ハイブリッド施策を重視する企業は75%|成果を左右するチャネル連携とMR活用

デジタルチャネルはいまや製薬マーケティングにおける大きな柱の1つです。一方で、MRやリアル講演会などによる顧客とのコミュニケーション深化の重要性も見直されてきている今、デジタルチャネルはどのように活用され、またチャネル間の融合はどのように進んでいるのでしょうか。Medinewでは、毎年実施している読者へのアンケート調査から、実態を探ります。
調査概要
Medinew読者を対象に実施した本アンケートでは、製薬企業におけるデジタル・データ活用の実態や課題、今後の活用動向などについて調査を行いました。
- 調査期間:2026年7月9日~7月17日
- 調査対象:Medinew読者(製薬企業のデジタルマーケティング部門、営業企画部門、プロダクト部門など)
- 回答者数:87名(途中離脱者も含む)
- 調査方法:Webアンケート
▼アンケート結果資料をダウンロードする
https://www.medinew.jp/downloads/research/pharma-survey-2607-dl
サマリー
- 重視度・活用度が高いデジタルチャネル上位は、Web講演会(本社主導)、自社医療関係者向けWebサイト、3rd Partyメディア。MRが介在するデジタルチャネルも活用度が高い。
- Web講演会(本社主導)、自社医療関係者向けWebサイトは、今後も活用強化。3rd Partyメディアは最も減速を検討されている。
- 実際に、3rd Partyメディアの活用度は昨年度調査から減少。一方でMRによるオンライン面談の重視度やメール送信の活用度は増加。
- MR介在チャネルを含む自社メディアを強化する理由は、顧客エンゲージメント強化と情報提供の効果・効率アップのため。
- デジタルとオフラインチャネルを連携させたハイブリッド施策は75%が重視(昨年度から5ポイント減)。外資系や売上規模5,000億円以上の大企業が特に重視。
- ハイブリッド施策の実施内容は、Web講演会後のMRによるフォローや、デジタルチャネルで得られた知見のMRへのフィードバックなど。実施内容は昨年度から変化はないが、個々の施策の実施割合は全体的に減少傾向。
- ハイブリッド施策実施にあたっては、デジタルマーケティング部門やプロダクトマーケティング部門が連携の司令塔となっている。
デジタル施策はWeb講演会中心にハイブリッドで展開。医師の情報収集とはギャップも
現在、重視および活用されているデジタルチャネルの上位は「Web講演会(本社主導)」「自社医療関係者向けWebサイト」「3rd Partyメディア」であり、製薬企業のデジタルマーケティングはこの3チャネルを軸に展開されていることが確認されました。
結果をより詳細にみると、「Web講演会(本社主導)」が重視度・活用度ともに第1位でデジタルチャネルの中心的位置づけにあることがうかがえました。これに「自社医療関係者向けWebサイト」が続き、「3rd Partyメディア」は上位2つのチャネルと比べると重視度に10ポイント以上の差があり、一段下に位置づけられているようです。
また、「顧客へのメール送信(担当MR)」「Web講演会(エリアのMR主導)」などMRが介在するチャネルが「自社医療関係者向けWebサイト」「3rd Partyメディア」と同等に活用されており、デジタルとオフラインを融合したハイブリッド戦略が活発に実施されている状況が垣間見えました。

製薬企業側は、「Web講演会(本社主導)」と「自社医療関係者向けサイト」を特に重視していることが明らかでしたが、効果的な情報提供のためには、戦略が顧客である医師側の情報収集のニーズや実態と一致していることも重要です。そこで、医師の臨床判断へのチャネル影響度の調査データと照らし合わせてみると、医師側は主軸3チャネルの中で「3rd Partyメディア」から最も影響を受けており(2026年2月実施、医師調査より)、医師の情報収集活動とギャップが生じている可能性があることには注意が必要です。
今後3rd Partyの活用強化は減速。MR介在チャネルを含む自社チャネルを強化意向
では、今後のデジタルマーケティングもこれまでの主軸3チャネルを中心に展開されていくのでしょうか。
「Web講演会(本社主導)」「自社医療関係者向けWebサイト」に対しては、それぞれ回答者の約50%が今後も活用を強化する意向を示しました。一方「3rd Partyメディア」については、今後も活用を強化するとの回答は21%のみで、逆に、活用減速を検討しているチャネルとして「Web講演会(エリアのMR主導)」と並び最も多くの回答が集まりました。

