製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2023年9・10月版

製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2023年9・10月版

昨今、医療・製薬業界でも、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルマーケティングに注力する動きが多くなってきました。本記事では、2カ月に1回、各製薬企業のプレスリリースより、最新製薬マーケティングやDXの取り組みをピックアップ。マーケティング、プロモーション、DXについて、業界全体の最新トレンドや、他社がどのような動きをしているのかを把握できます。今回は、2023年9・10月を対象に最新動向をまとめました。

※調査対象の企業は2023年5月にIQVIAより公開された22年度販売会社ベース企業売上ランキング(期間:2022年4月~2023年3月)より抜粋した19社。50音順にリストアップ

【2023年9・10月サマリー】

  • 患者向けサイトの新設、リニューアルが相次ぐ。ノバルティス ファーマは、「がん」と「循環器疾患」の一次予防における疾患啓発を目的とした「Together We Fight Cancer & CVD(Cardiovascular Disease)特設サイト」を、ファイザーは、新型コロナウイルス感染症の幅広い情報を入手できる「新型コロナを学ぶ」を開設。リニューアルでは、アストラゼネカが前立腺がん治療に役立つ情報を提供するウェブサイト「What’s? 前立腺がん」をリニューアル。より患者が求めている情報にたどりつきやすくなるよう、レイアウトを見直し、おすすめコンテンツ表示にも対応した。日本ベーリンガーインゲルハイムは、肺線維症の総合情報ポータルサイト「肺線維症.jp」をリニューアル。チャットボットを導入し、情報をより簡単に分かりやすく提供できるように見直した。また、グラクソ・スミスクラインは、喘息患者と医師との対話を支援するLINE公式アカウント「ともに歩こう ぜんそく.jp」を開設し、同時に疾患啓発サイト「ぜんそく.jp」もリニューアルオープン。疾患啓発は患者が欲しい情報を探しやすく、適切に届けられるようなサイト作りや導線を各社模索している。


  • 地域や他パートナーと連携した取り組みが推進される。沢井製薬は、PHRサービスを起点とした業種間連携型の健康なまちづくり形成に関する実証事業を実施するための協定を福岡県飯塚市、日立システムズ、インテグリティ・ヘルスケア、ANA Xと締結。飯塚市における一層の住民サービスの向上および住民の健康的な生活を実現することを目指す。ノバルティス ファーマは、広島県、広島市、マイライフ、もみじ銀行、他共創パートナーと協働し、「がん」と「循環器疾患」の一次予防における疾患啓発を目的とした「Together We Fight Cancer & CVD(Cardiovascular Disease)特設サイト」を2023年10月2日に共同開設。地域共創型疾患啓発のための取り組みを推進していくとしている。

【各社プレスリリース抜粋】
■アステラス製薬株式会社

アストラゼネカの前立腺がん情報サイト「What's? 前立腺がん」リニューアルのお知らせ

2023年9月15日

アストラゼネカは、前立腺がん治療に役立つ情報を提供するウェブサイト「What’s? 前立腺がん」について、対象者ごとに知りたい情報をより見やすく、検索しやすいよう、リニューアルした。

本サイトは2005年に開設され、月間訪問者数は13万人以上。今回のリニューアルでは、前立腺がんを疑う一般の方、前立腺がん治療中の患者、前立腺がんが進行して去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)と診断された患者、ご家族の方の4つの対象から該当するものを選択いただくことで、特定の情報を調べたい方だけでなく、何から調べて良いか分からない方でも、必要な情報にたどり着きやすくなった。

リニューアルされた「What’s? 前立腺がん」使いやすさのポイント
■自分の欲しい情報がどこにあるのか一目で分かる、簡単操作で検索できるレイアウト
■ご自身の状況を選ぶことで、それぞれに応じたおすすめのコンテンツが表示される

https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2023/2023091501.html


エーザイ株式会社

認知症エコシステム構築に向けたデジタル事業会社「Theoria technologies株式会社」を設立

2023年9月12日

エーザイは、認知症エコシステム構築を加速させるデジタル事業会社「Theoria technologies株式会社」を設立、完全子会社とした。
新会社では、エーザイが長年に亘り蓄積した臨床研究データのほか、コホート研究データおよびPHR(Personal Health Record)等を活用し、様々な予測アルゴリズムの開発や、デジタルソリューションの創出、データ提供に取り組む。2024年4月より事業を開始し、MCI・認知症の早期発見に向けた発症リスク予測アルゴリズムについては2024年度中のサービス提供開始をめざす。また、認知症当事者の日常生活動作を記録することで、診療における当事者・医師・介護者間のコミュニケーション円滑化を支援するアプリ「ササエル」の開発・提供を共に担う。

