成果につなげるWebサイト分析の実践|3つの視点で深掘る課題分析と改善【後編】

成果につなげるWebサイト分析の実践|3つの視点で深掘る課題分析と改善【後編】

前編では、Googleアナリティクス(GA4)の基本指標をもとに、Webサイトの現状把握と課題の輪郭をつかむ方法を整理しました。ユーザー数・セッション数の推移、流入チャネルの偏り、直帰率や離脱ページの傾向といった指標の組み合わせから、「どこに課題がありそうか」の仮説が見えてきます。

後編では、そこから見えてきた課題を3つの視点に分類し、各視点での具体的な分析手法と、そこから得られる示唆・改善への活かし方を解説。GA4の結果を起点として、「何を・どう調べれば、次の改善につなげられるか」を軸に整理します。

GA4の結果から、深掘りすべき軸を決める

前編では、GA4の指標を組み合わせることで、製薬企業のWebサイトの現状をより多角的に把握できることを示しました。しかし、GA4で確認できる数値は、あくまで「結果」です。「なぜそうなっているのか」という原因を特定し、改善につなげるためには、さらに課題を深掘りする必要があります。

課題の深掘り方向は、GA4で気になった指標によって変わります。以下の対応関係を目安に、どの軸から分析を進めるべきかを判断してみてください。

GA4で気になった指標

深掘りすべき軸

セッション数が少ない・流入元がオーガニック偏重

① 集客するための分析

直帰率が高い・エンゲージメント時間が長いのにCVに至らない・CV直前の離脱が多い

② ユーザビリティ改善のための分析

エンゲージメント時間が短い・CVRが低い

③ コンテンツ整備のための分析

一つのWebサイトに複数の課題が存在することも珍しくありません。どれか一つに絞る必要はなく、状況に応じて複数の視点から並行して分析を進めることも有効です。

①集客するための分析

集客分析では、「どのチャネルから、どのようなユーザーが来ているか」の実態を把握し、流入を増やすための改善ポイントを特定します。GA4でセッション数の少なさや流入チャネルの偏りが気になった場合に、以下の手法を活用してみてください。

  • 検索クエリ分析
  • 競合サイト比較
  • 技術的SEO診断
  • GEO(生成AI検索)対応調査

検索クエリ分析

検索クエリ分析とは、ユーザーが実際に入力した検索キーワードと、自社サイトへの流入状況を照合する調査です。どのキーワードで検索され、どのページが表示され、実際にクリックされているかを把握することで、想定と実際の検索意図のズレを明らかにできます。

何が得られるか

  • ユーザーが実際に検索しているテーマや意図
  • CTR(クリック率)が低いキーワード
  • 想定外の流入キーワードからの新たなニーズ発見

改善への活かし方

  • CTRの低いキーワードに対してタイトル・メタディスクリプションを見直す
  • 流入の多いキーワードに合わせて既存記事を強化する
  • 検索ニーズを踏まえた新規コンテンツ企画の優先度づけ


以下は、Medinewが提供するサイト調査・分析サービス「Medinew Research」による、検索クエリ分析のレポートを抜粋したものです。

Medinew Researchの検索クエリ分析結果

特に製薬企業のWebサイトでは、疾患名・薬剤名・症状など、多様な検索ニーズが混在しています。「このページには医師が検索で来るはず」という想定と実際の流入キーワードを照らし合わせることで、情報提供の方向性を見直すきっかけになります。

競合サイト比較

競合サイト比較とは、同じターゲット層を狙う競合サイトの流入キーワードやコンテンツ構成と自社を比較する調査です。自社だけを見ていると気づきにくい「取りこぼし」を、競合との対比によって浮き彫りにします。

競合比較は「競合を追いかける」ためではなく、「市場全体の検索ニーズの地図」を描くための手段です。自社サイトが見落としているテーマを把握することで、コンテンツ整備の優先順位を効率的に判断できます。

何が得られるか

  • 競合が流入を獲得しているテーマやキーワード
  • 自社が対応できていない検索ニーズ
  • 検索順位で競合に劣っているページの特定

改善への活かし方

  • 競合が強みを持つ領域のうち、自社でも対応できるテーマを特定し、コンテンツ整備の方針に組み込む
  • 差別化できる独自領域を明確化し、戦略立案に活用する

技術的SEO診断

技術的SEO診断とは、検索エンジンがサイトを正しくクロール・評価できるかどうか、技術的な要素を点検する調査です。コンテンツの質が高くても、技術面に問題があると検索結果で正当に評価されず、ユーザー体験も損なわれてしまいます。

製薬企業のサイトでは、特に「noindexタグ」の設定ミスに注意が必要です。医療関係者限定ページが意図せず検索結果に露出してしまっていないか、逆に、公開すべき製品情報ページに誤ってnoindexが設定されていないかなど、コンプライアンス遵守と集客のバランスを精査しましょう。

何が得られるか

  • ページ表示速度
  • コアウェブバイタルの問題箇所
  • タイトルタグやメタディスクリプションなどHTMLタグの設定不備
  • 構造化データの実装状況
  • インデックス対象外ページの有無

改善への活かし方

  • 表示速度の改善によりモバイルユーザーの離脱を防ぐ
  • HTMLタグを整えることでクリック率(CTR)の向上につなげる


ただし、製薬企業のWebサイトでは、掲載情報の内容によって構造化データの使用が適さないケースもあります。実装前に自社サイトの掲載内容との適合性を確認してください。

【関連記事】
SEO対策やUXの向上に重要な最新指標「コアウェブバイタル」とは?

