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データドリブンマーケティングを推進する、旭化成ファーマの情報連携戦略とは?/MDMD2023Autumnレポート

データドリブンマーケティングを推進する、旭化成ファーマの情報連携戦略とは?/MDMD2023Autumnレポート

2023年9月末に開催されたMedinew Digital Marketing Day(MDMD)2023 Autumn。セッション「データドリブンマーケティングを実現するための情報連携」では、旭化成ファーマ株式会社の竹見幸子氏を演者に迎え、株式会社医薬情報ネットの芳賀瑞枝がモデレーターを務め講演を行いました。社内外のデータを本社・MRに共有する仕組みや、データに基づいたPDCAサイクルの実行など、講演で語られた旭化成ファーマのデータドリブンマーケティングの取り組みについてお伝えします。

旭化成ファーマのマーケティング体制

旭化成ファーマは、製品領域とデジタル領域を両輪とするマーケティング体制のもと、マーケティング活動を展開しています。プロダクト領域のライフサイクルマネージャーが中心となり製品の中長期戦略を策定し、その戦略に基づいてプロダクトマネージャーが戦術の設計を行い、営業現場に対して戦略の実行を推進します。プロダクトとデジタルマーケティング双方の組織が連携しながら、デジタル領域の戦術を設計する体制を敷いていると竹見氏は説明します。

旭化成ファーマ マーケティング体制
2023.9.27 旭化成ファーマ(株)「データドリブンマーケティングを実現するための情報連携」講演資料より抜粋

データ活用は市場構造の理解を深め、戦略策定を成功に導く

一般的にマーケティング戦略は、市場構造の理解にはじまり3C分析や仮説設定と検証、戦略立案、実行と進みます。とりわけ市場構造の理解は戦略策定の土台であり、竹見氏は「データを用いて分析を行い、自社製品が置かれている市場環境が将来的にどう変化していくのかを見極めることが重要である」と指摘します。

マーケティング戦略の流れ
2023.9.27 旭化成ファーマ(株)「データドリブンマーケティングを実現するための情報連携」講演資料より抜粋

また、医療用医薬品に関わるデータは多岐に渡ります。例えば、施設・医師情報、市場(売上)データ、レセプトや電子カルテ情報、講演会・KOL情報、MR評価、プロモーションや処方患者数などであり、そういったデータを組み合わせて戦略を考えることが求められていると竹見氏は説明します。

データドリブンを実現する4つのポイント

【ポイント①】データ収集・蓄積の基盤を整える

同社は自社のCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)活動を通じて得られたデータをはじめ、医師の属性情報や購買データ、また、ペイドメディアの視聴ログなどのデータをDWH(Data Ware House:データウェアハウス)で一元管理する仕組みを構築しています。さらに、データから導き出されたスコアリングをもとに医師にメール配信を行い、オウンドメディアへ誘導する仕組みも実装しています。

【ポイント②】データ連携のルートを設計する

オウンドメディアで得た会員情報やウェビナー視聴・閲覧履歴などのデータはDWHを経由してCRMと連携することで、MRが医師の行動データを参照できるようにもしています。また、メールの開封やクリック情報など医師との各種タッチポイントから取得したデータなどもCRMに取り込み、MRがデータに基づいて医師の興味関心を把握できる仕組みとなっています。

CRMへデータを集約し可視化
2023.9.27 旭化成ファーマ(株)「データドリブンマーケティングを実現するための情報連携」講演資料より抜粋

【ポイント③】データを「見える化」して共有する

DWHに収集・蓄積した様々なデータは、BIツールなどを使用して「見える化」しています。BIツールやCRMなどのシステムは、社員向けのポータルサイト上で一元的に管理されており、本社スタッフやMRなど業務内容やレイヤーに応じて提供され、分析や施策の検証ができる仕組みを同社は整えています。

ポータルサイト上には、戦略策定に必要なデータから売上やプロモーション活動に関する各種KPIの進捗など、社員は必要な時に、必要なデータを確認しながら効果的に業務を進める環境を構築。医薬情報ネットの学会情報もポータルサイトから閲覧可能で、医師の分析などに活用されています。

【ポイント④】データからPDCAを実行する仕組みを整備する

データドリブンな営業・マーケティング活動は、データ収集のための基盤構築を第一歩として、データの可視化、データ分析といったプロセスを経て実現することができるものです。さらに、それを効果的に運用していくには、PDCAサイクルの仕組みを整えることが重要であり、そのため同社では「データを確認・考察し、意思決定を行い、具体的なアクションに移すPDCAサイクルを実行する仕組みを整備している」と竹見氏は説明します。

「ハード」と「ソフト」2方面から活用促進にアプローチ

同社では、BIツールを活用してデータを可視化・分析し、本社スタッフだけでなく、営業現場も含めてPDCAサイクルを効果的に回す取り組みを実践しています。そして社内のデータ活用促進・浸透に向けた活動にも力を注いでいます。

営業現場でのデータ活用を強化する教育・研修に注力

営業現場におけるデータ活用の浸透に向けて竹見氏は、「各支店や営業所でBIツールの操作や活用に関する研修を実施している」と説明します。そして、研修では参加者からの事前の質問や要望に応じて内容を調整し、理解を深めてもらうことを大事に取り組んでいると言います。

それだけでなく同社では自由参加のセミナーを開催し、市場データの利用やKPIを中心とした活動検証の方法などを学べるセミナーを提供しています。また、忙しいMR向けに短時間で学べる動画コンテンツを提供し、データ活用の普及・浸透を精力的に進めています。

営業現場にデータ活用を定着させるための取り組み
2023.9.27 旭化成ファーマ(株)「データドリブンマーケティングを実現するための情報連携」講演資料より抜粋

データ活用推進に向け分析基盤の強化を構想

講演の最後に竹見氏は、新たなデータ分析用の基盤を構築していることを紹介。データ分析の汎用性を高めるため、DWH内のデータを、目的に応じてデータマートに格納する仕組みの構築を進めていると話します。さらに将来的な構想として、「部門を超えて共通でデータを利用する基盤として、分析者自身が意思決定に必要なデータを、PythonやRといったツールに取り込んだり、BIで可視化できたりするような仕組みの検討を進めている」と展望を述べ講演を締めくくりました。