デジタルチャネルの重視度・活用度について、昨年度調査からの変化をみると「3rd Partyメディア」は昨年度と比べて重視度が7ポイント減、活用度は8ポイント減であり、「3rd Partyメディア」の減速はすでに始まっていました。
また、その他の変化としては「オンライン面談(担当MRと顧客)」の重視度が7ポイント増加したほか、「顧客へのメール送信(担当MR)」は活用度が11ポイント増加し、MR活用が活発化しているようです。

情報提供は“量”から“質”へ。顧客エンゲージメント向上が最大目標
MRを含めた自社メディアの活用意向が高まっている背景には、顧客エンゲージメント強化と、情報提供の効果・効率アップへの期待がありました。

近年、製薬企業各社の主力製品はプライマリ領域からスペシャリティ領域へ移行し、情報提供対象となる医師数はこれまでに比べ限定的となりました。そのため、一律的な情報発信ではなく、医師の個々のニーズに応じたコミュニケーションが重視されるようになってきています。また、デジタル化の進展により医師を取り巻く情報量が増加したことで、情報提供は“量”よりも顧客との関係性構築や“質”が重視されるようになってきました。こうした環境変化を背景に、自社メディアへの期待が高まっていると考えられます。
ハイブリッド施策は75%が重視。MR はより戦略的な活用となる流れ
自社デジタルチャネルに加えてMRを介した情報提供の価値も見直されている中、デジタルとオフラインチャネルを連携させたハイブリッド施策は75%が重視していました。昨年度の80%から5ポイント減少したものの大半の企業が依然ハイブリッド施策に重点を置いており、外資系や売上規模5,000億円以上の大企業といった情報提供活動資源を豊富に有すると考えられる企業で特に重視されていました。

ハイブリッド施策の具体的な実施内容は、Web講演会後のMRによるフォローや、デジタルチャネルで得られた知見のMRへのフィードバックなどであり、これらの実施内容自体には昨年度から変化はみられませんでしたが、実施割合は全体的に減少傾向でした。
その背景には、業界全体で進むMR数の減少があると考えられます。限られた人的リソースで活動の優先順位づけが求められる中、従来のハイブリッド施策の展開頻度にも影響が及んでいるのではないでしょうか。
一方で、MRは医師の個別ニーズへの対応や顧客エンゲージメント向上に重要な役割を担うチャネルです。今後は、デジタルとの役割分担を最適化しながら、MRを投入すべき場面や活用方法をより戦略的に検討していくことが求められるでしょう。

ハイブリッド施策の司令塔は企業間で異なるが、連携の体制作りは各社で実施
ハイブリッド施策には複数部門の連携が必須であり、よりよい連携のためには横断的なチャネル施策の設計および調整を担う司令塔が必要だと考えられます。現在、どの部門が司令塔を担っているかを聴取した結果、最も多かったのはデジタルマーケティング部門(29%)で、プロダクトマーケティング部門(22%)が続きました。部門横断の専任チームが司令塔となっている企業もわずかながら存在し(5%)、特定の司令塔は存在しないとの回答は5%にとどまりました。司令塔機能の担い手は企業ごとに異なるものの、ハイブリッド施策の重要性の高まりを背景に、チャネル横断で施策を設計・統括する体制作りがなされていることがうかがえました。

今回の調査から、製薬企業のプロモーション活動は、デジタル化のほかに、マスマーケティングからターゲットマーケティングへの転換やMRの人的リソース減少など、さまざまな要因を背景に変革期を迎えていることが示唆されました。
一方で、企業が推進する施策と医師が求める情報提供との間にはギャップが存在している可能性も確認されました。
今後は、顧客理解を深めながら、チャネルや施策を最適に組み合わせたプロモーションモデルを構築していくことがより一層求められるのではないでしょうか。加えて、その実現には組織横断での連携体制の強化が重要になると考えられます。
「製薬企業デジタル&データ活用実態調査2026」レポート資料をダウンロード
本記事で紹介したデータを含む「製薬企業デジタル&データ活用実態調査2026」のフルレポートは、以下ページより無料でダウンロードいただけます。今回ご紹介したデータのほかにも、デジタル・データ活用の実態や課題に関するデータなども掲載しています。ぜひご覧ください。
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