GEO(生成AI検索)対応調査

GEO(Generative Engine Optimization)対応調査とは、ChatGPTやGeminiなどの生成AI検索での自社コンテンツの参照・引用状況を確認する調査です。生成AIの普及に伴い、従来の検索エンジン最適化(SEO)に加え、生成AI検索への対応が新たな集客課題として注目されつつあります。

医療・製薬領域は、生成AI検索においてもE-E-A-T(体験・専門性・権威性・信頼性)が特に重視される分野です。専門家の見解や根拠となるデータを丁寧に示すコンテンツは、従来のSEOにも生成AI検索にも共通して有効といえます。

何が得られるか

  • 生成AI検索で自社情報がどのように参照・引用されているか
  • E-E-A-T(体験・専門性・権威性・信頼性)観点での自社コンテンツの課題
  • AIに参照されやすいコンテンツと参照されていないコンテンツの差

改善への活かし方

  • 専門家監修情報の明示や引用元の充実など、信頼性を担保したコンテンツ設計に取り組む
  • AI検索で参照されやすい構造(明確な見出し・構造化されたFAQ形式など)を意識したページ設計に活かす


【関連記事】
生成AI時代のオウンドメディア最適化|製薬企業も知っておきたいLLMO・GEOの基本

②ユーザビリティ改善のための分析

ユーザビリティ分析では、「情報にたどり着きやすく、使いやすい構成になっているか」を確認します。GA4で直帰率が高い・エンゲージメント時間が長いのにCVに至らない・CV直前の離脱が多いといった傾向が見られた場合に、以下の手法を組み合わせて活用します。

  • ヒューリスティック分析
  • ユーザビリティテスト
  • ヒートマップ分析

ヒューリスティック分析

ヒューリスティック分析とは、UI/UXの専門家が一般的な設計原則(ヒューリスティクス)に照らしてサイトを評価する定性的な調査です。実際のユーザーを集めずに実施できるため、比較的短期間・低コストで問題箇所を洗い出せます。

例えば、以下は「Medinew Research」が提供するヒューリスティック分析のチェックリストです。

Medinew Researchのヒューリスティック分析の項目

製薬企業のWebサイトでは、同一サイト内で領域別にコンテンツを展開するケースや、医療関係者向けであっても医師や薬剤師、看護師向けにコンテンツを用意しているケースなども考えられます。また、それぞれの入り口が独立していても、共通のグローバルナビゲーションが混乱を招いていないかなど、「各ターゲットが最短で目的の情報にたどり着ける設計」をヒューリスティック分析による専門的な視点で点検することが重要です。

何が得られるか

  • ナビゲーション・導線・情報設計上の問題箇所
  • ユーザーが迷いやすいポイント・デザインや表示ルールの逸脱箇所

改善への活かし方

  • ユーザーテスト実施前の仮説整理として活用し、何を確認すべきかを絞り込む
  • 優先的に改善すべき箇所を可視化することで、リソースを効率的に投入できる


【関連記事】
ユーザーが迷わないサイトを作る|製薬企業のためのヒューリスティック分析入門

ユーザビリティテスト

ユーザビリティテストとは、実際のターゲットユーザーに特定のタスクを依頼し、操作行動・躓き・発話を観察・記録する調査です。「設計した側の思い込み」では気づけない問題を、実際のユーザーの行動から明らかにできます。

何が得られるか

  • 操作上の迷いやつまづきが発生している箇所
  • タスク達成を阻害している要因
  • ユーザー自身が言語化している不満や期待

改善への活かし方

  • 設計者の思い込みを排除した導線改善に活用する
  • 会員登録・資料ダウンロード・お問い合わせフォームなど、CV直前の離脱が多い箇所の改善仮説の検証


製薬企業のサイトでのユーザビリティテストでは、「医師が最新の処方情報にたどり着けるか」といった、各サイトの役割とターゲットユーザーに応じた具体的なタスク設定を強調します。テスト後は観察結果をもとに課題を分類し、改善施策の優先度を判断します。

ヒートマップ分析

ヒートマップ分析とは、ページ上のクリック位置・スクロール到達率・カーソルの動線を可視化する調査です。実際のユーザー行動を「熱分布」として視覚的に把握できるため、どこが読まれ、どこで止まっているかを直感的に確認できます。

何が得られるか

  • クリックされている/されていない要素の特定
  • ページがどこまで読まれているか(スクロール到達率)
  • 離脱が起きやすい位置
  • ユーザーが誤クリックしている箇所