https://www.eisai.co.jp/news/2023/news202356.html


「世界アルツハイマーデー」に認知症の疾患啓発動画を公開
『日々はつづいていく 2023』「ふたりの記憶、ひとつのものがたり篇」

2023年9月21日

エーザイは、世界アルツハイマーデーである本日、認知症への理解を深めることを企図した疾患啓発動画『日々はつづいていく 2023』「ふたりの記憶、ひとつのものがたり篇」を、当社の認知症情報サイト「相談e-65」特設サイトおよびYouTubeにて公開した。
世の中の認知症への理解を深めることで、認知症の当事者様とそのご家族が安心して暮らすことができる社会の実現をめざし、「知ることから、やさしくなれる」をコンセプトとして本動画を作成。2022年度は認知症と診断された母とその娘の視点で日々を綴った「ないわけない篇」「タイムスリップ篇」を公開し、80を超える自治体より、地域イベントでの活用希望等の問い合わせがあった。
エーザイは、今後も自治体や他産業との連携による認知症エコシステムを構築することで、社会的インパクトを創出し、誰一人取り残さない「認知症と共生する社会」の実現に貢献していく。

https://www.eisai.co.jp/news/2023/news202357.html


■グラクソ・スミスクライン株式会社

GSK、喘息患者さんを対象としたLINE公式アカウント「ともに歩こう ぜんそく.jp」を開設

2023年10月16日

グラクソ・スミスクラインは、気管支喘息(以下、喘息)の患者と医師との対話を支援するLINE公式アカウント「ともに歩こう ぜんそく.jp」を開設した。本LINE公式アカウント開設は、医師が患者さんの喘息コントロール状態の評価や管理状態を把握し、医師と患者とのコミュニケーションを支援することで、良好な喘息コントロールを実現するための取り組みの一環であり、GSKとしては初となる患者向けのLINE公式アカウントとなる。
本LINEでは、喘息診療実践ガイドラインで喘息の状態や管理状態を把握するツールとして使用が推奨されている質問票「喘息コントロールテスト(ACT)」を、患者自身の喘息のコントロールレベルやその管理状況を把握するためのツールとして利用できる。また、患者が診察時にACTの結果を医師と共有することで、医師が患者の喘息コントロールレベルや管理状態を把握するために活用可能。
さらに、ACTの機能に加え、喘息の疾患に関する情報も定期的に配信予定。本LINE開設と同時に、喘息に関する情報をわかりやすくまとめた疾患啓発ウェブサイト「ぜんそく.jp」もリニューアルオープンし、一般の方々への情報提供を開始している。

https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20231016-zensokujp/


■沢井製薬株式会社

PHRサービスを起点とした業種間連携型の健康なまちづくり形成に関する
実証事業実施における協定書を締結

2023年10月3日

福岡県飯塚市(市長職務代理者 副市長:久世 賢治)、株式会社日立システムズ(代表取締役 取締役社長:柴原 節男、本社:東京都品川区)、株式会社インテグリティ・ヘルスケア(代表取締役会長:武藤 真祐、代表取締役社長:園田 愛、本社:東京都中央区)、ANA X 株式会社(代表取締役社長:轟木 一博、本社:東京都中央区)、沢井製薬は、PHRサービスを起点とした業種間連携型の健康なまちづくり形成に関する実証事業を実施するための協定を締結した。本実証事業は飯塚市に地域回遊や地域経済の活用によるインセンティブ付与の仕組みとPHRサービスに触れる仕組みを構築し、住民の健康増進を図るとともに、蓄積された PHRデータを住民の特定保健指導などに活用する取り組み。
協定当事者が双方の資源を有効活用し、ともに活動を推進することで、飯塚市における一層の住民サービスの向上および住民の健康的な生活を実現することをめざす。 実証事業の実施期間は2023年10月から2024年9月。

https://www.sawai.co.jp/release/pdf/612


■日本イーライリリー株式会社

円形脱毛症と向き合うプロジェクト「見る目を、変えよう。」活動1周年に伴い、円形脱毛症の患者が自身の症状に悩みながらも少しずつ前へと一歩を踏み出していくWEB動画「本当のジブン」を公開

