話してくれる印象を持っています。

海外学会における現地でのこういった経験を、担当する医師と共有しておくと、帰国した後でも会話の中で出てくることがあります。関係性を深める意味でも効果的なアプローチだと考えています。

フォローアップ

当たり前ですが、海外学会参加後はフォローアップも忘れずに行いましょう。できれば直接会ってお礼に伺うことをおすすめします。

私のケースでは、お礼に伺った場で「海外学会で出会った○○先生を日本にお呼びしたい」という相談があり、次の企画に繋がった経験もあります。

良い関係性の維持、また次の企画に繋げる意味でもお礼は欠かさずに行いましょう。

国内学会・海外学会は医師との関係性を構築するための重要なターニングポイント

コロナ禍で会えない、関係性が作りにくい環境がここ2〜3年続いていましたが、学会はそういった状況を打破できる一つのターニングポイントになりえます。学会を貴重な機会と捉え、ぜひ、計画的に活用されることをご検討ください。

本記事の内容が皆さまの日々の業務のお役に立ったのであれば嬉しく思います。

以下、運営しているブログの中では製薬企業で勤務する上で役に立つ情報やマインドセットについても発信しています。良かったらご覧ください。