改善への活かし方

  • CTAボタンの配置・サイズ・文言の最適化
  • スクロールが止まっている位置を確認し、重要な情報がページ後半に埋もれていないかを見直す
  • ほとんど読まれていないコンテンツの縮小・再配置の判断材料にも


GA4の「離脱が集中しているページ」や「エンゲージメント時間が短いページ」をヒートマップで深掘りすることで、「コンテンツが読まれていないのか」「読まれているが次の行動につながらないのか」を切り分けることができます

【関連記事】
医師向けサイト閲覧時の行動と心理を視覚化する、ヒートマップ分析入門

③コンテンツ整備のための分析

コンテンツ分析では、「ユーザーのニーズに合った情報が揃っているか」「必要な情報が十分な深度で提供できているか」を評価します。GA4でエンゲージメント時間の短さやCVRの低さが気になった場合に、以下の手法で課題を整理します。

  • コンテンツSEO分析
  • コンテンツリスト作成・他社比較

コンテンツSEO分析

コンテンツSEO分析とは、ターゲットユーザーの検索ニーズに対し、自社コンテンツがどれだけ対応できているかを評価する調査です。「どのテーマの情報が不足しているか」「どのページをどう強化すべきか」を判断するための基盤になります。

何が得られるか

  • 検索ニーズとコンテンツのカバレッジギャップ
  • 検索流入が見込めるにもかかわらず対応できていないテーマ
  • 既存コンテンツの強化優先度

改善への活かし方

  • 検索ニーズに対応した新規コンテンツの企画方針を決定する
  • 流入はあるが直帰率が高いページについて、検索意図とコンテンツの内容のズレを見直す
  • 既存記事のリライト優先度の整理


製薬企業のWebサイトにおけるコンテンツSEOでは、治療選択・副作用管理・学びのための情報収集など、ユーザーの「情報探索のフェーズ」ごとに求められるコンテンツが異なります。どのフェーズのニーズに対応できていて、どこが手薄なのかを整理することが、コンテンツ整備の出発点です。

コンテンツリスト作成・他社比較

コンテンツリスト作成・他社比較とは、自社と競合サイトのコンテンツを一覧化し、網羅性・構成・情報の深度の差を比較する調査です。サイト全体を俯瞰的に捉えることで、単体ページの評価では見えにくい「全体の偏り」を発見できます。

何が得られるか

  • 自社が未対応のコンテンツテーマ
  • 競合との情報量・深度の差
  • 特定テーマへのページ集中やカバレッジの偏り

改善への活かし方

  • 優先的に整備すべきコンテンツ領域を特定し、制作計画の優先度に反映する
  • 競合にはあって自社にないコンテンツを補完し、ユーザーの情報探索が自社サイト内で完結できる状態を目指す


コンテンツリストは、ExcelやスプレッドシートにページURLとテーマ・対象ユーザー・更新日・流入数などを整理するだけでも有効です。「情報があるつもり」になっているページが、実は古い情報のままだったり、ユーザーが求めているテーマと微妙にずれていたりといったケースに気づくきっかけになります。

分析を改善サイクルへつなげるために

ここまで紹介した分析手法はそれぞれ単独で実施することもできますが、GA4の結果と組み合わせて使うことで、より精度の高い課題特定が可能です。

以下が、Webサイト分析・改善の基本的なサイクルです。

  1. GA4で指標をチェック
  2. 対応する分析手法で深掘
  3. 課題を特定
  4. 改善施策を設計・実施
  5. 結果をGA4や分析ツールで検証

重要なのは、分析を実施することそのものではなく、分析で得られた示唆を改善施策につなげることです。

課題が見えたら仮説を立て、施策を実行し、その結果を再びGA4や各分析ツールで検証する。このサイクルを繰り返すことで、Webサイトは継続的に成果へと近づいていくでしょう。

医療関係者向け・患者向けサイトの分析・調査をMedinewがサポート|Medinew Research

本記事で紹介した分析手法は、いずれも「何をどう調べるか」の方針さえ定まれば、自社内でも着手できます。一方で、「リソースが限られている」「専門的な視点での評価がほしい」「分析結果をどう改善につなげればいいかが分からない」といった課題があることも確かです。

Medinewでは、こうした課題に対して、製薬企業の医療関係者向け・患者向けWebサイトに特化した調査・分析サービス「Medinew Research」を提供しています。

Medinew Researchが対応している領域は、大きく以下の3つです。

  • SEOコンサルティング:検索流入が伸び悩んでいる場合に、現状調査・分析から改善案の提案・実行までをトータルでサポート
  • サイト評価:ユーザビリティテストやヒューリスティック分析により、サイトの使い勝手の問題を専門的な視点で洗い出し
  • 競合調査:他社サイトの機能・構造・コンテンツを網羅的に調査し、自社との比較・差分を可視化

製薬業界のWebサイト運用に精通した視点から調査・分析を行い、その結果をもとにオウンドメディアの改善をサポートします。

サービスの詳細や支援メニュー・レポートイメージは、以下のページからご確認いただけます。

医師向け・患者向けサイトの悩みを調査で解決!「Medinew Research」
2024.11.12
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