2023年9月27日

日本イーライリリーは、2022年8月から展開している、円形脱毛症と向き合うプロジェクト「見る目を、変えよう。」の活動1周年に伴い、本日9月27日(水)に、新たにプロジェクトメッセージと、円形脱毛症の患者の実情に焦点をあてたWEB動画「本当のジブン」を公開した。
公開した動画「本当のジブン」は、日本イーライリリーが実施した調査*1を基に制作した疾患啓発動画で、円形脱毛症のある患者が自身の症状に悩みながらも、「円形脱毛症」の根本的な原因を理解していく中で、周囲に対して、そして自身に対して、少しずつ前を向いていくさまを描く。プロジェクトメッセージおよび本動画は、プロジェクト活動の特設サイト上で見ることができる。

*1…「円形脱毛症に関する認識調査(2022年2月実施)」の概要は以下の通り
調査期間:2022年2月7日(月)~2022年2月9日(水)
調査方法:インターネット調査 調査会社登録モニターのうち、全国の18歳以上65歳未満の男女を対象に実施
実施者 :日本イーライリリー株式会社

https://news.lilly.co.jp/PDFFiles/2023/23-30_co.jp.pdf


■ノバルティス ファーマ株式会社

ノバルティス ファーマ、地域共創型疾患啓発の推進を目指し、「がん」と「循環器疾患」に関する特設サイトを共同開設

2023年10月16日

ノバルティス ファーマは、広島県(知事:湯﨑英彦)、広島市(市長:松井一實)、マイライフ株式会社(代表取締役:糸賀誠、本社:広島県呉市、以下、マイライフ)および株式会社もみじ銀行(頭取:小田宏史、本社:広島県広島市、以下、もみじ銀行)、他共創パートナーと協働し、「がん」と「循環器疾患」の一次予防における疾患啓発を目的とした「Together We Fight Cancer & CVD(Cardiovascular Disease)特設サイト」を2023年10月2日に開設した。
本サイトでは、がんと循環器疾患に関する基礎知識や病気の特徴、診断や治療に関するサイトを紹介するとともに、がん検診や特定健診に関する情報を掲載。
ノバルティスは、2021年3月に広島県、広島県呉市、マイライフとがん検診受診率向上を含む、がん対策推進に関して相互に協力するための産官連携協定を締結。また、2022年3月には、広島市、マイライフ、もみじ銀行と広島市民の健康づくり分野における取り組みを進めることにより健康寿命の延伸を図ることを目的として産官連携協定を締結している。2023年より、「循環器疾患」も啓発活動の対象として拡大し本サイト開設を始めとして、地域共創型疾患啓発のための取り組みを推進していくとしている。

https://www.novartis.com/jp-ja/news/media-releases/prkk20231016


■ファイザー株式会社

ファイザー、新型コロナウイルス感染症の総合情報ウェブサイト「新型コロナを学ぶ」を開設

2023年9月1日

ファイザーは、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の幅広い情報をスマートフォンやPCから入手できるウェブサイト「新型コロナを学ぶ」を開設した。
本サイトでは、COVID-19の基礎知識のほか、適切な予防法や感染時の対応方法、感染状況に関する最新公表データのリンク集を掲載。的確で幅広い情報を得られる総合情報サイトとして、一般の方々にCOVID-19のリスクを含めた適切な情報を届け、健康を守る一助となることを目指す。

https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2023/2023-09-01


■日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

肺線維症関連のウェブサイトを統合し、総合情報ポータルサイト『肺線維症.jp』としてリニューアル - チャットボットを導入し、「知りたいコト」をらくらく探せて使いやすく! -

2023年10月2日

日本ベーリンガーインゲルハイムは、肺線維症患者とご家族、また肺線維症の情報を求める方々のための肺線維症の総合情報ポータルサイト「肺線維症.jp」をリニューアル。
11月23日(木)には第二弾として全身性強皮症に伴う間質性肺疾患、特発性肺線維症(IPF)に関する情報の追加公開を予定している。
「肺線維症.jp」は様々なペイシェントジャーニーの肺線維症患者やご家族、そして肺線維症の疑いのある方や、疾患について知りたい方に向けて、必要な情報を漏れなく提供することで、肺線維症に対する正しい理解と適切な受診をサポートすることを目指したウェブサイト。
過去5年間にわたり日本ベーリンガーインゲルハイムが運営してきた肺線維症に関する複数の情報サイトを、総合情報ポータルサイトとして統合し、チャットボットを導入することで、ウェブサイトに訪れる皆さまに肺線維症に関するあらゆる情報をより簡単に分かりやすく提供していくとしている。

https://www.boehringer-ingelheim.com/jp/press-release/20231002-01